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平成27年度 第31回坪田譲治文学賞

[2020年5月25日]

ID:20348

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第31回坪田譲治文学賞

いとの森の家

第31回坪田譲治文学賞受賞作
『いとの森の家』(ポプラ社刊)
東直子著

平成28年1月26日発表

選考経過

 平成26年9月1日から平成27年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された92作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作4作品を選定。
 これを、平成28年1月12日(火曜日)開催の第31回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区平河町「ルポール麹町」)で慎重に審査した結果、東直子著『いとの森の家』が選ばれた。


  選考委員は、阿川佐和子、五木寛之、川村湊、高井有一、西本鶏介、森詠の6名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)

受賞者略歴

東直子

東 直子 (ひがし なおこ)

1963年、広島県広島市生まれ。東京都在住。
歌人。作家。早稲田大学教授。
1996年、第7回歌壇賞受賞。
歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』『東直子集』『十階』
小説に『とりつくしま』、エッセイ集に『七つ空、二つ水』など著書多数。

受賞者コメント

 この度は、思いがけず素晴らしい賞を受賞させていただき、たいへんうれしく、光栄です。ありがとうございます。
 『いとの森の家』は、福岡県糸島を舞台に、実体験を反映させて描いた物語です。主人公の家族や親友、鍵となるおハルさんにはモデルがいますし、引用した俳句は実際に死刑囚が書き残した作品です。今回の賞は、それらすべての人や土地の力が与えてくれた賞だと思っています。
 十歳の加奈子が垣間見た命の記憶を、今後も世代を超えて共有することができればたいへん幸いです。

作品の概要

 福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた村に引っ越すことになった。都会とのギャップにとまどいながらも、楽しい遊びを教えてくれる同級生たちと触れ合い、自然の恵みに満ちた田舎の暮らしに次第に魅了されていく。中でも特別な存在は、童話に出てくるような家に住む素敵な笑顔のおばあさん・おハルさんだった。
 だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいる。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……? そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく。
 福岡・糸島の豊かな自然の中で、子どもから少女へ移りゆく主人公の姿が瑞々しく描かれた物語。装画は著者自身の描き下ろし。

選考委員 西本鶏介氏(児童文学作家)のコメント

 豊かな自然とやさしい村人たちに囲まれた幸福な少女時代の記憶を情感たっぷりに描きながら、いのちの重さと他者への思いやりの尊さを静かに、だがしっかりと問いかけてくれる。とりわけ「死刑囚の母」と呼ばれる老婆のすぐれた人間性が主人公との交流を通していきいきと迫ってくる。楽園にも見える風土の描写もすばらしい。坪田賞にふさわしい子どもも大人も共感できる小説である。

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