[2023年12月28日]
ID:5504
税負担額を、納税義務者の実情に応じたものとするために、市県民税の税額の計算では「所得控除」が行われますが、それとは別に、計算した税額からさらに一定の金額を差し引く「税額控除」(調整控除、配当控除、住宅借入金等特別税額控除、寄附金税額控除、外国税額控除)及び「配当割額・株式等譲渡所得割額の控除」が定められています。
なお、「所得控除」については所得税でも市県民税でも種類は同一(ただし、控除額が異なる場合がある)ですが、「税額控除」については、所得税と市県民税とで規定が異なるため、種類も額も異なります。
所得税の税額控除については、下のリンク先をご覧ください。
所得税と市県民税は、どちらも納税義務者の課税所得金額を元に税額を計算しますが、その計算に使用する所得控除のうち、「人的控除」と呼ばれる8種類(※1)については、所得税と市県民税とで控除額に違いがあります(所得税の控除額の方が大きい)。そのため、市県民税の課税所得金額(税率をかける前の金額)は、所得税の課税所得金額よりも大きくなります。
一方、平成19年度において、地方分権政策の一環として、「所得税の税率を下げて、市県民税の税率を上げる」という形での税源移譲が行われました。これは本来、国と地方(都道府県・市区町村)との間での分配の割合を変える措置ですが、上のように課税所得金額が異なるため、そのままでは実質的な増税になってしまいます。
そこで、この措置から生じる負担増を調整するため、一定の額を市県民税の税額から控除する(引き下げる)措置が行われることになりました。これを「調整控除」と呼んでいます。
(※1)障害者控除、寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
納税義務者の合計所得金額が2,500万円を超えた場合、この項目でご説明する調整控除は適用されません。(令和3年度課税分から)
(※2)「合計課税所得金額」とは、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額をいいます。ただし、株式や土地の譲渡による所得など、分離課税の対象となるものは含みません。
「人的控除額の差の合計額」は、納税義務者に適用されるそれぞれの所得控除ごとに、下の表1から求める「人的控除額の差」を合計した額となります。ただし、市県民税の税額の計算に、現に適用されるもの(※3)に限ります。
適用される所得控除 | 所得税の控除額 | 市県民税の控除額 | 人的控除額の差 |
---|---|---|---|
障害者控除(一般) | 27万円 | 26万円 | 1万円 |
障害者控除(特別) | 40万円 | 30万円 | 10万円 |
障害者控除(同居特別障害者) | 75万円 | 53万円 | 22万円 |
ひとり親控除(納税義務者が母) | 35万円 | 30万円 | 5万円 |
ひとり親控除(納税義務者が父) | 35万円 | 30万円 | 1万円(※4) |
寡婦控除 | 27万円 | 26万円 | 1万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 | 1万円 |
配偶者控除 | 下の表2の1から表2の3をご覧ください | 下の表2の1から表2の3をご覧ください | 下の表2の1から表2の3をご覧ください |
配偶者特別控除 | 下の表3の1から表3の3をご覧ください | 下の表3の1から表3の3をご覧ください | 下の表3の1から表3の3をご覧ください |
扶養控除(一般) | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
扶養控除(特定) | 63万円 | 45万円 | 18万円 |
扶養控除(老人) | 48万円 | 38万円 | 10万円 |
扶養控除(同居老親) | 58万円 | 45万円 | 13万円 |
基礎控除 | 下の表4をご覧ください | 下の表4をご覧ください | 下の表4をご覧ください |
所得税 | 市県民税 | 控除差 | |
---|---|---|---|
配偶者が70歳未満 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
配偶者が70歳以上 | 48万円 | 38万円 | 10万円 |
所得税 | 市県民税 | 控除差 | |
---|---|---|---|
配偶者が70歳未満 | 26万円 | 22万円 | 4万円 |
配偶者が70歳以上 | 32万円 | 26万円 | 6万円 |
所得税 | 市県民税 | 控除差 | |
---|---|---|---|
配偶者が70歳未満 | 13万円 | 11万円 | 2万円 |
配偶者が70歳以上 | 16万円 | 13万円 | 3万円 |
配偶者の合計所得金額 | 所得税 | 市県民税 | 控除差 |
---|---|---|---|
48万円以下 | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください |
48万円超50万円未満 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
50万円以上55万円未満 | 38万円 | 33万円 | 3万円(※5) |
55万円以上95万円以下 | 38万円 | 33万円 | なし(※6) |
95万円超100万円以下 | 36万円 | 33万円 | なし(※6) |
100万円超 | (※7) | (※7) | (※7) |
配偶者の合計所得金額 | 所得税 | 市県民税 | 控除差 |
---|---|---|---|
48万円以下 | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください |
48万円超50万円未満 | 26万円 | 22万円 | 4万円 |
50万円以上55万円未満 | 26万円 | 22万円 | 2万円(※8) |
55万円以上95万円以下 | 26万円 | 22万円 | なし(※6) |
95万円超100万円以下 | 24万円 | 22万円 | なし(※6) |
100万円超 | (※7) | (※7) | (※7) |
配偶者の合計所得金額 | 所得税 | 市県民税 | 控除差 |
---|---|---|---|
48万円以下 | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください | 配偶者控除の対象となりますので、上の表2をご覧ください |
48万円超50万円未満 | 13万円 | 11万円 | 2万円 |
50万円以上55万円未満 | 13万円 | 11万円 | 1万円(※9) |
55万円以上95万円以下 | 13万円 | 11万円 | なし(※6) |
95万円超100万円以下 | 12万円 | 11万円 | なし(※6) |
100万円超 | (※7) | (※7) | (※7) |
納税義務者の 合計所得金額 | 所得税 | 市県民税 | 控除差 |
---|---|---|---|
2,400万円以下 | 48万円 | 43万円 | 5万円(※10) |
2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 29万円 | 5万円(※10) |
2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 15万円 | 5万円(※10) |
2,500万円超 | 適用なし | 適用なし | 適用なし |
(※3)例えば、「配偶者控除に関する人的控除額の差」は、配偶者控除が適用されている納税義務者にのみ適用される(調整控除額として合計される)ということです。言い換えると、「配偶者がいない」「納税義務者の合計所得金額が一定以上」などの事情で配偶者控除が適用されていない場合には、「配偶者控除に関する人的控除額の差」も適用されません。
(※4)令和3年度改正前の寡夫控除額(所得税27万円、市県民税26万円)の差が適用されます。
(※5)平成31年度改正前の配偶者特別控除額(所得税36万円、市県民税33万円)の差が適用されます。
(※6)平成31年度改正前の配偶者特別控除額(所得税31万円、市県民税31万円)の差がゼロ円なので、適用がありません。
(※7)配偶者の合計所得金額が100万円を超えて133万円以下の場合、所得税と市県民税との控除額の差はありません。また、配偶者の合計所得金額が133万円を超えた場合には、配偶者特別控除は適用されません。よって、いずれの場合も、人的控除の差はゼロ円となります。
(※8)平成31年度改正前の配偶者特別控除の控除額の差の3分の2が適用されます。
(※9)平成31年度改正前の配偶者特別控除の控除額の差の3分の1が適用されます。
(※10)令和3年度改正前の基礎控除額(所得税38万円、市県民税33万円)の差が適用されます。
市県民税の税額の計算において、該当する所得控除(人的控除)が適用される場合、調整控除も自動的に適用しますので、調整控除に関する申告等は不要です。
なお、個人市県民税(所得割)の税額がゼロ円で、個人市県民税(均等割)のみの課税となる方については、調整控除の適用はありません。
所得控除については、下のリンク先もご覧ください。
配当所得がある人が、申告の際に総合課税を選択した場合は、次の式で求める配当控除額が、市県民税の税額から控除されます。ただし、一部に配当控除の対象とならない配当所得があります。
配当控除額=配当所得の金額×下の表5による控除率
(S)のうち、1,000万円以下の部分 市民税 | (S)のうち、1,000万円以下の部分 県民税 | (S)のうち、1,000万円超の部分 市民税 | (S)のうち、1,000万円超の部分 県民税 | |
---|---|---|---|---|
剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、特定株式投資信託、特定目的信託の収益の分配 | 2.24% | 0.56% | 1.12% | 0.28% |
特定株式投資信託以外の証券投資信託の収益の分配(一般外貨建等証券投資信託の収益の分配を除く。) | 1.12% | 0.28% | 0.56% | 0.14% |
一般外貨建等証券投資信託の収益の分配 | 0.56% | 0.14% | 0.28% | 0.07% |
該当する配当所得がある場合、市県民税の税額の計算において、配当控除も自動的に適用しますので、配当控除に関する申告等は不要です。
所得税において、平成21年から令和7年(2025年)12月までの入居に係る住宅借入金等特別控除(通称:住宅ローン控除)の適用を受けた場合、市県民税においても、次の1.から2.を控除した金額(※11)が税額から控除されます(市民税:5分の4、県民税:5分の1)。
(※11)前年分の所得税に係る課税総所得金額等の100分の5に相当する金額(97,500円を限度)を超える場合には、当該金額になります。ただし、居住年月日が平成26年4月から令和3年12月末までで、かつ消費税率8%若しくは10%で契約した人、又は令和4年中の入居者のうち特例の延長等に該当する場合は、100分の7に相当する金額(136,500円を限度)を超える場合には、当該金額になります。
市県民税において、住宅ローン控除の適用を受けるためには、次のいずれかの手続きが必要です。
(※12)申告書第2表の「特例適用条文等」の欄に、居住開始年月日(「平成(又は令和)○○年○○月○○日居住開始」)を忘れずに記載してください。
上でご説明した消費税率10%が適用される住宅取得等における住宅ローン控除について、適用期限(令和3年12月31日)を令和7年12月31日まで4年延長するとともに、控除率、控除期間、借入限度額の見直し等がされています。下のリンク先もご参照ください。
市区町村や都道府県などの公的団体に対し、一定の条件を満たす形での寄附を行った場合、以下でご説明する手順によって計算した額が、市県民税の税額から控除されます。
次のいずれかに該当する寄附金が、控除の対象となります。ただし、岡山市市税条例第24条の6の規定が適用されます。
以下の金額が、市県民税の税額から控除されます。ただし、寄附金の合計額が総所得金額等の合計額の30%を超える場合には、当該30%に相当する金額の控除となります。
対象となる寄附金(ふるさと寄附金)が2,000円を超える場合には、基本控除に加え、以下の金額が追加で控除されます。ただし、この特例控除額は、調整控除の適用がある場合、適用後の市県民税の税額の20%が上限となります。
平成25年から令和19年(2037年)まで復興特別所得税が課税されることに伴い、平成26年度から令和20年度(2038年度)までの所得税の限界税率は、上式のとおり、2.1%加算されたものとなります。
※所得税の限界税率は、下の表6の左欄の金額に応じた右欄の税率になります。
課税総所得金額から人的控除額の差の合計額を控除した金額 | 所得税の限界税率 |
---|---|
0円以上195万円以下 | 5% |
195万円を超え330万円以下 | 10% |
330万円を超え695万円以下 | 20% |
695万円を超え900万円以下 | 23% |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
0円未満 (課税山林所得金額、課税退職所得金額、及び分離課税の特例制度が適用される所得を有しない場合) | 0% |
0円未満 (課税山林所得金額、課税退職所得金額、又は分離課税の特例制度が適用される所得を有する場合) | 地方税法に定める割合 |
令和元年6月1日以後に行われた「ふるさと寄附金」については、総務大臣の指定を受けた都道府県・市区町村に対するものに限り、「ふるさと納税」として上でご説明した特例控除の対象となります。この指定を受けていない都道府県・市区町村に対するものには、特例控除は適用されず、基本控除のみの適用となります。
指定制度の詳細につきましては、下のリンク先をご覧ください。
平成27年4月1日から、確定申告が不要である給与所得者等が都道府県または市区町村へ「ふるさと納税」を行う場合に、「ふるさと納税」を行う自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書(ワンストップ特例申請書)」を提出すれば、その年分の確定申告等が省略できるようになりました。(=ふるさと納税ワンストップ特例制度)
この制度を利用する場合、「ふるさと納税」について所得税からの還付は受けられなくなりますが、その還付に相当する額(申告特例控除額)が、「ふるさと納税」を行った年分の所得に対する市県民税の税額から控除されます。
ただし、所得税法により確定申告が義務付けられている方や、別の控除の適用などのために確定申告書又は市県民税申告書を提出された方、申告特例申請書(ワンストップ特例申請書)を6団体以上に提出された方などについては、この制度は適用できません。
申告特例控除額=特例控除額×下の表7による割合
課税総所得金額から人的控除額の差の合計額を控除した金額 | 本来の割合 | 平成28年度から令和20年度までの割合 |
---|---|---|
0円以上195万円以下 | 85分の5 | 84.895分の5.105 |
195万円を超え330万円以下 | 80分の10 | 79.79分の10.21 |
330万円を超え695万円以下 | 70分の20 | 69.58分の20.42 |
695万円を超え900万円以下 | 67分の23 | 66.517分の23.483 |
900万円超 | 57分の33 | 56.307分の33.693 |
以上の寄附金税額控除の適用を受けるためには、その内容を含んだ確定申告又は市県民税申告が必要です。ただし、上でご説明した「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の手続きを取る場合には、これらの申告は不要です。
なお、以上でご説明した条件を満たせば、岡山市在住の方が岡山市に対する「ふるさと納税」を行った場合でも、寄附金税額控除の適用が受けられます。ただし、その場合も上で述べた手続きは必須となります。
その他、岡山市に対する「ふるさと納税」については、下のリンク先をご覧ください。
日本の所得税及び個人市県民税においては、所得の生じた場所が日本国内であっても国外であっても、その方の所得の全てが課税の対象となり、日本の法令に基づいて課税が行われます(「全世界所得課税」と呼びます)。
しかし、同じ所得が、日本以外の国の所得税や個人市県民税に相当する税の対象となる場合もあります。そうなると、国際的な二重課税となりますので、一定の方法で、日本以外の国での課税額を、日本での税額から控除する形が取られています。
この控除は、まず、所得税から行います。所得税から控除しきれなかった場合には県民税(所得割)から控除し、さらに県民税(所得割)からも控除しきれなかった場合は市民税(所得割)からの控除を行います。
ただし、外国での課税額の全額を常に控除できるわけではなく、所得税・県民税(所得割)・市民税(所得割)ごとに控除限度額が定められています。
外国税額控除の適用を受けたい場合には、確定申告書又は市県民税申告書に、「外国所得税等の額の控除に関する明細書」を添付して提出してください。
外国税額控除については、下のリンク先もご覧ください。
一定の上場株式等の配当所得や、「源泉徴収あり」を選択した特定口座内の上場株式等の譲渡に係る所得については、「県民税配当割」・「県民税株式等譲渡所得割」(※13)として、他の所得と区分する「分離課税」が行われます。この場合、「配当の支払者」や「譲渡の対価の支払者」が税額を計算し、配当や譲渡の対価を支払う際に天引き(特別徴収)する形を取ります。
これらに該当する所得は、特別徴収が行われた時点で課税と徴収が終了しているので、原則として申告は不要です。しかし、納税義務者ご本人の選択により申告を行った場合には、それらの所得を含めて市県民税の税額を計算します。しかし、それだと二重課税になりますので、特別徴収された額を市県民税の税額から控除します。
この場合の控除額は下記の通りになります。
(※13)いずれの名称も「県民税」となっていますが、その税額は個人県民税と個人市民税とを合算したものとなります。「配当の支払者」等が特別徴収を行った場合、その税額を納税義務者の住所地の都道府県に納付した後、都道府県が市町村に対して、市町村民税相当額分を分配する形を取ります。
確定申告書又は市県民税申告書に、特別徴収された配当割額や株式等譲渡所得割額に関する必要事項を記入してください。
なお、下のリンク先もご参照ください。
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