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平成16年度 第20回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:21131

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第20回坪田譲治文学賞

ペーターという名のオオカミ

第20回坪田譲治文学賞受賞作
『ペーターという名のオオカミ』(小峰書店刊)
那須田淳著

選考経過

 第20回坪田譲治文学賞選考委員会は、平成17年1月17日(月曜日)午後3時から東京都平河町で開催され、選考委員会の五木寛之、砂田弘、高井有一、竹西寛子、立松和平、西本鶏介(50音順・敬称略)の6名の委員が全員出席した。
 選考委員会で、平成15年9月1日から平成16年8月31日までの一年間に全国で刊行された単行本の中から、大人も子どもも共有できる優れた作品という観点から予備選考委員会を通過した候補作品4編を、一作ずつ慎重に審議した結果、那須田淳氏の『ペーターという名のオオカミ』を受賞作品に決定した。

受賞者略歴

那須田淳

 1959年6月20日(45歳)静岡県浜松市に生まれる。
 早稲田大学卒業。「鬼ヶ島通信」同人。
 大学卒業後、まもなく執筆活動に入り、88年にポプラ社より「三毛猫のしっぽに黄色いパジャマ」でデビュー。
 92年の夏にドイツのミュンヘン国際児童図書館に、日本の児童文学作家としてヨーロッパの作家たちの交流のため奨学研究員(三ヶ月)に招聘される。
 その後、95年からドイツのベルリン市に在住。
 90年「ボルピィ物語」(ひくまの出版)、97年「ちいさなちいさな王様」(講談社・翻訳) が 全国感想文コンクール課題図書に選定、2004年に「ペーターという名のオオカミ」(小峰書店)で産経児童出版文化賞受賞。
 2004年度静岡県芸術祭審査委員。
 主な著作に、絵本「魔笛」(講談社)、「おれんちのいぬチョビコ」(小峰書店)など。
 ファンタジー童話にバイエルン地方の森を舞台にした「ボルピィ物語」(ひくまの出版)
 青春少年小説(ヤングアダルト) に「グッバイバルチモア」(理論社)や「スウェーデンの王様」(講談社)「ペーターという名のオオカミ」(小峰書店)など多数ある。
 また翻訳には、木本栄との共訳で、「ちいさなちいさな王様」(講談社)や「ケストナー・ナチスに抵抗し続けた作家」(偕成社)、また単独訳で絵本など多数ある。

受賞者のコメント

 少年を主人公にした青春小説を書こう。それもロードムービータイプのものを 。そしてモチーフとしてのオオカミが決まるまでは早かったのですが、そこから物語が立ち上がってくるまでにはかなりの紆余曲折があり、気がついてみると構想から七年の歳月がたっていました。ただいざ取りかかってみると執筆時間は二ヶ月弱で、オオカミとの旅を通して、子ども時代に終わりを告げ、青春の扉を開こうとする少年たちを追いかけながら、自らの遠い声に耳を傾けつつ、一気に駆け抜けることができた作品でした。
 ある意味で、僕の中ではひとつの始まりを意識できた作品で、今回、大きな賞をいただき、光栄にかつ大変うれしく思っています。また長い時間、僕を見捨てずに最後まで励ましてくださった小峰書店の今泉さんに、取材などでお世話になった多くの方に心からお礼を、そして妻と二人の小さな娘たちにありがとうと告げたいです。

作品の概要

 亮は14歳。父についてベルリンに来て7年たつ。この国、ドイツで生きるのが楽しくなってきた。が、父の仕事の都合で日本に帰る事に。亮は自分の思いと関係なく決められる状況に我慢できず、家出をしてしまう。そんな時、事件が起きる。移送されるオオカミ11頭を乗せたトラックが事故を起こし、ベルリンの街中へ群れが逃げ出したのだ。警察やハンターたちがオオカミを追うが、群れは巧みに逃げ続け、めざすは故郷の森ボヘミアであることがわかってくる。その騒ぎの中、群れからはぐれた1頭の子オオカミが亮の前に姿をあらわす。亮は友人のアキラ、東西ベルリンの壁の時代を生き抜いた初老のドイ ツ人マックスと協力し、その子オオカミを群れに合流させ、故郷にかえそうとする。三人とオオカミは、生きるべき場所を探して旅をする。

選考委員 砂田弘氏(児童文学者)のコメント

 『ペーターという名のオオカミ』は、群れからはぐれた子オオカミをキーワードに、少年の自立と成長を描いた長編である。舞台はドイツだが、、主人公はベルリンに住む十四歳の日本の少年。物語の背景には、東西分裂の過酷な歴史を体験した現代ドイツ、少年が抱える親子の問題などがからんでいるが、作者は立体的な構成と歯切れのよい文体で、読後感のすがすがしい世界を作り上げている。最終選考の一位投票で六票中四票を獲得、受賞が決定した。

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