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平成22年度 第26回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:21124

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第26回坪田譲治文学賞

おれのおばさん

第26回坪田譲治文学賞受賞作
『おれのおばさん』(集英社刊)
佐川光晴著

選考経過

 第26回坪田譲治文学賞選考委員会は、平成23年1月14日(金曜日)午後3時から東京都千代田区平河町「ルポール麹町」で開催され、選考委員会の五木寛之、川村湊、高井有一、竹西寛子、西本鶏介、森詠(50音順・敬称略)の委員6名で行った。
 選考委員会で、平成21年9月1日から平成22年8月31日までの一年間に全国で刊行された単行本の中から、大人も子どもも共有できる優れた作品という観点から予備選考委員会を通過した候補作品5編を、一作ずつ慎重に審議した結果、佐川光晴氏の『おれのおばさん』を受賞作品に決定した。

受賞者略歴

佐川光晴

佐川 光晴(さがわ みつはる)

1965年2月8日東京都生まれ、茅ケ崎育ち。
北海道大学法学部卒業。在学中は恵迪寮で暮らす。
GASEI南米研修基金の奨学金を得て、1987年4月から1988年3月まで中南米各国に滞在。
1990年7月から2001年2月まで大宮食肉荷受株式会社作業部作業課に勤務。主に牛の屠畜に携わる。
2000年「生活の設計」(『虹を追いかける男』双葉文庫に収録)で第32回新潮新人賞受賞。
2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。
『家族芝居』『銀色の翼』『ぼくたちは大人になる』、ノンフィクションに『牛を屠る』等著書多数。
埼玉県志木市在住。小学校教員の妻と二人の息子との四人家族。主夫として家事を引き受けながら執筆に励む。

受賞者コメント

 『おれのおばさん』が坪田譲治賞の受賞作となり、うれしくてなりません。
 主人公の高見陽介は十四歳のある日、父親が横領罪で逮捕されたために人生が一変します。都内の名門私立中学を退学し、母親の姉・恵子おばさんが運営する児童養護施設「魴ぼう※舎」に預けられた陽介は初めのうちこそ勉強にしがみつきますが、同じ中二の卓也と仲良くなったのをきっかけに、しだいに心を開いてゆきます。
 私自身も陽介と似たような年頃で父親にこけられました。労働組合の活動をめぐる会社との対立の渦中でうつ病となり、入退院をくりかえす父親の姿をまぢかに見ながら、この社会で生きてゆくとはいかなることなのだろうと、中学生なりに頭を悩ませたものです。
 私は大学進学を機に家を出ましたが、陽介は十四歳で北海道に送られます。「ぼく」から「おれ」へと一人称も変わり、さまざまな事情を抱えた中学生たちと暮らしながら、陽介は自らの体で世界の苛酷さに触れ、友情のありがたさに気づいてゆきます。
 人間の醜さや愚かさを筆を尽くして描くよりも、立ち直ろうとする努力の軌跡をきちんと追いたい。一度や二度の失敗で人生が終わってしまうわけではないことを、なんとしても証明してやりたいというのが、『おれのおばさん』にこめた作者の願いです。
 このたび坪田譲治文学賞を受賞し、陽介や卓也や恵子おばさんの頑張りを認めていただけたことに深く感謝しています。
(※ぼうは、魚へんに弗の字)

作品の概要

 高見陽介、中学二年。受験戦争を勝ち抜いて入学した東京の名門私立を中退 し、今は札幌の児童養護施設「魴ぼう※舎 HOBO-SHA」に居候の身。銀行員の父が愛人のため横領し、逮捕。離婚はせず夫の借金を背負った母が、ひとり東京に残り住み込みで働くことを選んだからだ。
 その母の姉、バツイチの恵子おばさんがひとりで切り盛りする魴ぼう※舎に暮らすのは中学生ばかり14人。過酷な環境を生きてきた卓也やありさたち、舎の仲間。元舞台女優だというエネルギッシュで気風のいいおばさん。そして彼女を支える大人たち。札幌、奄美大島、東京……両親と離れ離れになって以来、新たに出会った人たちが皆、それぞれのやり方で強くあろうと全力を尽くして生きているさまに触れ、陽介は少しずつ変わっていく…。 十四歳で世界と出会う――時代の空気を突き破る力に満ちた、痛快成長譚!
(解説:集英社 編集担当)
(※ぼうは、魚へんに弗の字)

選考委員 森詠氏(小説家)のコメント

 今年度の坪田譲治文学賞は、慎重審査の結果、全会一致で、佐川光晴さんの『おれのおばさん』が選ばれました。
 『おれのおばさん』は、父親の不始末から、家族がばらばらになり、主人公の中学2年生の少年が、母の姉である北海道の「おばさん」の児童養護施設に預けられることから始まる青春少年小説です。家庭的不幸からともすると道を踏み外しかねない少年が、いつも前向きで迫力ある生き方のおばさんや周りの人たちに感化され、真っ直ぐに生きていく姿が爽やかに描かれています。まさしく大人も子どもも、ぜひ読んでほしい小説です。

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