ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

Language

その6【株式会社ココロエ一級建築士事務所】

[2015年5月25日]

ID:40493

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

「いきいき社会貢献」では、のっぷとティアが社会貢献活動に取り組む岡山の企業を取材します。第六回は、株式会社ココロエ一級建築士事務所におじゃましました!
なお、内容は取材当時のものです。

「古い建物を再生した場所」ときくと、皆さんはどんなところを思い浮かべますか?

古民家を改装したカフェ…
蔵や倉庫を改装したお店…
色んな場所が浮かぶかもしれませんね。

岡山市中心部でも、奉還町商店街や出石町等のエリアで古い建物がカフェやお店等に生まれ変わり、新たな時を刻む場所が増えています

株式会社ココロエ一級建築士事務所

第六回目のいきいき社会貢献では、「すまい・まちデザイン」をテーマに、地域づくりのプロジェクトに取り組む株式会社ココロエ一級建築士事務所をご紹介します。

株式会社ココロエ一級建築士事務所とは?

株式会社ココロエ一級建築士事務所(以下、ココロエ)は、2008年に社長の片岡八重子さんが夫の出身地である岡山へ移住したことをきっかけにスタートしました。現在では3名の社員と一緒に、建築物の設計・施工をはじめ、建築における計画立案や管理業務等を行っています。

ココロエの特徴は建築の分野だけでなく、地域づくりのプロジェクトを行っていること。
建築士事務所のパンフレットやウェブサイトでは、その事務所が手がけた建築物が紹介されています。しかし、ココロエでは建築物の紹介だけでなく、ココロエがこれまで手がけてきた「プロジェクト」が紹介されているのです。

ココロエの社長・片岡八重子さんにお話を聞きました。

片岡八重子さん

「ココロエは、建築物の設計・施工だけでなく、その周辺の地域づくりのプロジェクトも行っています。
プロジェクトの過程で大切にしていることは、様々な立場の人が参加できるきっかけをつくること。改装の過程からワークショップやイベントという形で、地域に暮らす学生や社会人が参加できる機会をつくり、建物の活用方法について意見を出し合ったり、空間づくりを行ったりしています。
ワークショップやイベントが、人と地域が出会う入り口となり、ゆくゆくは地域に暮らす人々の新たな居場所となっていきます。私たちはこの作用を『まちのリノベーション』と呼んでおり、人と地域との結びつきや地域の新たな魅力を生み出すことにつながると考えています。
プロジェクトによって異なりますが、建築物の改装にかかる時間は約一年。その後も地域と向き合う時間を考えると長いお付き合いになります。これらは、利益や効率化が重視される中ではじかれてしまった、『時間がかかること』・『手間がかかること』なのかもしれません。しかし、私たちは地域に腰をすえて、ゆっくり向き合っていきたいと思います。」

「尾道空き家再生プロジェクト」のはじまり

ココロエが現在まで手がけてきたプロジェクトは、岡山県内に限らず、広島県の尾道市、東北地方、関東地方等、全国各地にわたります。
もともとのきっかけは、片岡さんが岡山での暮らしを始めた時、大学時代の友人のつながりで関わった広島県尾道市の「尾道空き家再生プロジェクト」別ウィンドウで開くだったそうです。2008年の立ち上げ以来、「尾道市空き家バンク」※のしくみづくりや空き家再生に携わる人材の育成、サポートメニューづくり等の様々な基盤を築き、全国から視察が訪れるプロジェクトにまで育て上げました。
他にも、大学と協働で尾道市の特徴に関する調査・研究を行ったり、定期的にワークショップやイベントを開催したりと、地域と向き合いながら活動しています。

※尾道市空き家バンク:尾道市や古い家に住んでみたい人と、空き家の大家さんをつなげるしくみ。

再生過程に地域の人が関わることで、建築物がまちに溶け込む

職人や専門家だけで空き家を再生して入居者に引き渡した場合、つくり手と使い手の意図が食い違って上手く活用されなかったり、入居者が出て行ってしまい再び空き家になったりすることがあるそうです。ココロエはそのみぞを埋めるために、様々な立場の人が集まって建築物の活用方法を話し合ったり、実際に壁塗り等の改装作業を行ったりするワークショップやイベントを開催しています。

ワークショップで庭のタイルを制作している写真

ワークショップで庭のタイルを制作している様子

色んな人がアイデアを出し合いながら取り組んでいる写真

色んな人がアイデアを出し合いながら取り組む

ワークショップやイベントに参加した人々も、改装の過程から主体的に関わることでその建築物に愛着を持ち、完成した後も日常的に立ち寄ったり、イベントに参加したりするようになっていきます。
これらの過程を経て、建築物が「まちに溶け込む」ように、生まれ変わっていくのです。

ココロエが手がけるプロジェクト

のっぷ

岡山市内のプロジェクトについて紹介するよ!

「NAWATEプロジェクト」(岡山市北区奉還町)

NAWATE実行委員会のメンバー

岡山市北区にある奉還町商店街で、約20年前から空き家となっていた建物を再生しようという話が2012年秋に持ち上がり、2013年1月から改修が始まりました。それが「NAWATEプロジェクト別ウィンドウで開く」です。
「建物をただ改修するのではなく、改修された建物がまちの中の『新たな場』となるように、様々な立場の人の意見を聞き入れながら再生していきたい」。
そんな思いから不動産や工務店、アーティスト、WEBデザイナー、建物再生に興味がある学生やフリーター、ゲストハウスに興味を持つ人等でNAWATEプロジェクトの実行委員会を立ち上げ、ココロエがその事務局を務めています。そして実行委員会のミーティングを通じて出された様々なアイデアを実践していきました。

現場見学会の様子

まずは、改修前の現場見学や周辺地域のまちあるき、「NAWATEの小さなお祭り」等のイベントを開催。これらを通じて、地域の人や出店希望者がNAWATEの「改修前の姿」にふれ、「改修後の姿」を思い描くきっかけをつくりました。
出店者も不動産広告等で募集するのではなく、お手製のチラシを皆で配布して呼びかけを行いました。また予算の都合も踏まえ、ゲストハウスの内装や中庭等の共有部分における改修作業をDIYで行う形式をとり、たくさんの人が参加しました。

NAWATE内にあるゲストハウス「とりいくぐる」の写真

NAWATE内にあるゲストハウス「とりいくぐる」

NAWATE実験室を改装している写真

NAWATE実験室を改装している様子

現在は、ゲストハウスと5つの店舗が入居する複合施設として運営されています。定期的にライブ等のイベントも開催されており、人が集まる場として新たな時を刻んでいます。
「建物を再生する過程に、まちの人や建築物を使う人が主体的に関わるきっかけをつくることは、現在のNAWATEにつながっていると思います。これからも色々な人がまちに関わるきっかけになるような場所として持続できればと思っています」と片岡さん。
今後は空いている一室を「NAWATE実験室」と名付け、奉還町商店街で何かアクションを起こしたいという人の拠点として活用できるように整えていくのだとか。

「たまりBAR福岡醤油建物プロジェクト」(岡山市北区出石町周辺)

たまりBARの様子

「旧福岡醤油建物」(以下、旧福岡醤油)は、岡山後楽園の近くにある明治中期に建てられた伝統的な建築物です。昭和までは建物の地下で醤油がつくられていましたが、2011年に持ち主がなくなって空き家となっていました。
この旧福岡醤油の保存・活用策を検討するプロジェクトが立ち上がり、岡山理科大学弥田研究室から声がかかり、ココロエも参加しています。
このプロジェクトでは、皆で旧福岡醤油の魅力にふれ、心から「こうあってほしい」と思う空間をつくっていくために、2014年6月から定期的に「たまりBAR別ウィンドウで開く」を開催しています。関係者だけでなく地域の人々や学生も集まり、醤油がつくられていた場所を見学したり、満月BARが提供するドリンクを楽しむことができます。

たまりBARを通じて閉ざされていた空間を開放したことで、「この場所を残していきたいね」という声が増え、様々な活用方法のアイデアも生まれているのだとか。今後もじっくり育まれ、旧福岡醤油の新たな歴史をつむいでいくことでしょう。

その他にも、倉敷市玉島にオープンした「IDEA R LAB別ウィンドウで開く」を中心に、地域に根ざしたクリエイティブリユース(廃材を利用し新しいものを生み出す活動)の拠点づくり・地域づくりをサポートしたり、尾道市の空き店舗の改修を行ったりと、様々な活動を展開しています。

まとめ:まちづくりを生み出すまちづくり

様々な人の手によって生まれ変わったNAWATEや旧福岡醤油は、新たなまちづくりにつながっています。
建築物を建てることや改修することは、その地域をつくることにつながるんですね。地域と向き合い、様々な立場の人を巻き込みながらプロジェクトを進めていくココロエ。

地域に人が集まる場所が増えることで、人と人とのつながりが増え、お店が増え、地域のにぎわいを生み、それがまた地域の新たな魅力となり、外から人がやってくる。そんなまちづくりの連鎖が今後も広がっていってほしいですね。

株式会社ココロエ一級建築士事務所

ココロエが開催するイベントやワークショップ等について知りたい方はこちら!

のっぷ

次はどんな企業におじゃましようかな?楽しみだなぁ!

なお「いきいき社会貢献」では、「取材にきてほしい!!」という企業を募集中です。希望される方はお問い合わせフォームより、企業名、社会貢献活動の内容を添えてご連絡ください!