ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

スマートフォン表示用の情報をスキップ

Language

動物の命に寄り添う【認定NPO法人しあわせの種たち】

[2023年12月7日]

ID:53857

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

のっぷ

殺処分対象の犬や猫のレスキュー、そして譲渡によって命をつなげる活動をしている、「認定NPO法人しあわせの種たち(以下、「しあわせの種たち」という。)」理事長の濱田さんにお話を聞かせてもらったよ!

「しあわせの種たち」ってどんな団体?

活動の概要

のっぷ:はじめまして。つながる協働ひろばののっぷです!早速ですが、「しあわせの種たち」さんはどんな活動をしている団体なんですか?

濱田さん:2016年に設立したNPO法人で、岡山県動物愛護センターで譲渡対象となった犬猫の譲渡や、噛みつきや威嚇などの行動によって譲渡対象外となり殺処分対象と判断された犬猫をレスキューして訓練を行い、譲渡につなげる活動などを行っています。

2013年9月の動物愛護法の改正以降、岡山県動物愛護センターでの犬や猫の殺処分頭数は大幅に減少しましたが、年間数十頭の殺処分は続いている状況でした。私たちは、譲渡および譲渡対象外の犬猫のレスキューにより、「殺処分0」を目指しています。

岡山県内在住の会員と、近畿・中部・関東地方などの県外の会員あわせて約50名で、オンラインも活用しながら全国各地への譲渡の搬送リレーなどを協力して行っています。2023年5月には、「認定NPO法人」になりました。


収容動物の流れ

設立の経緯

のっぷ:動物の命を救い、しあわせに生きられるようにする活動なんですね。濱田さんは元々犬や猫が好きで、こうした活動を始められたのですか?

濱田さん:好きではありますが、好きで始めたというよりも、殺処分の現実を見たときに感じた怒りがきっかけでした。それは、殺処分の現実に対して目をつぶりたいと思っている自分自身、何もできない自分自身、行政に対するものなど、今でも言い表すことが難しい、湧き上がってくる感情でした。

殺処分の現実に行き当たったきっかけは、自身が経営する会社で飼っていた猫が、引っ越して間もない慣れない環境で逃げ出してしまったことでした。猫の探し方をインターネットで検索している時に、偶然犬や猫が殺処分されていることを知り、大きな衝撃を受けました。その後飼い猫は無事に見つかったのですが、殺処分のことは頭から離れませんでした。

1年が過ぎたころ、里親として自宅に犬を迎えることになった際に、岡山県動物愛護センターのボランティアをされている方と出会いました。殺処分のことや、小型犬の一時保護ボランティアに関わりたいと思ったことから、その方を介してセンターの見学に行きました。そして、現実を目の当たりにすることになったのです。

衝撃はすごかったです。殺処分が近づいている犬たちは、「ここから出して」と訴えるようにステンレス張りのようなケージの中で吠えていました。そこから少し行くと、冷たい感じがする大きな部屋がありました。そこでは十数頭の犬が吠えることなく静かに固まっていたのです。殺処分を翌日に控えた犬たちでした。自分の死を悟っているのだと思いました。「愛護」と名のつく施設ですが、動物を生かすためではなく、処分するための場所のように私には感じられました。

ゲージのなかにいる犬達の写真

多頭飼育からの収容

濱田さん:殺処分は県が行っています。それはつまり、税金でそうさせてしまっているということです。言い過ぎかもしれませんが、自分自身が犬や猫の殺処分に加担しているのと同じだという感覚さえも生まれました。そうした現実に対して、怒りが生まれたのです。

とはいえ自分が何かをしたところで、この現実は変わらないのではないかとも思っていました。そんな時に出会った先輩のボランティアの方に、「何もしなかったら無力だけど、1頭でも連れて帰ったら無力ではない。微力は無力ではない。」という言葉をいただきました。

「助けて」と訴える鳴き声はできれば聞きたくないですし、おやつをあげた犬が翌週にはもういない、という状況はつらいです。しかし、その犬が感じるつらさを思うと、そんなことは言っていられない、微力になろう、と決心がつきました。

個人ボランティアとしての活動を経て、2016年に法人設立に至りました。信念を同じくする仲間たちの微力を集めたら、必ず大きな力になると考えたからです。

骨折の手術をして走れるようになった犬

レスキューの後、骨折の手術をして走れるようになった犬

活動の中で大切にしていること

のっぷ:「微力を集めて大きな力に」、という考え方は素敵ですね。命を守る活動は、待ったなしということもあって大変な時も多いと思います。しあわせの種たちさんがそうした活動に取り組むうえで、大切にしていることは何ですか?

濱田さん:命の選択をしないということです。どの命もたった一つしかない尊い命ですから、殺処分0を目指して、全ての命を助けることのできる団体になることを目指しています。以前に、複数の殺処分対象の犬のうち1頭をレスキューしたことがありました。助けられた子と、助けられなかった子たちと、同じ命なのに何が違うのか、助けられなかった自分が許せない気持ちでいっぱいでした。私たちはそうした、重い十字架を背負って活動をしています。

のっぷ:活動の中では、動物愛護センターや保健所など、行政とやり取りをする場面もあると思いますが、難しいことはありますか?

濱田さん:動物の命を救えなくて悔しい気持ちが募るのは、民間も行政の方も同じではないかと思います。しかし、行政の方はその立場で、仕事として精一杯取り組まれているので、その悔しさをいくらぶつけても仕方がありません。民間であろうと行政であろうと、命の重さ、大切さはもちろん深く理解したうえでそれぞれの役割を果たしているのです。

そのうえで私たちは、「では、どうしたら動物たちの命を救えるのか?」ということをしっかり考え、具体的な提案をしていく必要があると考えています。例えば、動物愛護センターの犬猫についてしっかり情報発信をして里親募集することなどを提案しました。現在は、県の譲渡事業も進み、職員さん方と協働して収容犬猫のお披露目会も開催しています。また、噛み癖や問題行動があるとして殺処分対象とされた犬であっても特殊な環境下に置かれ、恐怖で問題行動が出ている場合もあるので、散歩に連れ出すなど本来の姿を引き出せるように関わりながら、その様子を見てもらい、譲渡対象へと判定の見直しを促すこともあります。

動物愛護法の改正による収容数の減少、私たちのような活動による殺処分数の減少は、動物を処分しなくても良いという職員さんたちの安心感も生んでいると思います。もちろん命に寄り添いながら活動を継続するのは、苦しいことも多々あります。白熱した議論を交わしたことも何度もあります。それでも私たちは、「その子がどう生きて、どうしあわせになるか」を大切に、民間が担えることは担おうと、粛々と活動を続けています。

子犬お披露目会の様子

子犬お披露目会&猟犬お披露目会

猟犬お披露目会の猟犬の写真

これから取り組んでいきたいこと

のっぷ:2016年の設立以来、年々事業規模も大きくなっていますね。2023年5月には認定NPO法人になり、寄付者にとって、寄付をしやすい体制になりました。これからはどんなことに力を入れていく予定ですか?

濱田さん:犬や猫の収容は、少子高齢化とも関係する問題です。不妊や去勢の手術をせず頭数が増えて管理できなくなってしまう「多頭飼育崩壊」は、飼い主の知識不足や、高齢で施設に入所することになり飼育できなくなったなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。また、飼い主が亡くなることで行き場がなくなってしまう犬や猫もいます。責任をもってペットをかわいがっていけるように飼い主の意識を醸成し、元気なうちにペットの先行きを考える必要があるのです。

具体的には、後見人をしあわせの種たちにする「ペット信託」を進めていきたいです。獣医師会や弁護士、行政や社会福祉協議会との連携を考えています。殺処分対象の犬のレスキューという失われそうな命をつなぎ留める最後の砦としての取組を進めるだけでなく、そもそも保健所やセンターに収容される犬猫を減らす、蛇口を閉める活動として展開していきたいと思っています。ほかにも、遺贈寄付やふるさと納税など、寄付の間口も広げていきたいと考えています。

また、収容頭数が法改正以前と比べて減少したとはいえ、多頭飼育のために急に十頭単位で収容数が増えることもあり、あと1頭でも増えるならば殺処分せざるを得ない、といった状況は継続しています。いざという時にはメンバー間で協力してなんとかレスキューすることを続けていますが、常々ぎりぎりの状態です。今後は、積極的にレスキューできるように、受入体制を整えていきたいと考えています。そのためのクラウドファンディングを2023年10月17日から始めていますので、ぜひご覧いただけたらと思います。

  • クラウドファンディング(12月15日まで)

 https://readyfor.jp/projects/shiawasenotanetachi別ウィンドウで開く

認定NPO法人しあわせの種たち 理事長 濱田一江さん

関連リンク

認定NPO法人しあわせの種たち

住所:〒701-1154 岡山市北区田益1273番地

電話番号:090-9877-4240

Eメール:shiawasenotanetachi@gmail.com

ありがとうございました。
次はどちらの法人におじゃましようかなぁ。