今の日本には、同年代の他の子どもたちと比べてさまざまな機会を奪われている子どもたちがいます。経験の機会が少なかったり、勉強をしたくてもできない環境にあったり、地域にとけ込めず家庭全体で孤立してしまったり…。さまざまな要因で困っている子どもたちを助けようと、子どもの貧困対策が進められています。
そんななかで、自分の思いとは反して経験や夢という「つばさ」を奪われた子どもたちの力になりたいという思いから名付けた『つばさ』。子どもたちの貧困について考え子どもたちに寄り添うとともに、子どもや家庭、地域、社会全体を支えていくために何ができるのか、社会への啓発活動も行っています。
今回は、代表理事の紀 奈那さんにお話を伺いました。
私は社会福祉士になるための専科に所属していたのですが、大学3年生の時、先輩から実習先・京都トワイライトホームでの活動体験を聞いたことがきっかけです。
岡山は全国的に見ても非行率が高く、その背景にはさまざまな要因があり、子どもたちは多様な悩みを抱えるなかで道をそれていくという現実があるのです。そのことを、もっと多くの人に知ってほしい。そして、その要因や子どもたちの悩みをサポートしていこうと立ち上がった先輩と共に活動をスタートしたのが、2015年になります。
6年前から続く取り組みで、夕方から夜にかけて、小学校1年生から高校3年生が利用できる“居場所”として運営。経済的に困っている子どもや発達障害をかかえている子ども、不登校の子どもなど、さまざまな問題を抱えた家庭の子どもたちが利用できる場所となっています。年齢の近い学生と遊びや勉強、食事を通してマンツーマンの関わりを大切にし、子どもたちが自分らしく過ごせる場所となることを目指します。スタッフが学生の悩み事や困り事を受け止め、状況に応じて専門家につなげる橋渡しの役割も担っています。
倉敷トワイライトホームでの食事
人生ゲームを楽しむ様子
『倉敷トワイライトホーム』は倉敷市内に2拠点あり、登録制。現在5家庭が登録しており、定期的に利用していますが、学校が長期休暇の時期には問合せも急激に増え、午前中から事務所に訪れて勉強したり話しをしたりする子どももいます。場所は非公開なので、詳しくは問合せを。
2020年の春に開始した活動で、食料品や日用品など各家庭で余っている物を持ち寄って、岡山県内の子育て家庭に届けています。
私たちは、少人数制の『倉敷トワイライトホーム』のほかに、大人数が集まる『こども食堂』のサポートも行っていたのですが、コロナ禍で人が集まることができなくなったため、「何か今までとは違った手段でのサポートを」と、地域の方から寄付いただいた野菜や米などの物資を、子育て家庭に配布する活動を始めました。活動開始当初は、物資の配達はすべて各家庭に直接足を運んでいました。今は、配布会場に取りに来てもらい、受け取りが難しい方は個別に家庭を訪問し届けています。
こちらからアクションを起こすことで保護者とのコミュニケーションをはかることもできるようになり、そこで出会った子どもたちも支援につなぐことができると考えています。
物資収集の様子
活動開始当初は各家庭に宅配も
今は中・高校生向けの居場所となる無料カフェ『MUSUBI』など、倉敷駅周辺を中心に開催していますが、今後はキャンピングカーを利用して、駅から離れたさまざまな地域で“移動式の居場所”を展開していけたらと考えています。
支援団体が少ない地域にも、私たちから会いに行きます!
子どもたちの変わらぬ“居場所”づくりのため、運営団体では食糧品や消耗品、現金の寄付を受け付けています。
倉敷トワイライトホームの活動継続のために、何かできればと思ってくださった方は、ご協力をお願いいたします。
以下のホームページ・連絡先より団体にご連絡をお願いいたします。
地域や家庭において寂しい思いをしている子どもをなくすことを目的とし、子どもの居場所づくりや貧困の連鎖を解消するための学習支援、子どもの貧困対策についての社会に向けた啓発活動を行っている法人です。
地域と家庭の懸け橋となり、浮き彫りになった問題に対して迅速に解決策を講じることができるよう、専門家同士のネットワークを構築するとともに、支援を必要とする人の負担を軽減するため、支援者の窓口にもなっています。
また、地域を巻き込んでの包括的な貧困対策を行うことで、地域全体で子どもを見守る体制づくりにも力を入れています。