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オンラインセミナーを通じた、対人援助スキルの向上と健康福祉分野の充実促進

[2022年8月2日]

ID:41247

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NPO法人だっぴ 福島優実

福島優実さんの写真

私はNPO法人だっぴに所属し、学生と大人の交流を通して、様々な人の話を聞き、自分の想いを発信する場の提供に携わっています。

今回、令和3年度ユース活動支援助成金に採択され、対人援助スキルの向上と健康福祉分野の充実促進をテーマに、PAS心理教育研究所主催の対話力アップ「応答構成大演習」にオンラインで参加しました。

PAS心理教育研究所とは

国際基準の心理療法及びカウンセリングの研究等を中心に、心理相談及び市民スクールや専門家向けの研修、助言等を行う民間の研究所として1999年に東京都目黒区に開設され、以後、東日本大震災等へのスタッフ派遣や心理療法の研究、臨床家の養成を通じて、人々のメンタルヘルスの改善に取り組んでいます。

研修選定理由

大学時代から参加しているボランティア活動がきっかけとなり、人の居場所づくりに関心を持ちました。現代における課題として、多様性を認めようという社会的風潮が存在する一方で、自分の考えを言葉に表現できず悩みを抱えて生きる人の自己肯定感の低さ、多様な価値観を受け入れる体制づくりの不十分さを認識しています。NPO法人だっぴでは、“進路や働き方を模索する若者”と“地域の既成概念にとらわれない魅力的な働き方をしている大人”とがつながる場を創出し、参加者が自分らしい多様な働き方、在り方を見つけるとともに、地域社会の人的資源の向上と地域活性化の実現に寄与することを目的として活動しています。今後はだっぴでの繋がりにとどまらず、職場や地域での意識改革に取り組み、多様性を反映した地域づくりに努めたいと考え、研修に参加しました。

応答構成大演習

この研修は、グループワークを通じて、参加者が実際に応答に困った場面をもとに、より良い流れの展開を図る応答構成を考えるものです。相手の具体的な発言に対して、自分であればどのように応えるかについて実際に応答を作る過程で考え、自分らしく相手に応えることができるように演習形式で取り組みました。

研修では、参加者が実際に体験した“学童保育で以前は会話が成立していたのに、急に話ができなくなってしまった小学生の事例”等を題材に検討しました。特に印象的だったのが、「応答構成」とは、単純に話を聞くもの、会話をするものではないということです。話し手の言葉を聞いて、その場に登場していない要素があるのか、どのようにすればそれを引き出せるのかを考えて、次の言葉がでてくるような声掛けを行うものであって、常々思考して会話に参加する必要があるということです。そのため、聞き手は会話の当事者でありながら、客観的視点を持ち合わせていることが求められており、限られた会話の中で相手の想いに心を配ることの難しさを感じました。

本事業に参加する以前から、ボランティアで関わる中高生が、自らの想いのすべてを言葉にできない現状、言葉として表現することの難しさを感じており、相手の言葉を引き出せる関わりを学ぶことを、自らの研修を受ける上での課題のひとつとして設定していました。研修を通して、話し手が自分の考えを可能な限り理解できるように自分の思考を体系的に整理しながら言葉にまとめること、それが難しい場合には、言葉として表現されていない想いが汲み取れるように、聞き手が、話し手の言葉を聞きながら、内容が整理できるように働きかけ、言葉に落とし込むことを補助することが必要だと感じました。

今後にどう生かすか

ボランティアの中で出会った中高生との会話の中で、自由な発想を持っている一方で、想いを言葉に表現する難しさから、ためらいをもって参加していることを課題として感じていました。今回の研修を参考に、相手の言葉を引き出すということを意識して他者と関わり、多様性を反映した社会の実現に寄与したいと考えています。

特に、参加しているボランティアでの対話に活かせるのではないかと考えます。多世代の方との対話をする中で、総じて自分の経験をもとにして、相手のことも判断する傾向にあるということに気づきました。経験してきたことは、それぞれが他者には感じることのできない尊さをもったものだと思いますが、同じ経験を皆がしているわけではありません。さらに言えば、同じ経験をしていても、感じることは人によって異なります。そのため、同じ場面に遭遇しても、実際の当事者が“どう思うか”、“どう行動するか”はその人自身の判断に基づき、自由に決定がなされるべきだと思いますが、“どう思うか”の部分は、それぞれ経験も感覚も異なる他者が、自らの経験に基づいて、相手の行動から推測し、感じ取ることしかできません。したがって、この推測が上手くいかないと、誤解が生じたり、偏見が生じたりすることに結びつきます。会話は推測の連続で成立するため、聞き手は自分の推測が相手のすべてではないということを理解し、話し手の本来の考えが阻害されないように配慮する必要があります。話し手の言葉を否定しないこと、自分の考えは推測でしかないということを念頭に置き、どうしてその行動をとったのか、どうしてそう思ったのかを話し手が伝えやすいように配慮することが大切だと感じました。

さいごに

SDGsに対する取り組みの一環として、関心のある応答構成に関わる機会をいただけたことは、自分にとって大変励みになりました。研修を通じて、目的をもって学ぼうとすることが、自分に対する大きな刺激となることを実感する貴重な機会になったと感じています。

持続可能な開発目標とは何か、その答えは、社会的な問題について考え、自分自身の成長を感じる瞬間の中にあると思います。今後も、「すべての人に健康と福祉を」という大きな目標の中で、自分にできることを考え、行動に反映させることで、その一端を担っていきたいと考えています。