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その18【活動の仲間を増やしたいあなたと一緒に考える『どうお誘いするか』ということ(その1)】

[2016年2月23日]

ID:40530

「つながる!協働リレーコラム」では、岡山で活躍するNPO法人の皆さんに、自分たちの活動や経験を通じて、「協働」に関して感じていること・考えていることについてコラムでご紹介いただきます。

※なお、内容は執筆当時のものです。

岡山県ボランティア・NPO活動支援センター「ゆうあいセンター」 センター長 森高寛行さん

ゆうあいセンタースタッフの集合写真

ゆうあいセンタースタッフ(後列左端が森高さん)

NPO法人岡山NPOセンター別ウィンドウで開く職員としてNPO活動支援に携わって5年目。現在、岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(ゆうあいセンター)長を務めています。趣味は日曜大工と魚釣り。

はじめに

私の職場は「岡山県ボランティア・NPO活動支援センター」(通称「ゆうあいセンター」)です。岡山県が設置している施設で、ボランティアやNPOの活動をしている人、したいと思っている人に情報提供をしたり、活動の相談をお受けしたり、打ち合わせのためのスペースや会議室をご提供したりしています。

今回は、NPOの人々が一様に抱えていらっしゃる悩みである「仲間が増えない」ということについて、ゆうあいセンターで日々感じたり考えたりしていることを、2回に分けて書いてみたいと思います。

支援者が増えない・仲間が増えないのはなぜだろう?

「仲間や支援者を増やしたい。話をすれば理解はしてくれるんだけど、実際に参加していただくことがとても難しい」というボランティアグループやNPOの悩みは、NPOを対象にしたアンケート調査でも常に上位に挙がります。その原因は何でしょうか?参加する側の視点から探ってみたいと思います。

内閣府が2013年に全国の20歳から69歳の男女に対して行ったアンケート調査で、「ボランティア活動参加の妨げとなる要因」のトップ3は…
第1位「ボランティア活動を行いたいが、十分な情報がない」
第2位「活動に参加するための手続きがわかりにくい」
第3位「活動に参加する際の経費(交通費)があり、経済的負担が大きい」
でした。

参加する側から見ると一番足りないのは「情報」だということです。その伝え方が十分でないと思われているとすれば、日頃どのように伝えているかを点検しなければならないですね。ボランティア活動に取り組むために必要な「情報」って何でしょう?私は、「活動が社会と自分に何をもたらすのか」ということだと考えています。平たくいえば「活動の意義」です。
では次に、ゆうあいセンターが、ゆうあいセンターのボランティアさんたちに伝えたいと思っている「活動の意義」について、書き出して点検したいと思います。

伝えたいこと(1)ゆうあいセンターでのボランティア活動が社会にもたらすもの

ボランティアグループやNPOでは、担い手不足が深刻だといわれていますが、すべての社会課題が正しく認識され、その解決に向かってすべての人々が、職業としてあるいはボランティアとして、適切に役割を担って活躍しているならば、担い手の過不足は起きないはずです。社会課題の分布状況に対して、「人・物・金」等の「地域資源」の配置バランスが偏っていると、どこかにしわ寄せが出る。その場所で社会課題は深刻化します。

ボランティアさんが作った掲示物

ゆうあいセンターのボランティアさん力作の掲示物

そうした社会課題や、その解決に取り組む人々の存在を広く知らせ、関心を寄せてもらい、より多くの岡山県民が何らかの形でボランティアグループやNPOの活動に関わり、活躍する状況をつくることを通じて、地域社会をよりよいものにしていく。それがゆうあいセンターの掲げる目的であり社会的意義です。

このことを、ゆうあいセンターでボランティアをしていただく人には、知っておいていただきたいと思っています。

ゆうあいセンターの目的に基づく目標を統計から見てみる

こうした話をする際に、統計等で数値的にも説明できるなら、用意しておくとよいと思います。例として、ゆうあいセンターの目的に基づく目標を、ボランティア活動者数の統計を使って示してみます。


内閣府調査(2014年版)によれば、満20歳から69歳までの全国の男女の内、過去3年間にボランティア活動をしたことがある人の割合は約27%でした。これを岡山県(総人口192万人)に置き換えて推計すると、過去3年間にボランティア活動をしたことがある満20歳から69歳までの県民は約32万人になります。
また、同じく満20歳から69歳までの全国の男女の内、ボランティア活動に関心があると答えた人の割合は約62%でした。過去3年間に活動をしたことがあると答えた人は約27%でしたから、「活動をしている人=関心がある人」と仮定すると、約35%の人が「関心はあるが活動していない」ことになります。岡山県に置き換えると約41万人です。
ゆうあいセンターでは、この約41万人の「関心はあるが活動していない」人々が年に1度でも、ボランティア活動に参加する状況になることが、ひとつの大きな目標であろうと考えています。

ボランティア活動と社会課題

すべてのボランティア活動は必ず、地域の社会課題を解決することにつながっています。それがどうつながっているのかを論理的に説明できなければ、ボランティアの力を得ることはできません。課題の最前線で状況と日々向き合う、ボランティアグループやNPOの人には、解決に取り組む主体としての役割とともに、損なわれている公益に光を当てる代弁者としての役割が求められます。課題解決への道筋を簡潔明瞭に説明する言葉を、日頃からよく練って用意しておいていただきたいと思います。その際には、「NPOとかボランティアのことを全く何も知らない人」に対してどう説明するか、と考えるのがよいと思います。


※参考資料
内閣府「平成26年度 市民の社会貢献に関する実態調査」
内閣府「平成25年度 市民の社会貢献に関する実態調査」
岡山県「岡山県毎月流動人口調査(年報)」
のっぷ

次も、森高さんのコラムの続きだよ!お楽しみに!