ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

Language

その20【国際協力は協働そのもの~岡山の財産であるネットワークを活かして~】

[2016年3月9日]

ID:40544

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

「つながる!協働リレーコラム」では、岡山で活躍するNPO法人の皆さんに、自分たちの活動や経験を通じて、「協働」に関して感じていること・考えていることについてコラムでご紹介いただきます。

※なお、内容は執筆当時のものです。

NPO法人岡山県国際団体協議会の橋本徹決さんにお話を伺いしました!

NPO法人岡山県国際団体協議会の橋本徹決さん

岡山市・NPO協働推進協議会メンバーでもある橋本さんは、NPO法人岡山県国際団体協議会の事務局長として、国際協力や国際貢献の分野を中心に、岡山だけにとどまらず、世界をまたにかけて活躍されています。つい先日もネパールまで出張されてきたばかりとのこと。

国際協力・国際貢献の世界へ

「国際協力は協働そのもの」と協働のネットワークを広げてこられた橋本さん。そんな橋本さんが国際協力や国際貢献の世界に足を踏み入れることとなったきっかけは、ヨーロッパへの一人旅でした。当時の橋本さんは岡山県職員として水島コンビナートの検査に関わる業務を担当されていたのですが、単身でドイツやフランス等、世界のコンビナートを視察する機会があったそうです。その視察に向けて調査・研究される過程の中で、東南アジア等の発展途上国が世界の中で様々な面において冷遇されていると感じられたとのこと。何かできることはないか、何かしなければいけないという思いにつき動かされた橋本さんは、帰国後、業務ではなく個人で、異業種交流会を立ち上げました。交流会には、マスコミや通信会社等、多くの岡山の中心的な民間企業の総務課長の方々が参加してくれたそうで、この交流会で構築されたネットワークが、岡山ユネスコ協会別ウィンドウで開く岡山県国際団体連絡協議会別ウィンドウで開く(以下「連絡協議会」)の結成、そして後の国際会議開催にもつながっているとのことです。

岡山県国際団体連絡協議会の結成

1991年に岡山県の国際関係団体の交流・連絡の場として、連絡協議会が結成されました。この連絡協議会には、120もの団体の参加があり、橋本さんは事務局を担当することになりました。連絡協議会は、岡山県、岡山県国際交流協会と共催で「地球市民フェスタinおかやま」を開催する等して、あまたある岡山の国際団体をつなぐ存在としての存在感を高めていきました。

また、連絡協議会は1994年から、ほぼ毎年様々な国際会議の開催に携わってこられました。国際会議では、国際貢献(教育、環境、福祉等)、ESD等をテーマに、東南アジアをはじめとする世界各国からNGO関係者、ユネスコ等の国際機関関係者、中央・地方政府関係者等を招き、ディスカッションや視察、各参加者のプレゼンテーション等を行っています。それらを通じて、各国が抱える課題や目標を共有し、その解決の一助となることができただけでなく、一連の国際会議開催を経て、そのネットワークは世界中に拡大することとなりました。

岡山から世界へ

連絡協議会は、2004年にNPO法人(特定非営利活動法人)の認証を受け、NPO法人岡山県国際団体協議会(以下「協議会」)として新たなスタートを切りました。これは、それまでの各団体のつなぎ役という役割に加えて、より積極的に、国際協力・国際貢献の活動を自ら実施したいという思いによるものだそうです。1994年からの国際会議の開催で、東南アジア諸国等の“地域住民の学び”や“人づくり”、“組織づくり”、“地域づくり”等、様々な課題と、その解決方法について議論を重ねてきましたが、「課題解決の力になりたい」という思い、そしてそれはゆくゆくは岡山の、日本の力にもなるとの考えから、活動の場を世界に広げていったとのことです。

ESDの広がりで国際貢献

協議会がその活動の舞台を世界に広げ始められた頃、岡山市では「ESD(持続可能な開発のための教育)」に関する活動が、産声をあげはじめたところでした。岡山市在住の方にとっては、2014年に岡山市で「ESDに関するユネスコ世界会議(以下、「ESD世界会議」)」が開催されたこともあり、「ESD」という言葉やその意味も、ある程度は耳馴染みのあるものになっているかもしれませんが、当時は「ESD」という言葉を知っている人は非常に少なく、「ESD」への理解を広めることに非常に苦慮されたそうで、ユネスコのパリ本部からその推進策について相談を受けることもあったとのことです。

「ESD」とは持続可能な社会を築くため、地球規模課題を解決できる人材を育成することをその目的としていますが、協議会がアジアをその対象に取り組んでこられた“地域住民の学び”や“人づくり”の活動はまさに「ESD」そのものといえます。毎年開催している国際会議でも2003年にはすでに「ESD」をそのテーマとして取り上げる等、橋本さんは岡山における「ESD」の取り組みの黎明期を支えたお一人だと言えるのではないでしょうか。
これらの協議会、橋本さんたちの活動や、他の多くの団体・個人の方々による、「ESD」という大きなテーマで括られた様々な活動の蓄積が、岡山における「ESD」活動の成熟につながり、それが認められた結果が、前述のESD世界会議の開催につながりました。ESD世界会議では、世界各国から3,000名以上の参加者を迎え、官民産学が一体となって取り組んだ結果、ESDの「岡山モデル」や岡山市民によるおもてなしが高く評価されたのは記憶に新しいところです。

ESD世界会議の後に目指すもの

農業青年研修会開校式の様子

ネパールでの農業青年研修会開校式の様子

「ESD世界会議を終え、現在は、アジア各国での生活力向上に取り組んでいます。先日のネパール出張でも、サツマイモの栽培についての指導等を行ってきたばかり。アジアの多くの国では、今でも農業が主力産業です。ただ、肥料や水の管理等、基本的な知識に欠けている上、それを教えてくれる場所も不足している場合が多い。知識が欠けているだけで教えればすぐできるようになり、生産性が向上します。生産性の向上は地域の生活力の向上につながります。だから、アジア各地のCLC(Community Learning Center)を支援することで生活を支えることができると考えています。アジアの公民館といえるCLCですが、そこに日本の公民館の社会教育主事のような存在を配置したいと思っています。地域の関係者が集うCLCの機能を強化することは人づくり、地域づくりにつながります。そして、アジアのCLCを支援するセンターを岡山市に作るのが目標です」と現在の活動や目標を語る橋本さん。


協議会のネットワークは世界20か国以上にのぼります。世界にこれだけのネットワークを有している団体は多くはないそうです。
「このネットワークと国際会議の蓄積、ESD世界会議の開催、そして市民活動の盛り上がりという諸条件を考えると、今、岡山からCLC支援等を行うことに意味がある」とのことです。東南アジア諸国に対する支援も、各地の生活力が向上すれば、岡山の地場企業が進出する芽も出てくるので、必ずしもアジア諸国への一方的な支援というわけではなく、岡山のためにもなるという大きな視点でのお話が印象的でした。

今、伝えたいこと~橋本さんからのメッセージ~

「岡山市には、岡山市だからこそ果たすことのできる役割があります。岡山の財産ともいえる、世界とのネットワークや国際会議の経験、市民活動の蓄積をいかすことの重要性を多くの方に理解してもらうことが、自分たちの課題でもあり、行政にも求めていきたいことです。そして子どもたちが世界に目を向けられるようにしていきたいし、していってほしい。本気で自分のまちのことを考える人がいないと、まちは良くなりません。国際協力はまさに協働のネットワークです。本気で良くしていこうという人たちのつながりが地域や世界を変えていくのだと思っています」。

のっぷ

次はどんな団体が登場するかな?お楽しみに!