私たちノートルダム清心女子大学国際教育研究会は、持続可能な社会に向けて国際社会を視野に入れた多文化共生の社会づくりをめざす青少年の教育について検討しています。2018年度岡山ESDプロジェクトユース活動支援助成金事業に採択され、「サステーナブル世界に向けて地域の知的財産を活かす人づくりの探求」を目的として和気・備前地区の「教育」に着目し、調査しました。
和気町役場玄関にて撮影
和気・備前地区は、閑谷学校開設の歴史を有する風土の中、過去から現在に至り時代に対応した教育活動を行っています。今日では、次のような代表的な活動があります。
この調査を行うにあたり、大学や社会教育の知的財産がどのように活用されているか、和気町と包括連携協定を結ぶ本学の地域連携センターの資料や文献を利用し、知見を得たのち調査のための質問事項を検討しました。
それをもとに、研修内容や研修先を研究会内で検討し、旧閑谷学校、和気町役場まち経営課、和気町学び館サエスタを訪問しました。研修で知り得たことを研究会内でとりまとめることで学びを深めることができました。
和気町は子育て世代を中心とした定住促進のために、教育環境を充実させた町づくりが重要だと考え、「教育のまち和気構想」を策定したと伺いました。
無料の公営塾では地域おこし協力隊や地元の大学生が主体となり英検対策などの授業を行い、保育園や幼稚園にはALT(外国語指導助手)を派遣し、早い段階から英語に親しむ環境づくりも行っています。
この活動には、教育によりほかの地域との差別化を図ることで地域を魅力化することと、グローバル化が進み、英語を話せる人材として観光業界を盛り上げていくという目的があるということがわかりました。
その他にも、県立和気閑谷高校の授業の一環で「閑谷學」という、商店街の活性化や産業振興といった地域の課題に、生徒自らが解決策を考えるという授業もあります。この学習から生徒たちの地域への愛着や責任感を育み、定住やUターンを促しています。
このような地域を中心とした学習は、将来の地域を担う人材を育成すると同時に、子育て世代にとっての和気町自体の魅力が増し、移住者増加につながっていることが分かりました。
その上、移住推進委員の設置や、お試し住居の整備、高校までの医療費無償化、商業用施設の誘致などの取り組みを行い、住宅・結婚・子育て・雇用など移住者が抱える不安を行政がバックアップするような制度もしっかり整えられています。その成果として2017年の移住者は2015年の4倍まで増加したそうです。
和気町役場でのインタビュー
和気町には江戸時代に身分制度によって、教育を受けられなかった庶民のために開かれた旧閑谷学校があります。その歴史が、現代の義務教育を始める上での基盤となっています。さらに、現代では英語に特化した教育が地域で行われています。そのことが、未来のグローバル社会において、人々が相互的に助け合える、持続可能な世界につながっていくでしょう。つまり、和気町では江戸時代も現代もその時代の教育における課題を解決し、未来の人材を育てる先進的な取り組みが行われているといえるでしょう。
旧閑谷学校の施設をボランティアの方に案内してもらう
井上夏生 岩成柚衣子 岡崎愛 岡村茜音 徳森沙弥 伴千紋 小野ゆかり 小林由佳 宗内詩乃 野浪花純 早稲田朋美