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その9【みんなの「得意!」を知ることが、協働の第一歩】

[2015年2月25日]

ID:40454

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「つながる!協働リレーコラム」では、岡山で活躍するNPO法人の皆さんに、自分たちの活動や経験を通じて、「協働」に関して感じていること・考えていることについてコラムでご紹介いただきます。
※なお、内容は執筆当時のものです。

NPO法人杜の家 理事長 大森浩史さん

プロフィール

様々な団体と連携・協働しており、現在は専業農家のノウハウを指導する就労継続支援A型事業を実施しているほか、児童養護施設等を退所した子どもたちのアフターケア事業を協働で実施しています。

NPO法人杜の家理事長大森浩史さん

あなたの当たり前だと思っていた知識や得意なことは、他の人が「すごい!」と感じることかもしれません。
その気づきが協働の第一歩につながっていきます。

NPO法人杜の家とは?

障がいを持つ方や障がいを持つ児童、生活困窮者に対して、農業を活用した就労支援事業やデイサービス事業を行うことで、地域の農地保全と生涯に渡る継続した支援を行っています。

障害福祉との出会い

杜の家ファームでの野菜栽培

私たちはかつて、10アールの土地でイチゴを栽培する専業農家でした。農業はとても忙しく、栽培に明け暮れる毎日でしたが、ある日近くの福祉事業所の方から働かせてほしいとの連絡がありました。
はじめは本当に働けるのか半信半疑でしたが、得意な分野については素晴らしい仕事ぶりで、業務の一部分をお任せするほどでした。その後受入は終了したのですが、私たちが今の就労継続支援A型事業所を立ち上げるきっかけとなりました。
就労支援事業というと一般的には、「支援」の一面ばかりが注目されます。しかし私たちにとっては、彼らが働いてくれるおかげで地域の農業を存続させ、仕事を生み出すことができているのです。

私たちにできること

就労支援事業を始めてそろそろ4年がたちます。
この間様々な紆余曲折がありましたが、私たちは「障害と就労の知識」を身につけることができました。
そして私たちにとっては当たり前の知識が、他の団体にとってはとても貴重なものだということを知りました。きっとこの気づきは、様々な専門家の集まるNPO業界だからこそ感じたことなのだと思います。

岡山市協働事業「対処前学び事業」の様子

それ以来、私たちは、いくつかの団体とお互いにアドバイスを行うようになりました。その結果「協働で事業をしよう」と話がまとまって生まれたのが、「児童養護施設等退所後のアフターケア事業」です。NPO法人子どもシェルターモモ様と協働で、児童養護施設等を出た子どもたちのサポートをしようと2014年度から活動を始めました。
この事業も元々は、施設で働いていた職員や施設にいた卒業生を中心とする人々の、「児童養護施設を退所した後の子どもたちが孤立している。この問題を何とかしたい!」という声から始まった取り組みでした。そこで皆で一緒に勉強会を開き、様々な人がつながって現在に至ります。

私たちはその中で、障害福祉という視点から考えた制度や支援方法を提案しています。また、この活動には一見子どもたちの支援に関係ないように見える労務士・行政書士の方々も、これから社会に出る子どもたちの疑問に答える専門家のメンバーとして活動しています。

あなたの「当たり前」は、他の人の「すごい!」

私たちは自分たちが当たり前だと思うことでも、ある人からはとても必要な技術・ノウハウを有していることがたくさんあります。「主婦の経験」は、これから社会に出る子どもたちの生きていく技術になります。「事務の経験」は、これから起業する方々の助けとなります。「学生」という立場は、新しいアイデアや視点を入れる機会となります。

これまで私たちは自分たちの暮らすまちであっても、「市長や行政の人が岡山市をつくる」という意識を少なからず持っていたと思います。しかし、自分の「当たり前」を見つめてみると、岡山市にある様々な社会問題が、行政の力を借りずに解決できてしまうこともたくさんあることに気づきます。

一人では無理かもしれませんが、その時は他の人や団体、そして行政と協働することによって、各々の「当たり前」を活かして、問題の解決につなげていくことができるのではないでしょうか。

のっぷ

次回は、フリースペースあかねで活動する中山さんのコラムだよ!お楽しみに!