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平成24年度 第28回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:21122

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第28回坪田譲治文学賞

きみはいい子

第28回坪田譲治文学賞受賞作
『きみはいい子』(ポプラ社刊)
中脇初枝著

選考経過

 平成23年9月1日から平成24年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、文学・出版関係者等から推薦された87作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作4作品を選定。
 これを、平成25年1月15日(火曜日)開催の第28回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区)で一作ずつ慎重に審査した結果、中脇初枝著『きみはいい子』が選ばれた。


 選考委員は、五木寛之、川村湊、高井有一、竹西寛子、西本鶏介、森詠(50音順・敬称略)の6名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)

受賞者略歴

中脇 初枝(なかわき はつえ)

 1974年、徳島県に生まれ、2歳で高知県四万十市にうつり住む。高知県立中村高等学校在学中に小説『魚のように』で第2回坊っちゃん文学賞を受賞してデビュー。筑波大学で民俗学を学ぶ。以降の小説作品に『稲荷の家』(文庫刊行時『こんこんさま』に改題)『あかい花』『祈祷師の娘』。以降、子どもへの思いを深め、子どもに向けた本を刊行する。絵本に『こりゃまてまて』、幼年童話に『あかいくま』など。また、創作のかたわら昔話の語りを行い、昔話絵本『ゆきおんな』『ちんころりん』などのほか、日本各地に伝わる女の子が活躍する物語を集めた『女の子の昔話』がある。『きみはいい子』は、8年ぶりの小説となる。神奈川県在住。

受賞者コメント

 このたびは、拙著『きみはいい子』を「第28回坪田譲治文学賞」にえらんでいただきまして、ありがとうございます。
 つらい思いをかかえて生きているひとたちの気持に寄りそいたい、と思いながら書きました。
 つらい思いをさせられているひとはもちろん、ひとにつらい思いをさせてしまうひとも、みんなひとしく、つらいんだと思うのです。
 そんなときに、まわりのひとが、すこしだけひろくまわりを見ることで、そんなつらさに気づいてくれたら、そして、ひとりでも多くのひとが、だれかに寄りそってもらって、救われたら、と願っています。
 世界を救うことはできなくても、まわりのだれかを救うことは、きっとだれにでもできると思うのです。

 あなたはいい子。

 わたしもいい子。

 このような栄誉ある賞をいただけたことで、たくさんのかたに読んでいただいて、そんな思いがひろがっていったら、うれしいです。

作品の概要

 17時までは家に帰ってくるなと言われ、校庭で時計を見上げて待つ児童と、その姿を見つめる新任教師の物語「サンタさんの来ない家」、父親不在の家で娘に手を上げてしまう母親とママ友に起こった事件「べっぴんさん」、友だちの言葉を「嘘」だと信じる息子を見守る「うそつき」、長くひとり暮らしを続ける老女のもとを訪れた少年の事情を描く「こんにちは、さようなら」、幼い日の記憶の中にのみ生きるようになった老いた母との再会を描く「うばすて山」――同じ日、同じ町の雨の午後を描いた五篇からなる連作短篇集。誰かの子どもだったことがあり、誰かの隣人であるすべての人にとって、決して無関係ではいられない問題を描き出す。家族が抱える傷とともに、そこに射すたしかな光が感じられ、それでも人間を信じよう、という気持ちにさせられる物語。

選考委員 西本鶏介氏(児童文学者/昭和女子大学名誉教授)

 五編の作品の主人公はそれぞれに違っても、親に虐待される子どもの心情や成長期のトラウマによってわが子を虐待してしまう親の苦悩など、暗くて重いテーマにもかかわらず読者の共感を呼ぶ今日的な小説である。子どもとはなにか、親子とはなにかを鋭く問いかけながら、ささやかな幸福の発見や人を信じることの大切さを教えてくれる。どれほどつらい境遇にあっても、ひとときの幸せにより一生の生きがいになることを確かな筆力で描き出している。

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