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籾殻を原料としたシリカ製造事業による地域の課題解決

[2024年3月28日]

ID:57943

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米農家の籾殻処理・保管場所の確保

活動団体

会長の国定氏の写真

●団体名「有限会社国定農産」

●団体の概要
主な活動場所:岡山市南区藤田
構成員:21人
代表者:国定 俊彦
設立:1966年

●これまでの活動
1966年:「有限会社国定農産」設立
2021年:おかやま活性化ビジネスプランコンテストで優秀賞受賞
2023年:4月にシリカ生成機を導入し、10月から本格稼働

活動内容

活動のきっかけ

米、ハトムギ、麦など雑穀類生産・加工の有限会社国定農産は、高齢化などで事業継続が困難な農家などから農地を借り受け180ヘクタール超の田んぼで耕作しており、年間150トンから160トンの籾殻が発生する。従来籾殻は、酪農の敷き藁の代わりや、田んぼの溝にコルゲート管を入れ排水性を高める工事に活用したり、製鉄会社での鉄を徐々に冷やす用途などで活用してきたが、需要が減り処分に困っていた。
40年以上、籾殻に付加価値を付ける方法を模索していた国定豪会長が、中小企業診断士から籾殻を炭化させたバイオ炭に含有されるシリカを、電子イオンで分解し高純度で抽出する装置を開発した株式会社ジェネスラボの紹介を受けて事業化を検討。2023年4月に、倉庫を建設し籾殻シリカ生成機を導入した。

同年10月から、24時間2交代での本格稼働を開始。
シリカは、健康食品、化粧品、液晶ガラスなどさまざまな分野で活用されており、産業廃棄物だった籾殻を高付加価値のある資源化に変え業界の課題解決と事業化に取り組んでいる。

主な事業

もみ殻を原料としたシリカの製造・販売

シリカ生成機の写真

導入したシリカ生成機を活用してバイオ炭やシリカを製造。2023年9月中旬から、インドネシア人3人を雇用してテスト運用に取り組み、10月から24時間体制での本格稼働を開始した。
田んぼ1000平方メートル当たりおよそ125Kgの籾殻が発生し、機械に投入すれば燃焼させてバイオ炭40Kgを生成、そこに電子イオンを付加しさらに焼成して20Kgくらいのシリカができる。

籾殻を活用したシリカの写真

興陽高校などと、果樹園の土壌改善への効果試験を進め、産学連携でのエビデンスを検証する計画。
また、農業利用のほか、プラスチック製造会社にシリカを混ぜることで強度を高めて山の斜面形成への活用など、様々な分野にシリカ活用を提案していく。

米農家が排出する籾殻の買い取り、回収

籾殻の写真

籾殻の処理問題は、米農家共通の課題で、藤田、興除、灘崎など近隣の米農家にフレコンパックを渡し、もみ殻を詰めてもらい1袋500円で購入する取り組みを開始。
シリカ製造、販売の収益化を早期に図り、より多くの米農家から購入できる体制構築を目指す。

活動資金について

バイオ炭やシリカ販売の売上、地域の未来づくり推進事業補助金を活動資金としている。

仲間集めのコツ

ネットで得た情報だけでなく、実際に見聞きした生きた情報を同業者に伝えることで信頼関係を作り活動への協力体制を構築。オンライン会議も活用し、全国の同業者との情報交換にも積極的に取り組み幅広いネットワークを築いている。

活動のポイント

国定会長は40年以上に渡り籾殻の有効活用に向き合っており、ジェネスラボとの出会いを機に補助金を有効活用し短期間で事業を立ち上げた。

すべての米農家が抱える課題を解決したいという思いが根底にあり、周囲の同業者への知識共有などで賛同を募り地域を挙げた活動を目指している。バイオ炭やシリカは土壌改良に活用すると田んぼや畑の環境改善効果も期待でき、未来に向けた持続可能な農業に貢献できる点も大きい。

活動継続の秘訣

国定会長は、学生時代から研究や実験が好きで、ケミカル的なアグリビジネスに興味を持っており、研究者の一人として諦めずシリカに向かい合いながら事業化に向けて歩んでいる。
若いころから中小企業家同友会に入会し、異業種の経営者との交流と研鑽で得られた知識や人脈も視野を広げるきっかけとなった。シリカはさまざまな分野での活用が見込まれ、販路を構築すればビッグビジネスになる可能性を秘めており、米農家の課題解決とビジネスモデルの再構築が期待できることが活動継続のモチベーションとなっている。

これからの展望

国定農産外観写真

シリカについて産学連携でさまざまな産業での活用方法を検証し、多くの企業に活用を提案していきたい。
その結果、籾殻活用の新しいビジネスモデルを構築し、横展開することで業界全体の発展に貢献したい。