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#5 若者がめざすまちづくり

[2017年1月4日]

ID:43164

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ふるさとを元気にしたい

たけべおこし

少子高齢化・人口減少が深刻な建部町ですが、20年後も現在と同じ割合で若者がこの町を出ていけば、子どもはいなくなり、あらゆる地域の担い手が不足するなど、建部町存続の危機が迫っています。
子どもの頃に比べ、すっかり寂しく衰退していくふるさとの様子。そんななか、2014年5月「自分たちの手で大好きなたけべを元気にしよう!」と20代から40代の若者を中心に有志が集まり「たけべおこしプロジェクト」を立ち上げました。

建部町公民館では、団体支援と協働という立場で立ち上げから現在まで関わっています。若者たちの話を聞き一緒に方法を学び考えたり、地域の人をつなげたりする拠点となっています。

若者自身が気づく

話し合いの様子

最初メンバーは、何をすればいいのか方法が分からず話合いばかりが続きました。しかし、毎回集まると子どもの頃の楽しかった思い出や、大好きなたけべのカヌーをもっと広めたいとか、伝統ある自慢の祭りをもっと盛り上げたいなどのやりたいことで話が盛りあがります。やがて子どもの頃の楽しい思い出は、たくさんの親世代が経験させてくれていたことや、たけべの大好きなことは、絶やさずに守り続けてきた先輩方のおかげだということに自ら気づいていきます。
親や地域の先輩方が経験させてくださったように、大人も子どもたちのために本気になって何か楽しいことをすれば、子どもたちもたけべを好きになって、自慢したい、帰って来たい故郷になるかもしれない!
まずは「自分たちの存在や思いを知ってもらおう!」とチラシを作成。地域で行われているイベントに積極的に参加していきました。

動く、動く、動く!

たけべの未来塾

メンバーは、もっと仲間を増やして更に団体として力をつけようと考えました。そこで、たけべの未来と盛り上げる方法を一緒に考え挑戦する「たけべ未来塾」を公民館と協働で実施することになりました。
結果、新たなメンバーが増えただけではなく、未来塾を通して若者向けにたけべの魅力を伝える媒体や機会がないということに気付きます。

たけべ暮らし・たけべのごちそう

「無いなら自分たちで作ってしまえ!」とたけべの日常を体験できるパンフレット『たけべ暮らし』、たけべにあるおススメの飲食店やスポットなどを盛り込んだ冊子『たけべのごちそう』を発行しました。さらに今年の11月に、「たけべ」をテーマに「食」、「工芸品」、「体験」を集め、「お客さんも出店者も地域の人も喜んで‘たけべっていいな’と思ってもらえる市(いち)がしたい!」と『たけべマルシェ』を開催。地域全体で盛り上げようと、町内会や保育園・小学校や中学校だけでなく、商工会、観光団体、行政の方々も協力してくださいました。

コラボダンスを披露

また、中学生がメンバーとダンスを一緒に踊りたい!との声に、準備の合間で練習しコラボダンスを披露。たくさんの方々に喜んでいただきました。

動けば、動くほど、地域の方々のたくさんの笑顔が見え、たけべが元気になっている!そう感じた瞬間でした。
「とりあえずやってみよう!」今ではすっかりメンバーの合言葉です。誰かのために何かしたい、町のために何かしたい。メンバーは動くことで、必ず何かが変わるのだと自らの経験を通して実感しています。

環境を乗り越えて

建部町出身者、嫁いで来た人、移住してきた人、10代から40代、様々なメンバー。子どものいる人、共働きの人、自営業の人、市の職員など、同じ若者でも、環境も立場も違います。子どもがいるお母さんたちは、お昼が動きやすく、仕事をしているメンバーは夜の方が参加しやすい。働き方も色々で土日が休みとは限りません。また、個性豊かなメンバーが集まっている分、意見も様々。意見を言いにくい人もいます。しかし、事業を成功させるために、担当リーダーは工夫をこらして一人一人の事情を聴き、個人に合わせて参加しやすい時間帯や、これならできる、参加したいという個々の意見をくみ取りながら役割分担をお願いしています。

様々な違いは、活動の障害ではなく、全て活かせる良いこととして捉える。彼らは幾度となく話合いを重ね、挑戦していくうちに各々の違いを理解しようと努力しあいながら仲間として深くつながっています。「やりたい」を一緒に実現できる仲間がいること。「たけべおこしプロジェクト」は、多くの人達から支えてもらい協力をいただきながらたどり着いた、若者たちにとってかけがえのない居場所になっています。

また、思いを形にしようと動いたことで、地域で活動する様々な人や、組織・団体との新たなつながりが生まれました。初めての経験が多く、家族や地域の方々にはたくさん心配をお掛けしていると思います。しかし「行っておいで」と背中を押してくれる家族や、「やってみたらええが」「がんばっとるな」と温かい言葉とともに力を貸してくださる地域の方々。今こうして思い切って挑戦できているのは、そんな応援してくださる人たちの存在です。

これから

たけべおこしプロジェクト集合写真

今たけべおこしプロジェクトは、約30年前に埋められたタイムカプセルについてイベントを企画中です。メンバーの中にもタイムカプセルを埋めた記憶があり、どんなものが入っているのか楽しみにしています。もっと多くの仲間を集い、地域の協力を得ながら、たけべに住む人全員が関われる事業にしたい。そして、子どもたちにも同じように記憶に残り、自分たちと同じように大人になった時に故郷を思い出すものにしたいと考えています。

さらにプロジェクトの活動について発表してほしいとの依頼をいただくことが増えました。メンバーは少子高齢化・人口減少は建部町の問題だけではないということを感じています。他の地域の事例で良い取り組みがあれば自分たちもやってみようと取り入れたり、自分たちの活動が他の地域に活かしていただけるなら惜しみなく情報を提供したりしています。

故郷の良さを残し、暮らしている地域を良くしていくのは、自分たちの世代だということに向き合い、「自分たちにできることがあればやる」という意思を持って活動を続けています。

地域を超えて協力しあい、地域社会全体を元気にしたい。プロジェクトの活動はまだまだ進み続け、様々な機会をチャンスと捉えて挑戦しています。地域の若者が頑張っている姿は、地域の希望であり、誇りであり、活力ではないでしょうか。この先この地域がどうなっていくのか、見続けてください。

延江 典子

建部町公民館 地域担当職員。
大学時代に社会教育主事の資格取得のために社会問題を学ぶ。個々が抱える問題は社会の問題と通じている点に興味を抱く。そして青年のための集い学ぶ場である岡山県青年館での実習を機に、若者が中心となって「自分たちのまちを自分たちの手で良くしていこう」と活動をする青年団に出会う。地元の青年団は平成の大合併を機に衰退し解散。岡山県青年団協議会に所属し、地域青年が日頃の活動を発表する「岡山県青年祭」や共同学習の場、研修会を企画し開催している。地域青年を全国大会へも派遣し、仕事の傍ら青年と青年、青年と地域、青年と社会を繋げる活動を現在も行っている。3年前から公民館に配属になり、公民館職員という立場や青年団という経験と繋がりを活かし、地域の若者と一緒に「たけべおこしプロジェクト」の立ち上げに関わり、協働のまちづくりを目指して活動に携わっている。