ノートルダム清心女子大学英語英文学科所属の、環境を学ぶゼミ生有志5人で、「地球憲章 入門コース (Earth Charter Introductory Course)」というオンラインの学習コースを受講しました。地球憲章(Earth Charter)とは、持続可能な未来を形づくるための世界の動きを推進する4つの基本原則と、さらに細分化した16の原則を含んだ文書です。地球憲章は多様性の中に共通性を認識し、グローバルな社会の希望と願いを示した、人々の約束事です。人類の喫緊の課題、持続可能な生活についての理解を助ける教育的な役割も果たします。
地球憲章のロゴ
(Earth Charter Internationalより)
「地球憲章入門コース」を受講しようと思った理由は、ゼミで環境人文学を学んでいく中で、 地球憲章を理解してそれを周囲にも共有したいという想いをもったためです。環境問題などの国際問題を解決するためには、文系や理系、行政や教育機関、国境などの壁を越えた知識や活動などの共有を通して、人々が協力することが不可欠です。そのためには、地球憲章に示されているように、地域共同体や国家というローカル・国レベルではなく、「地球共同体」という、人間を含めた生物全てが一つのコミュニティに属していると考える新しいアイデンティティが必要だと思われます。しかし、憲章の根幹の理解が曖昧であるため、まずは憲章自体について理解を深めたいという想いから、受講を決めました。受講することによって、地球憲章についての知識の共有につながる学びが得られると考えました。受講にあたって、「令和4年度岡山ESDプロジェクト ユース活動支援助成金」を活用しました。
「地球憲章入門コース」は、コスタリカにある国連平和大学に拠点を構えるEarth Charter International(地球憲章国際本部)が英語で提供しているもので、世界中の誰でも受講することができます。コースは6つのパートから構成されており、各パートは約30分の動画が1つと、いくつかの読み物で構成されています。
第1回 Earth Charter を支える前文
第2回 生命共同体への敬意と配慮(基本原則1)
第3回 生態系の保全(基本原則2)
第4回 公正な社会と経済(基本原則3)
第5回 民主主義、非暴力と平和(基本原則4)
第6回 今後の選択の道
コース全体を通して、英語での受講であったため、環境問題を学ぶために必要な単語力をさらに向上させることができました。コース自体も、日本人が考えたものではないため、グロ ーバルな視点をもって学ぶことができました。
コースの第6回では、学びと実践を結び付ける方法を学びました。第6回のテーマは、地球憲章が実生活でどのように実践されるべきかというものでした。具体的には、小学校、企業、ブラジルの都市、活動家という異なるフィールドの事例が挙げられていました。例えば、ナイジェリアで活動されているEsther Kelechi Agbarakweさんは、地球憲章がプラットフォームであると語っています。環境活動家である彼女は、ナイジェリアとアフリカ代表で、国連の持続可能な開発委員会(UNCSD)の若者と子どもの主要グループでコーディネーターを務めました。2009年には、ナイジェリアの若者気候連合を共同設立しました。私たちが地球憲章で学んだことをアウトプットする上で、第6回に登場した”Think global, act local” という言葉が大事だと考えます。
このコースは一貫して、(1)意識と考え方の変容、(2)対話の重要性を繰り返しています。私たち生物は相互依存的で、自然環境が生命を持続させていることを認知する必要があります。また、今を生きる私たちは、現在だけに焦点を当てるのではなく、将来世代まで地球を持続させるための責任を負っているのです。そのためには、長期的な目標を含んだ目標設定が大事であることにも気づきました。
受講後の集合写真
地球憲章は、共通言語を見つけるための場であり、危機的な課題と人類が直面する選択、そして持続可能な生き方の意味を理解するための教育的な手段です。そのため、「地球憲章入門コース」を通して学んだ考え方を基に、意識の変革をもたらす教育的な取り組みが必要だと考えます。
具体的には、そもそも地球憲章自体を知ってもらえるように、ワークショップやミニレクチャーを行っていきたいです。グローバルかつ持続可能な考えを岡山地域に広めることにより、「SDGs未来都市」として知られる岡山の活動を促進することができると思います。
岡山だけではなく日本のほとんどの地域における、人間を中心にしているライフスタイル・
開発の現状に鑑みると、地域においてこの人間以外の生物への配慮はまだ十分に理解されていないと考えられるためです。したがって、教育的普及活動においてターゲットになるのは、若い人たちだけではありません。今の日本の生活を支えている大人たちも、この地球憲章の意義を理解して、仕事を通して行動を変革していく必要があると考えます。
地球憲章の視点から、大学においても問題があります。例えば、本学には給水機がありません。私たちはそこに改善の余地があると思っています。海洋ごみ問題などの環境問題を考え ると、ペットボトル飲料ではなくマイボトルを持ち運ぶことが推奨されます。地球憲章の2つ目の柱「生態系の保全」の7番にも、「生産、消費、再生産については、地球の再生能力を傷つけず、人権や公共の福祉を保護するような方法を採用しよう。」という項目があります。しかし、給水機がないと、マイボトルの水がなくなった場合に結局ペットボトル飲料を 買ってしまいます。大学から脱プラスチック・マイボトルの持ち運びを推進するために、給水機の設置が必要なのです。給水機設置に向けて、ゼミのメンバーと動いていきたいです。