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【視察報告】行政若手職員と地元高校生による地域づくり 岐阜県関市役所VSプロジェクト

[2020年2月14日]

ID:38475

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#おかやまJKnote 大学生スタッフ 片岡優奈

関市役所VSプロジェクト訪問

2019年8月下旬「高校生の自主活動における、学校・行政・先輩世代の伴走支援の可能性に関する先進事例視察」という名目で岐阜県関市役所を訪問しました。
岐阜県関市は岐阜県中央部に位置し、人口86,000人の都市です。刃物の生産が盛んで市の特産品となっています。

岐阜県関市役所庁舎の写真

岐阜県関市役所庁舎

関市VSプロジェクトは関市内在住・在学の高校生を対象とした、関市及びまちづくりに対して高校生が主体的に取り組んでいくための活動で、2017年に、関市役所協働推進部市民協働課主導で結成されました。コンセプトは「高校生VS関市の課題等」で、名前の由来は

  1. 関市の地形である「V」とSEKIの頭文字「S」。
  2. 「versus」という英単語(「~に対する」という意味)で、関の高校生が関市の地域課題等に向き合ってほしいという思いから付けられました。初年度である2017年度の活動は、「地域のスイーツ作り」「公共交通」「空き家情報バンク」「地域資源マップ」という課題に取り組みました。

VSプロジェクトの活動は、市役所内の会議室にて、月1回(イベントのある月は2回から3回)休日などを利用して2時間から3時間ほど行われています。ミーティングでは、関市の問題点や魅力など様々な観点から話し合われ、今年度は「食と音楽」というテーマからプロジェクトが行われています。VSプロジェクトの活動では、市役所内のミーティングのみならず、実際に地域に足を踏み出して行うものが多く、地元商店街や飲食店、不動産など幅広いジャンルの人・組織と連携しています。インプットにも熱心で、外部の方を招いてのファシリテーショングラフィック研修や地域について考える勉強会なども行われています。

片岡さんと担当職員さんの写真

関市役所にて(左:片岡 中・右:関市役所VSプロジェクト担当職員さん)

これらの活動を伴走しているのは、関市役所の若手職員で、高校生と比較的歳の近い入庁3年未満の「おにいさん・おねえさん」が高校生の活動を支えています。

全国高校生まちづくりサミット

VSプロジェクトと同様の、高校生が主体的に地域を考え、地域に出ていく活動を始めようと検討する行政は近年増加傾向にあります。毎年、このような活動をしている団体を集め、「全国高校生まちづくりサミット」が行われています。
原則、毎年開催地を変え、地域の特色を出しながら全国の高校生・行政関係者の交流を行っています。開催実績は以下の通りで、2019年度は福井県鯖江市で行われ、過去最高の規模となりました。なお、2020年度は兵庫県尼崎市での開催が決まっています。

  • 第1回(2016年度)福井県鯖江市(高校生8団体51人)
  • 第2回(2017年度)静岡県島田市(高校生9団体50人)
  • 第3回(2018年度)岐阜県関市(高校生5団体25人)
  • 第4回(2019年度)福井県鯖江市(高校生12団体67人)
サミットの様子

2019年11月 福井県鯖江市で行われた「全国高校生まちづくりサミット2019」

行政が高校生の活動に関わることについての課題

VSプロジェクトの持つ課題もあります。高校生を伴走支援する市役所職員は、この業務専任ではなく、多くの業務を抱えながらであり、十分に高校生と向き合う時間が取れないことをあげていました。
また、行政の宿命として長くても3年で別部署への異動があり、担当者への引き継ぎの問題、必ずしも協力的ではない教育委員会との関係など、手探り状態で日々の運営を行っているそうです。

「行政×民間」で支える高校生の地域活動

次の文部科学省学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」が示され、教育は学校の中だけで行うものではないと言われています。特に、高校では「総合的な探求の時間」が必修化され、高校生と地域の関わりは切っても切れない関係になっていきます。
この流れから、今後、全国各地で、行政と高校生がいっしょになる活動がますます増えるのではないでしょうか。しかし、VSプロジェクトの持つ行政の持つ課題の解決もしなければいけません。その際、キーワードになるのはNPOなどの「民間」の存在ではないでしょうか。行政の持つ弱みを民間団体による柔軟な活動を行うことで補うことができるはずです。

#おかやまJKnoteの写真

#おかやまJKnote

私たち「#おかやまJKnoet」はまさに「完全民間活動団体」として発足し、2019年度は、岡山県備前県民局との協働事業、岡山市役所の観光プロモーションのお手伝いなど、行政との関わりを始めました。「地域×高校生」の持続可能な活動の肝は「行政×民間」の有機的なコラボレーションにあるのではないかと今回の視察を通じて感じました。

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