地域を巻き込んだ子育て支援の取り組みを行う中国短期大学保育学科。地域の方とどのようにつながり、盛り上げているのか、中短子育てパーク実行委員会事務局の原田眞澄先生にお伺いしました。
本大学では何か地域のお役に立てることをしたいと、日ごろから考えていました。
ある時、県北の大学での子育て支援の事例を知り、子育て支援を通じて地域貢献できないかという思いが芽生えました。
この大学の広々とした芝生の中庭や、保育を学ぶ学生という人材を活用すれば何かできるのではと考え、備前県民局に相談を持ちかけて一緒に子育て支援の取り組みを始めました。
ただ、予算や設備がない中、何をどうしたらいいのか最初は手探り状態でした。そこでまず思い付いたのが「おもちゃ公園」の催しです。
「おもちゃ公園」は、おもちゃと絵本のリユース、壊れたおもちゃを治してくれるおもちゃの病院、そして大学の中庭を使ったプレーパークの3本柱で、毎年3月ごろ開催しています。吉備公民館や岡山市子どもセンターの方にお力をお借りしながら実施していて、子どもたちに物を大切にする心を育ててもらいたいという願いを込めています。
当日リユースするおもちゃや絵本は地域の皆さんが使わなくなったものを譲ってくださったもの。本学の図書館を回収窓口として毎日受け付けており、今では地域のさまざまな世代の方が年間を通じて持ってきてくださいます。大切に残してあったおもちゃを「使ってくれる子どもさんにあげて」と託してくださる姿を見ると、地域の方々の思いが、次の世代へつながっていくのだと嬉しくなります。
予算も設備もない中でどう進めていくか悩んでいるとき、学科長から「私たちにない物は借りましょう。頭を下げてお願いし地域の方に感謝をすることが大切です」と助言がありました。お金や物がないからできないとあきらめるのではなく、借りたり相談したりする行為を経て地域と協働することを通して、「おもちゃ公園」が地域のイベントに発展してきたと思います。
「おもちゃ公園」のほかに、吉備公民館の方々と一緒に0・1・2歳の子どもとその親を対象にした「この指と~まれ」という子育て支援を行っています。吉備公民館が主催となり企画を行いますが、大学側は会場を提供したり、私たち教員が子育てについてのミニ講座を担当しています。また、保育を学ぶ学生が学外へ出向いたり、子どもたちを学内に招いて交流をする「あっぷる(APPLE)」という取り組みや、子育て支援者を対象とした研修会も行っています。
大学だけでやろうとするのではなく、いろいろな力を持っていらっしゃる地域の方と一緒に協力し合いながら、地域に細く長く根づくような取り組みにしたいと思います。また、学生が持つ力を発揮して、責任とともに任せられる喜びを感じられるように進めていきたいと思っています。
「おもちゃ公園」の柱のひとつ、おもちゃの病院。地域ボランティアのおもちゃドクターたちが子どもたちの壊れたおもちゃを治してくれます。治ったおもちゃを見た子どもたちはドクターたちに尊敬のまなざしを注いでいます。
広々とした大学の設備を使って親子のふれあいを楽しむ子育て支援「この指と~まれ」は、年4回の開催。詳しくは吉備公民館(電話086-293-2170)にお問い合わせください。
(ご参考)
吉備公民館(電話086-293-2170)
※「この指と~まれ」についてのお問い合わせ・お申し込みは、吉備公民館(電話086-293-2170)にお願いします。
創立50年を間近に控えた総合短期大学で、保育者養成の分野に長い歴史を持っています。在学2年間という短い期間を有効に活用すべく、実践に重きを置いたプログラムや、卒後のフォロー教育などにも力を入れています。
「中短子育てパーク」へ学生を積極的に参加させることも重要視していて、親子や地域との関わりを積極的に持たせることで実践力を養うことはもちろんのこと、次世代の親を育てたいという思いも持っています。
中国短期大学別ウィンドウで開く 保育学科