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平成25年度 第29回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:20598

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平成25年度 第29回坪田譲治文学賞

世界地図の下書き

第29回坪田譲治文学賞受賞作
『世界地図の下書き』(集英社刊)
朝井リョウ著

選考経過

 平成24年9月1日から平成25年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、文学・出版関係者等から推薦された86作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作5作品を選定。
 これを、平成26年1月29日(水曜)開催の第29回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区平河町「ルポール麹町」)で慎重に審査した結果、朝井リョウ著『世界地図の下書き』が選ばれた。


 選考委員は、五木寛之、川村湊、高井有一、竹西寛子、西本鶏介、森詠の6名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)

受賞者略歴

朝井リョウ

 朝井 リョウ (あさい りょう)
 1989年5月31日、岐阜県生まれ。
 早稲田大学在学中の2009年、「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞(集英社)を受賞し、作家デビューを果たす。12年に同作が映画化され、注目を集める。
 12年『もういちど生まれる』で第147回直木三十五賞候補に。13年『何者』で第148回直木三十五賞を受賞。男性作家としては戦後史上最年少となる23歳での直木賞受賞だった。
 その他の著書に『チア男子!!』『星やどりの声』『少女は卒業しない』など。最新作は『スペードの3』(14年3月発売)。

受賞者コメント

 このたびは、「世界地図の下書き」を第29回坪田譲治文学賞に選んでいただき、ありがとうございます。
 この作品で書きたかったことは、「希望」という一言に尽きます。世の中には、「希望」と名付け直せるものがたくさん溢れていると感じています。主人公である太輔が出会うすべてのものを「希望」と呼び直したいという一心で書いたこの作品を、「大人も子どもも楽しめる作品」として送り出していただけること、本当に光栄に思います。これからもこの喜びを胸に小説に取り組んでまいります。ありがとうございました。

作品の概要

 突然の交通事故で両親を亡くし、児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らすことになった小学生の太輔。悲しみでしばらく心を閉ざしていたが、同じ部屋の仲間たちのおかげですこしずつ打ち解けていく。とくにお母さんのように優しい高校生の佐緒里は、みんなにとって特別な存在。しかし、メンバー同士が打ち解けてもなお癒されない、それぞれの孤独と痛み。施設を卒業する佐緒里のため、4人の子供たちは、ランタンに願い事を託して空に飛ばす「蛍祭り」を復活させようと、作戦を立てはじめる――。
 子どもたちが懸命に立ち向かうそれぞれの日常と、その先にあるかすかな希望を繊細に描き出した、著者渾身の長編小説。直木賞受賞後第一作。装画・イラストはスタジオジブリのアニメーター、近藤勝也氏が担当。

選考委員 森詠氏(小説家)のコメント

 朝井リョウさんは、平成元年生まれの弱冠24歳、しかも昨年直木賞を受賞したばかりの若手人気作家だ。その朝井さんが、若者たちの青春小説から一変して、子供の世界に目を向け、大人も子供も読める児童文学に挑戦した。選考委員会は、まずそのことを高く評価した。朝井さんが、今後とも児童文学世界に新風を吹き込んでくれるだろうと期待しての授賞となった。
 なにより作品が素晴らしい。児童養護施設に暮らす、親のいない、いても両親が離婚したり、親から虐待を受けたりして、深く傷ついた子供たちの世界を扱っている。それだけに、ともすると暗く悲しくて、やりきれない作品になりがちなのだが、朝井さんはそれを見事に明るく、心温まる再生の物語に紡ぎ直している。
 これからばらばらになり、どんな道を選んでも、その先に延びる道の太さは変わらない、同じだけの出会いや希望がある、という主人公の子供たちに思わず私も頷いてしまった。

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