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音楽を通じて心も身体も元気にする【NPO法人音楽の砦】

[2018年10月15日]

ID:41817

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のっぷ
「音楽の砦」の松原徹さんはヴォイストレーナー。童謡唱歌・懐メロ・流行歌などを歌うレッスンを、月に50回以上開催しています。子どももお年寄りも、口や喉、舌を使う訓練をすることで、上手に歌うことだけでなく、体の健康にも心の健全にもつながっていると言います。
今回は、NPO法人音楽の砦にお伺いして、松原さんにお話を聞いてきたよ!

幼児・児童への文化教育

オフィス前

オフィス前にて

のっぷ:初めまして、「つながる協働ひろば」ののっぷです。「音楽の砦」さんは、どんな活動をしているのですか?

松原さん:主に1歳から12歳の子ども達にピアノレッスンをしています。小学生は約40人がレッスンに通ってくれています。月2〜4回、少し障がいがあっても、特別なことをするのではなく普通にレッスンをしています。幼児期、舌足らずな言葉を発する子どもがいますよね。小学生くらいになっても、「ラーメン」を「だーめん」と上手く発音できない子もいます。通常、舌先は上顎についているのですが、上手く発音できない子は舌が下がったままの状態「低位舌」になっているのです。「ピッチ、ピッチ、チャップ、チャップ、ラン、ラン、ラン」のような童謡唱歌を歌うと、唇、舌、表情筋を使い、トレーニングをすることができ次第に低位舌も治ってきます。

高齢者へヴォイストレーニング

ヴォイトレ塾

「ヴォイトレ塾」の様子

のっぷ:ヴォイストレーニングで言葉がはっきり話せると自信にもなりますね。
高齢者にはどんなヴォイストレーニングをしているのですか?

松原さん:1カ月に43カ所で「ヴォイトレ塾」を開催しています。主に60歳以上を対象に、童謡、懐メロ、新しくリリースされる演歌などを、健康につながる歌い方を解説しながら歌います。高齢者が肺炎になると、亡くなるケースが非常に多いのを知っていますか。飲み込んだ食べ物や唾液が肺に入ってしまい、むせてしまうことありますよね。あれは喉の筋力が弱り、胃ではなく肺へつながるルートを塞ぐことができず、起こっています。肺に一緒に入った菌から発症する「誤嚥(ごえん)性肺炎」を防ぐため、歌うことで喉頭の運動不足を解消し、肺炎の発症リスクを下げています。
また、月に数回、特別養護老人ホームなどに伺い、一緒に歌っています。食べこぼしが増える、表情が乏しくなるなどの症状は、口の周りの筋力が衰えてきている証拠です。歌には心のケアの側面もありますが、舌・唇のトレーニングでもあります。歌には健康を支える面もあるんですよ。

NPO設立のきっかけ

松原さんとギター

活動のきっかけとなったギターと

のっぷ:ヴォイストレーナーって歌うことだけじゃないのですね。ところで、活動を始めたきっかけは何ですか?

松原さん:会社員を辞めたばかりの2000年頃、私はある相談を受けました。ある中学校に、どうしても手に負えない生徒がいる。アーティストの「ゆず」が大好きと言うことで、ギターを教えてやってほしいというものだったのです。当時暇だったので行くことにしました。

行ってみれば、生徒は1人ではなく約10人。私が学生時代に不良ではなかったので、彼らの気持ちをすべて理解できなかったからこそ、伝えられたことが沢山ありました。
はい!と素直に言うことを聞くような生徒たちではありませんでしたが、練習に来れば一生懸命に頑張っていました。音楽の良いところは、演奏して良ければ拍手をもらえるし、ダメなら拍手をもらえない。反応がすぐに返ってきます。学校の勉強が得意ではなかった彼らからすれば、とてもわかりやすく、やる気になるものを見つけられたようでした。

町のイベントに出させてもらったことで、「時間を守る」「大人の話を聞く」など音楽をするためにルールを学びました。自分中心の行動をしてきた彼らでしたが、少しずつ変化が見られるようになりました。

私は、高校時代からロックシンガーになりたいと思っていました。音楽はずっと大好きでしたが、彼らと出会い、音楽を通じて多くのことを伝えるとともに、彼らから多くのことを学ばせてもらいました。音楽を通じて社会にできることをやろうと思いたち、2003年にNPO法人を設立しました。

「誰かのため」が原動力に

のっぷ:現在は他にどんな活動をされているのですか?

松原さん:現在は、企業向けのヴォイストレーニングも行っています。朝、「おはようございます」と挨拶をすると、その人がやる気を持って出社してきているかどうかわかりますよね。逆に挨拶をしっかりできるようになると、仕事へのやる気が出たり、覚悟が決まったりします。声の出し方、挨拶の仕方から企業の支援をしています。
お寺、葬儀社と一緒に、想いを歌にして残す「終活」のお手伝いをしています。自分のお葬式で残された方たちに聞いてもらうなど自らお葬式をプロデュースするということも試みています。
昔、ロックシンガーを目指した頃と違い、誰かのために歌い、誰かが喜んでくれる曲を作ることが幸せに感じるようになりましたね。

企業向けヴォイストレーニング

企業向けヴォイストレーニングの様子

次の世代に伝えていきたいこと

のっぷ:今後の抱負を教えてください。

松原さん:私、本当は、子どもが苦手です。10年ほど前から一緒に活動してくれている名畑俊子さんは保育士として、子どもたちと関わってくれています。ピアノを弾き、一緒に歌う。次世代につなげていくために、子どもたちの育ちを支える保育士さんたちの育成をしていきたいと考えています。私が数十年やってきたヴォイストレーニングとのコラボにより、子ども達の未来に役立つ活動ができると確信しています。
目の前のことを一生懸命にやってきました。難しい理論より、現場で考え工夫し汗を流すことが、本当の社会貢献につながるのではないかと思っています。

保育士向け講座

保育士向け講座の様子

ヴォイストレーニングは、歌を上手に歌うことだけじゃなくて、体や心の健康にも役立つんだね。現場で常に考えて、工夫している松原さんの姿勢が印象的だったよ。

関連リンク

NPO法人音楽の砦

住所:岡山市南区当新田404-2
連絡先:電話番号:086-250-6590

ありがとうございました。次はどちらの法人におじゃましようかなぁ。