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♯26 旭川源流大学実行委員会

[2020年7月3日]

ID:43124

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団体紹介

私たち旭川源流大学実行委員会は、2004年発足の岡山野生生物調査会を事務局に県内の大学生及び高校生と小・中・高校の自然科学系のクラブ活動や県内大学のゼミの教師と各分野の専門家・愛好家が一年単位の宿泊研修企画「旭川源流大学」を実施するため2010年に設立されました。「旭川源流大学」の企画内容は2002年から中学高校の生物系クラブ活動の顧問教師有志によって実施されていた一日研修企画「中高生のための水辺教室」を発展して県内の大学の先生と学生との協力で2006年より開始されました。この企画を実施する中で実行委員会形式の当実行委員会が発足した訳です。岡山理科大学の環境教育地域支援研究会の先生方には当初から現在まで大変ご尽力を頂いてきております。更にこれまでに岡山大学・香川大学・信州大学・広島大学などの先生方にもご参加を頂いております。大学のゼミの学生さんたちには実行委員会の毎年1月の総会行事の中でご自分の卒業研究を中学生・高校生・一般向けに楽しく研究紹介をして頂くという恒例の企画も実施しております。こうして、2019年まで10回実施され、旭川流域を中心に岡山県内外の野生生物の研究・調査・観察を行い、旭川流域の自然史の解明と学生・市民向けの自然観察会を続けています。また、最近では、ホームページでの活動紹介だけでなく、研究や観察をした現地の住民の皆様に向けた公民館などのロビー展示室や地域の文化祭などに参加した「旭川の生き物展」と題した写真パネル展示を6年前から実施してきております。若手の写真家の方に協力して頂いております。

竜宮岩の写真

旭川水系新庄川 真庭市神代 竜宮岩

鍾乳洞の写真

旭川水系新庄川 真庭市神代鍾乳洞

オオサンショウウオの写真

旭川水系目木川支流黒郷川 鏡野町富 オオサンショウウオ

ウミホタルの写真  

瀬戸内海 下津井大浜海岸 ウミホタル

「調べて、伝えて、考える」という新しい形を追求して

旭川流域には、源流から河口の干潟や瀬戸内海の島々の海岸まで、多種多様な生き物が億年単位の長い歴史の中で生き延びて生息しています。中には、全国的にも全世界的にも非常に珍しい生き物も棲んでいるのです。2億年前から姿をほとんど変えていないオオサンショウウオやカブトガニや、日本列島が陸続きだった頃の氷河期の生き残りといわれる汽水に棲むシカメガキや源流域の一部に棲むシノビアミメカワゲラ・ガガンボカゲロウなどの水生昆虫、それに完全に陸生に特殊化したトビケラのヤマトビイロトビケラや、早春にだけ可憐な花を咲かせるセツブンソウ・カタクリ・ユキワリソウ・ユキワリイチゲなどがそうです。氷河期には淀川と繋がっていた旭川・吉井川にはアユモドキという特殊なドジョウの仲間がいます。これらの生き物は現在棲み場所を追われたり、棲み辛くなって絶滅の危機に瀕しているものも数多くいるのです。蝶などの昆虫類も県内には絶滅を危惧されている種類がいます。これらの生き物の姿を流域の皆さんに身近に伝えたいと考えました。十数年前には住民の皆さんも目にされていた生き物が現在見られなくなったといった情報も大変貴重なのです。公民館の展示室や地域の文化祭で私たちや大学生の皆さんが研究・調査・観察したことを地元の流域の皆さんに伝えて、地域の自然の行く末について共に話し考えるという新しい形を追求していこうと考えています。「自分の地域の自然は自分たちの手で調べて守る」というのが理想ですが、研究者や専門家の情報を地域づくりに生かしてふるさとの未来を考えていくことのお手伝いが少しでも私たちにできればと考えています。

巡回展示「森・川・海の生き物展」の様子

操山公園里山センター 巡回展示「森・川・海の生き物展」

「生き物たちのいのちの輝きに感動する心」を大切に

地震や豪雨などの自然災害や疫病パンデミックが立て続きに襲い、ますます厳しさを増す社会状況の中で、私たちのくらしは不安に苛まれる毎日です。このような中でも、自然の生き物たちは、怯むことなく自らの命を精一杯輝かせて生きています。この命の輝きに目を向けたときに私たちは不思議な感動を受けることがあります。この感動こそが私たちが生き物たちと同じ地球の生態系に繋がっていることの実感ではないかと考えてみてはどうでしょうか。野生の生き物たちとは遥かに変化してしまった人類ですが、美しい自然の光景や生き物の輝きに見惚れる自分を発見するときに、子どもたちは自然との繋がりに安らぎを与えられるのではないでしょうか。老いたる者たちは子どもの頃に出会った自然に感動する心を再発見して「ああいつ死んでも地球の生き物たちのように同じ土に還るのだ」と悟るのではないでしょうか。物言わなくとも、これらの生き物たちは、私たちの心の中に計り知れない宝ものを与えているのではないのでしょうか。この感動する心の発見を、大切に伝えていきたいと考えています。

クマゼミの写真

クマゼミ 面構え(撮影者:石井貴志氏)

自然観察の機会を多く持ってみてはいかがでしょうか

今、様々なところで自然観察の行事が行われています。県内の市町村主催の観察会や水辺教室などがあります。私たちも協力していますから皆さんに出会うこともあるかと思います。一つユニークな自然観察行事を紹介します。旭川中流域の本流を一部堰き止めて川底の生き物調査を大勢の市民の参加で行う「旭川かいぼり調査」です。7月下旬に真庭市の勝山文化センター前で、11月上旬に岡山市北区建部町の竹枝小学校前でそれぞれ行われる予定です。スタッフによる安全対策と講師解説もあり無料です。

ここまでコラムを読んでくださった方々は、絶対に面白いのでぜひ参加してみませんか。

ユキワリイチゲの写真

ユキワリイチゲ 岡山市北区

旭川源流大学及び観察会の開催地と巡回展示会場の流域地図

「森・川・海の生き物展」関連会場の地図

公民館等での巡回展のポスター

巡回展のポスター

寄稿者情報

旭川源流大学実行委員会
事務局 吉鷹一郎

関西高校に35年勤続定年後、操山高校・後楽館高校・御津高校勤務、現在、興譲館高校勤務。

岡山県野生動植物調査検討会委員(県レッドデータブック選定委員)、県下の自然環境団体等と協力。水生昆虫研究会、日本ベントス学会、岡山淡水魚研究会、大阪市自然史博物館友の会所属。

吉鷹一郎さんの写真

第2回川に関わる環境学習の集い
「旭川シンポ」
岡山市北区建部町
「めだかの学校」
立ち上がって話しているのが筆者
(撮影者:石井貴志氏)