「いきいき社会貢献」では、のっぷとティアが社会貢献活動に取り組む岡山の企業を取材します。
第35回は、花口電機株式会社(以下、花口電機)におじゃましました。
なお、内容は取材当時のものです。
1968年に岡山市東区西大寺で電気店を開業して以来、花口電機は約60年にわたり地域の暮らしを支えてきました。家電製品の販売にとどまらず、地域の見守り活動や防災・防犯に関する情報発信などにも取り組んでいます。「これまで地域の皆さまに支えられてきたことへの感謝を込めて少しでも役に立てれば」という思いで地域貢献活動を続けています。
今回は、花口和正社長にお話を伺いました。

花口和正社長
花口電機は、岡山市内の警察や消防、学校などの公共機関に電気製品を納めるほか、地域の一般家庭を対象に家電製品の設置や修理も行っています。「まちの電気屋さん」として住民の暮らしを支える一方で、地域の見守り活動にも取り組み、SNSを活用した防災・防犯に関する情報発信も積極的に行っています。
【花口社長】
生まれてから今日まで西大寺で暮らしてきました。そのため、店のお客様に限らず地域には気軽に声を掛け合える人が多くいます。道端で立ち話をする中で、さまざまな地域の話題が自然と耳に入ってくることもあり、「あの人はどうしておられるかな?」といった話になることもあります。
また、約30年前には福祉用の杖やトイレ、ベッドなどを扱うための「福祉用具専門相談員」の資格を取得しました。きっかけは、「おじいさんが風呂から出られなくなったので助けてほしい」「おばあさんが転んでケガをしたが、どうしたらいいか」といった相談が頻繁に寄せられるようになったことでした。
ここ数年は、連合町内会をはじめ、「区づくり推進評議員」や「明るいはだか祭りを守る会」など、地域活動にも携わるようになりました。地域で活動していると、ケガをした人や事故に遭った人、熱中症になった人などに出くわすこともあり、その都度できる範囲で対応しています。
電気店という仕事柄、お客様とは親戚のように近いお付き合いになることもあります。ご自宅に伺う機会も多く、家族の様子を知っていることも少なくありません。そのため、親と離れて暮らすお子さんから「何かあったときは気にかけてください」と頼りにしていただくこともあります。

花口電機の店舗
日ごろから顔の見える関係で、ご自宅に伺うことも多く、そうしたつながりが思いがけず役に立つ場面もあります。
【花口社長】
真夏のある日、お客様に用事があって連絡をしましたが、電話がつながりませんでした。暑い昼間に外出しているはずがなく、買い物は朝の涼しい時間に済ませていることも知っていたため、不自然に感じました。そこで家を訪ね、インターホンを鳴らしたり声をかけたりしましたが、応答がありません。異変を感じて家の周囲を探していると、裏庭で倒れているのを発見しました。
すぐに家の中へ運び込み、どこの病院にかかっているかも把握していたので、かかりつけ医に連絡して往診してもらい、大事には至りませんでした。
【花口社長】
最近特に多いのは、特殊詐欺に関する相談です。「こんな電話がかかってきたけれど、どうすればいい?」とか「これから金融機関に振り込みに行くが、どうしたらいいかわからない」といった相談を受けることもあります。そうした場合は、大半が詐欺であることを伝え、「相手にしなくていいよ」と助言しています。困ったときに駆け込める、いわば「かけこみ寺」のような存在になっているのかもしれません。
とはいえ、こうした相談は誰にでもできるものではありません。日ごろから「困ったことがあったら、いつでも電話してよ」と声をかけていることもあり、皆さんに頼っていただいているのだと感じています。店に来られる人の相談内容は、電気のことよりも生活の困りごとのほうが多いくらいです。「ガラスが割れた」とか「カギをなくした」など、とりあえず困ったら「花口さんに言えば何とかしてくれるでしょ」と声をかけていただくこともあります。
私自身も年齢を重ね、地域の中でのつながりが次第に深まってきました。商売というより、この店がコミュニティーハウスのように、ここに来れば何かしらの情報があって、必要な人につながる。そんな場所だと思っていただけているようです。これからもそうした存在でありたいと思っています。
手作りの啓発チラシを店舗に設置したりお客様に郵送したりもしている
見守り活動や防災・防犯活動などを行う花口社長。活動のきっかけは自然災害の復旧支援に携わった経験です。
【花口社長】
防災を意識し始めたのは、20年ほど前に牛窓や宝伝が台風による高潮で浸水被害を受けたときでした。その時に片付けの手伝いに行かせていただいたことがきっかけで、「防災士の資格を取りたい」「お客様を守りたい」という思いが強くなりました。
そうした思いを抱いていた中で発生したのが「平成30年7月豪雨」でした。このときは土砂降りで仕事にならず、海辺や川沿い、用水路の近くに住む200軒ほどのお客様が心配になり、一軒ずつ電話をかけました。電話をすると皆さんとても安心してくださり、「ブレーカーを落として2階に避難したほうがいいよ」といった電気製品の扱い方や、実際に取るべき行動をアドバイスしました。
その後、2022年に防災士の資格を取得し、連合町内会などで防災・防犯活動に取り組むようになりました。
【花口社長】
防災士として、お客様に必要な情報や物資を提供できる存在でありたいと考えており、季節に応じて「熱中症に気をつけましょう」とか「寒波が近づいているので水道の凍結に気をつけましょう」などの情報を、店の公式LINEを通じて発信しています。
また、人と人をつなぐ存在になりたいという思いも強くあります。現在は地域の先輩方が中心となって活動を引っ張ってくれていますが、若い世代の参加が少ないことが気になります。若い人が地域活動に少しでも関わってくれれば、また新しい地域のつながりが生まれます。人と人との関係が強くなれば、地域はもっと元気になると思います。
西大寺の仕事は西大寺の人が担うのが良いと思っています。西大寺の経済が地元で回れば、地域はもっと潤い、顔の見える関係が信頼を生み、お互いに安心して仕事ができると思います。地域の皆さんやお客様といろいろとコミュニケーションを重ねることで、地域が発展していくと思うので、活動を通して人と人とのつながりを広げていきたいと思っています。


公式LINEで情報を発信
西大寺地域で見守り活動や防災・防犯活動に励む花口電機。今後の展望を聞きました。
【花口社長】
花口電機に地域の情報が集まるようになれば、「あの人、最近見かけないけど元気だろうか?」と心配する人がいたときにも、「元気にしとるよ」など近況を伝えられることがあります。この地域で長年仕事を続けてきた中で培った知識や人とのつながりを生かし、地域の皆さんが安全・安心に暮らせるお手伝いができればと考えています。
周りに「良い人しかいない」と感じられる環境で暮らせることをとてもありがたく幸せに思っています。これからも「地域のかけこみ寺」として、地域の皆さんと支え合いながら活動を続けていきたいと思います。

