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平成21年2月提案理由

[2010年1月21日]

ID:15159

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平成21年2月定例市議会に提出した議案に対する市長提案理由説明要旨

平成21年度の当初予算並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,市政運営に関する所信を申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

まずはじめに,私の市政にかける思いについて申し上げたいと存じます。私が市長に就任して早くも3年半近くが経過し,残りの任期もあと半年余りとなりました。
この間,私は岡山市政の変革と発展,市民福祉の向上のために,常に全力で取り組んでまいりました。

その中でも最も心血を注いだのが,政令指定都市の実現であります。私は,政令指定都市への移行は,本市の行財政能力を一段と高め,市民福祉の向上と本市の発展に多大なメリットがあるとの確信に基づき,関係自治体の皆様と志を一つにして,県南政令市構想を強力に推進してまいりました。
平成19年1月には建部町,瀬戸町との合併を成し遂げ,その後,行政区画の編成をはじめとする移行に向けた諸準備を鋭意進めるとともに,国,県との精力的な協議を重ねてまいりました。その結果,昨年10月の指定政令の公布により,ついに岡山市は,本年4月1日に,最も自立した基礎自治体である政令指定都市として新たな門出を迎えることとなりました。
政令指定都市の実現は,政令指定都市推進協議会をはじめ多くの市民の皆様,また,市議会の皆様方のご支援,ご尽力の賜物です。改めて心から御礼を申し上げますとともに,皆様からのご期待に応えて,「政令指定都市・岡山」にふさわしいまちづくりを進めていくことが,これからの市政の最大の課題であると考えております。

また,私は,市長就任以来,政令指定都市という新たなステージを迎えようとする岡山市が目指す都市の姿とそれを実現するための指針を明確にするため,都市ビジョンの策定に精力的に取り組んでまいりました。
私は,まちづくりを進めていく上で,一番大切なことは,市民の皆様と行政がまちづくりの夢を共有し,その夢の実現に向かって,皆が心を合わせ,力を出し合うことだと思っております。
しかしながら,岡山市政にはこれまで,まちの方向性を示す長期的なビジョンが欠けていました。市長が交代するたびにめまぐるしく方針が変わり,市民の皆様の力を結集することができませんでした。
そこで,岡山みらい会議を平成18年2月に設置して,市民の皆様の手作りによる提言を取りまとめていただきました。これを踏まえて,平成19年6月に「水と緑が魅せる心豊かな庭園都市」と「中四国をつなぐ総合福祉の拠点都市」を目指す都市像とする岡山市都市ビジョンを策定いたしました。
これにより,福祉,教育,医療,環境など,本市が重点的に取り組むべき政策の体系と成果指標を明らかにし,本市のまちづくりの明確なイメージを市民の皆様と共有し,全国や世界に発信していけるようになったと確信しております。
この都市ビジョンをより確実に推進するため,都市ビジョンの内容を本市の総合計画として位置づけることとし,都市ビジョンに掲げる2つの都市像とその実現のための7つの柱は,昨年12月に地方自治法に基づく本市の基本構想として,議会のご議決をいただいたところであります。政令指定都市移行と同時にスタートする新たな総合計画は,その意義と内容をわかりやすく表現するものとして,その名称を「都市ビジョン[新・岡山市総合計画]」にしております。
今後,この都市ビジョンに沿って,市民の皆様との協働により,夢と希望に満ちたまちづくりを推進していかなければならないと決意を新たにしております。

また,民間出身の私が,行政の世界に入り,市政を担うこととなって,最も痛感したのが,行政における経営感覚の欠如であります。このまま放置したのでは大変なことになるという危機感を持ちました。
そこで,真っ先に取り組んだのが,本市の財政状況を包み隠さず情報公開することでした。市全体で7,000億円の借金があることを明らかにし,夕張のようになってはいけないとの強い危機意識を職員や市民の皆様と共有しながら,徹底した行財政改革を進めてまいりました。
具体的には,新規職員の3年間採用凍結をはじめ,市のすべての事務事業の必要性や効果等を検証する行政サービス棚卸しを実施するなど,旧態依然とした行政の仕組みを改革しようと精力的な取組を進めてきております。
これまでの成果として,平成17年度から今年度までの4年間の取組で,総額約231億円の財政効果を創出し,新岡山市行財政改革大綱短期計画編の目標を1年前倒しで達成する見込みとなりました。
特に財政効果を上げた取組の一つとして,高金利市債の低金利市債への借り換えがございます。平成19年度から21年度までの3年間で,総額約70億円の利子が節減できると試算しております。これは,大きな借金があるにもかかわらず,高金利のまま償還を続けなければならないことを問題視し,私自身が先頭に立って国に強く要望をした結果,行財政改革に取り組む自治体に限って低金利市債への借り換えが認められたことによるものです。
また,7,000億円の借金の中には,いわゆる隠れ借金の一つである土地開発公社の土地保有額が含まれており,平成17年度末には423億円ありましたが,平成21年度末の見込額は322億円で,4年間の圧縮額が100億円を超えるなど,大幅な改善を達成できる見込みとなっております。
こうした様々な改革の成果により,自治体経営の足腰を強め,福祉やまちづくりを支える財政基盤を大幅に強化することができたと考えております。
ところが,昨今の世界的な景気後退によって,自治体財政の先行きにも暗雲が垂れ込めております。本市においても,今後,より一層厳しい財政運営を余儀なくされることは避けられない見通しです。それだけに,これまでの行財政改革の成果をもって満足することなく,さらに徹底した行財政改革を断行し,いかなる社会経済情勢にも柔軟に対応できる体制をつくらなければなりません。

また,社会経済環境が厳しさを増す中で,これからのまちづくりには,行政だけでなく,地域の企業や市民の皆様の力が欠かせません。持続可能な都市経営を実現し,地域社会の安全・安心を守っていくためには,そこに住む市民の皆様が主役となり,地域の課題を地域自らが解決していくような仕組みが重要であると考えております。
こうした観点から,私は安全・安心ネットワークの構築を推進してまいりました。幸い多くの市民の皆様のご理解とご協力をいただき,市内のすべての学区・地区において,安全・安心ネットワークを設立いただくことができました。
今後,このネットワークが,自主的にその活動を充実・展開させ,思いやりと支え合いの心を基調とする「美しい心のまち・おかやま」として,真に都市格の高いまちが実現することを心から期待しております。

こうして3年半を振り返ってみますと,本市の長年の悲願であった政令指定都市への移行を実現し,また,政令指定都市という新たなステージの先に目指すべき本市の都市づくりの目標を都市ビジョンによって明確にすることができました。また,行財政改革の断行によって,都市ビジョンに基づく政策の遂行や持続的なまちづくりを支える財政基盤を強化することができ,さらに,安全・安心ネットワークの構築によって官民協働や市民主体のまちづくりの基礎固めもできるなど,これからのまちづくりを進める上での土台や仕組みがあらかたできあがったと自負いたしております。
そして,いよいよこれからが今後の本市の飛躍に向けてのスタートであり,これまで造り上げてきた基礎の上に新しい岡山市を築いていく営みは,まさにこれからが本番であります。
例えるならば,これまで,土を耕し,種を蒔く一方で,描いてきた庭園全体の設計図が出来上がり,力を合わせて完成を目指していく人々の協力体制も整ったところです。いよいよこれから,芽を育てて大きな花を咲かせ,苗木を豊かな大樹にはぐくみ,市民の皆様が憩い賑わい,幸せを実感できる美しい庭園を,行政と市民が力を合わせて築いていかなければなりません。
これまで,庭園の基礎づくりにご尽力,ご協力してくださった方々の信頼と期待に応えるためにも,様々な準備を先導し,設計の内容についても最もよく理解できる立場にある私自身が,引き続き先頭に立って,岡山市という心豊かな庭園都市を,市民の皆様とともに築き上げていくことこそが,私に課せられた使命ではないかと感じております。
幸いにして,私は,いたって健康で,気力も充実しております。市民の皆様のご支持がいただけますならば,来期も引き続き市政を担当し,身命を賭して,愛する郷土・岡山の発展とそこに暮らす多くの市民の皆様の幸福実現のためにお役に立ちたいとの強い意欲で満ちあふれております。
「政令指定都市・元年」となる重要な時期にあって,ここに私の市政にかける思いを明らかにし,今後,一層の情熱と責任感を持って市政に取り組むことを皆様にお誓い申し上げます。

政令指定都市・岡山の誕生に向けて

それでは,目前に迫る「政令指定都市・岡山」の誕生に向けた動きについて申し上げます。全国で18番目,中四国地方で2番目となる政令指定都市への移行まで,あと1か月と少々になりました。
現在,4月1日を目指し,区役所開設準備や県から移譲される事務に関する引継ぎなど,全庁を挙げて最後の追い込みを行っております。3月2日には,新たに行政サービス窓口として開設する中区役所をプレオープンし,移行に先駆けて一部の窓口業務を開始いたします。
また,4月16日には政令指定都市移行記念式典を実施するなど,移行前後のイベントにより,政令指定都市・岡山の誕生を全国に情報発信します。

平成21年度当初予算

続いて,「政令指定都市・岡山」の初年度となる平成21年度当初予算の概要について申し上げます。
一般会計の予算額は2,282億円であり,平成20年度当初予算額と比較いたしますと,64億円,率にして2.9パーセントの増加となっております。これを都市緑化フェア関係経費等の特別な要因を除き,平成20年度1月に前倒しした補正予算を加えた実質ベースで比較しますと,115億円,率にして5.3パーセントの大幅な増加となっております。
これは,政令指定都市移行により事務事業が拡大したことや,増加した財源を活用して,新規・拡充施策などを展開したことによるもので,政令指定都市移行による影響としては,歳出が165億円,歳入が213億円それぞれ増加すると見込んでおります。
来年度は市税収入が40億円減と大きく落ち込む見込みですが,先ほど申しましたような行財政改革による財政効果や事業の厳選により,財源調整のための基金の取崩しを行うことなく,予算を編成することができました。
特に,実施事業の選定にあたっては,都市ビジョン[新・岡山市総合計画]に基づき,2つの都市像の実現に向けて特に推進すべき事業や政令指定都市という新しいステージにふさわしい事業などを中心に「選択と集中」を図りました。
こうして編成した新年度予算は,「政令指定都市・元年 発展・改革予算」とも言うべき性格を持っており,環境,医療・福祉,子育て,教育,安全・安心な地域づくり,食の安全など,市民ニーズが高く,生活に密着した分野に重点を置いた内容となっております。
新年度は,この予算に基づき,市民,事業者の皆様と力を合わせて,活力と魅力のある「政令指定都市・岡山」のまちづくりをスタートさせたいと思っております。

都市ビジョンの七つの柱に沿って

それでは,都市ビジョンの七つの柱に沿って主な事業をご説明申し上げます。

一つ目の「多様で豊かな環境をいかす」では,市民協働で環境先進都市を目指すとともに,水と緑の豊かさを実感できる都心の創造を目指します。

まず,環境政策の面では,ごみの減量化・資源化の推進を図るため,今月1日から家庭系ごみの有料化を開始いたしました。
市民生活に関する大幅な制度変更にもかかわらず,多くの市民,関係者の皆様のご理解と多大なご協力をいただいてスタートできましたことを心から感謝申し上げます。引き続き,制度の定着に向けて全市民のご理解とご協力が得られるよう努めてまいります。
また,このたびの家庭ごみの有料化で得られる財源を有効に活用して,市民の皆様の参加と協働によって持続可能な社会の実現に貢献する環境先進都市を目指してまいります。
新年度は,家庭や企業の使用済み天ぷら油をバイオディーゼル燃料として再生・活用する事業を本格的に稼働させ,4月から天ぷら油の回収を始めます。
また,市自らの事業活動による環境負荷の削減を図るため,市有施設の総合的な省エネルギー対策を検討するESCO導入可能性調査や電気自動車の新規導入等に取り組みます。
晴れの日が多いという本市の特性を踏まえて,新たに,家庭用太陽光発電システムへの助成事業を開始するとともに,市庁舎や旧岡山中央北小学校跡地に建設する南方保育園や岡山後楽館中高等学校等に,順次,太陽光発電システムを設置するなど,自然エネルギーの普及を推進します。

次に,全国都市緑化おかやまフェアにつきましては,いよいよ3月20日に開幕し,全国からのお客様をお迎えすることとなります。このフェアの開催を通じて「政令指定都市・岡山」を全国に情報発信するとともに,ボランティアをはじめとする多くの市民の皆様の参加を通じて,緑化活動の輪を大きく広げるなど,花と緑にあふれたまちづくりのきっかけにしたいと考えております。
特に,岡山の顔となる都心部については,岡山駅前広場の緑化を進めるとともに,都心の主要道路や公共的空間の緑化のあり方を検討し,計画的に緑のボリュームアップを図ってまいります。
さらに,西川・枝川緑道公園や岡山のシンボルであるカルチャーゾーンなどの貴重で豊かな水と緑をいかし,風格と魅力あふれる都心づくりを進めるため,市民,事業者の皆様と行政が共に知恵を出し合う機会として,市民会議を開催します。

二つ目の「街と田園のかたちを明確にする」では,政令指定都市にふさわしい都市機能を持った風格のある都市づくりと災害に強い都市基盤の整備を進めるとともに,人と環境に優しい交通体系の構築を目指します。

まず,公共交通の要として本市の玄関口となっているJR岡山駅につきましては,交通結節点としての機能を高めるため,引き続き西口交通広場の整備を進め,東口広場との連携を図りながら,21年度中の完成を目指します。
また,全国都市緑化おかやまフェアのメイン会場である西大寺のカネボウ跡地のうち,民間活用エリアの2.58ヘクタールにつきましては,フェア終了後,民間資金を活用した提案型事業により,生活利便性を向上させる都市機能の集積を図り,西大寺「元気な新拠点」として整備を進めてまいります。

次に,災害に強い都市基盤の整備につきましては,政令指定都市移行に時を合わせて,西消防署・消防防災センターを開署させるのに続いて,旭川以東の新たな消防防災拠点として,新たな中消防署と水防センターを一体的に整備します。
併せて,政令指定都市移行を契機として大規模災害等に対処できる特別高度救助隊を創設するほか,消防救急無線のデジタル化と新たな消防緊急通信指令システムの構築を一体的に進め,消防・救急体制を強化します。
また,東南海・南海大地震の発生に備え,市民の皆様の安全・安心な生活を支えるため,水道の浄配水施設を耐震化するとともに,学校貯水槽を緊急用貯水槽として利用できるよう整備可能なすべての市立小・中学校で22年度までに整備を完了する予定です。
さらに,台風16号で被害のあった北浦漁港の護岸整備に向けて基本設計に着手するほか,同じく被害のあった瀬戸町の雨水対策として公共下水道事業を推進するなど,災害に強いまちづくりを進めてまいります。

交通政策の面では,公共交通を中心とする人と環境に優しい総合交通システムの構築を目指します。
このため,今年度策定する都市交通戦略を踏まえ,新年度は,LRTの推進と自転車の利用環境向上策について検討を進めてまいります。また,JR瀬戸駅について,南口改札の新設とともに,南口広場やアクセス道路等の周辺整備に着手し,交通結節機能と利便性の向上を図ります。
道路交通については,政令指定都市移行に伴い,現在県が管理している国道,県道を含め,市内のほとんどの道路を市が主体的に整備・管理するようになるというメリットをいかし,市民生活と経済活動を支える安全で快適な道路ネットワークの構築を目指します。幹線道路については,県から引き継ぐ約50か所の事業をはじめ,中環状道路の下中野平井線(旭川工区)や外環状道路の市道藤田浦安南町線の事業に着手するなど,中四国の広域拠点都市にふさわしい計画的な整備を進めます。生活道路についても,踏切の改良や交通安全施設の設置など,生活者の視点に立った,人と環境に優しい道路づくりに重点的に取り組んでまいります。

三つ目の「安心で生き生きと暮らせる岡山型福祉を組み立てる」では,保健・福祉・医療分野の連携機能を強化し,予防,診療から介護まで切れ目のないサービス体制の実現を目指すとともに,すべての人が安心して子どもを産み育てることができるよう,子育て支援の充実を図ります。

まず,市民病院については,私が市長に就任した当時は,現状の機能とあまり変わらない形での建て替えの計画があり,そのまま進めることが岡山地域の医療体制にとって,求められている投資なのか疑問であったため,白紙に戻しました。
そして,現下の医療環境を取り巻く変化にも対応し,真に市民に必要なサービスを提供することが大切であるとの観点から,これまで様々な角度から慎重に検討してまいりました。
特に,昨年5月からは,地域医療の安定的・継続的維持を図るため,岡山地域における最適な地域医療体制の構築と医療・保健・福祉の連携強化を目指し,岡山大学との連携協議を精力的に進めてまいりました。
その結果,この協議の中で,全国に類例のない強固な連携体制を前提とした(仮称)岡山総合医療センター構想が提案されるとともに,岡山ERの構築をはじめ様々な取組について合意に至り,本年度中に岡山大学との協定を締結する運びとなりました。
今後この協定に基づいて,平成22年度からは,地域医療ネットワークやER型救急システムの研究及び救急医等の養成などを行うため,岡山大学に寄付講座を設置するとともに,地域医療を担う医師の人材育成を推進するため,岡山大学から初期臨床研修医の受入れを行うなど,具体的な事業を行いたいと考えております。
また,新年度には,岡山ERや医療・保健・福祉の連携機能を備えた(仮称)岡山総合医療センターの具体化に向けて基本構想を策定します。

旧御津町との合併協議に基づき,新市建設計画事業として整備することとしている金川病院の建替えにつきましては,運営形態の抜本的な見直しを含めて検討してまいりました。
このたび,本市と国立病院機構岡山医療センターとの間で,医療連携に向けた病院の再編について合意に達したことから,新たな病院を旧金川小学校跡地に整備し,運営を国立病院機構岡山医療センターに委託する方針を固めました。
この医療連携は,御津地域のみならず,本市北部地域の医療体制の充実強化につながるものと考えており,新年度は,この新たな病院を中核とし,健康づくりや介護予防等の保健福祉機能を併せ持った総合保健福祉施設の建設に向けて事業着手いたします。なお,この事業を着実に推進するため,保健福祉局内に「金川病院建替推進室」を設置します。

また,政令指定都市移行に伴い,こども総合相談所,こころの健康センター,障害者更生相談所などの専門機関を市が設置し,市の権限と判断であらゆる保健・福祉サービスが提供できるようになります。そこで,これに合わせて,保健・医療・福祉に関する体制を整備し,連携強化を図ります。
具体的には,福祉地区単位に福祉事務所,保健センター,地域包括支援センター等がネットワークをつくり,総合的に質の高い保健・福祉サービスを提供する体制を整えます。
また,ネットワークを構成する各機関による横断的な地域担当体制を編成し,こころの健康センター等の専門機関や市民病院とも連携しながら,地域で活動している民生委員・児童委員,愛育委員,安全・安心ネットワークなどの皆様と協働して,地域で発生した虐待や介護などの課題に,行政と地域が一体となって迅速に対応してまいりたいと考えております。
さらに,モデル事業として,保健・医療・福祉に関する総合相談窓口を保健福祉会館内に設置いたします。

こうした取組に加えて,安全に安心して住める福祉のまちづくりのために,さくら住座,門田白鳥住座などの老朽化した市営住宅の再整備と併せて,本市独自の市民住宅の供給も検討し,子育て世代や高齢者に配慮し,地域コミュニティの再生にもつながるような住宅の実現を目指します。本年度中に策定する基本構想を踏まえ,新年度は,民活手法の導入可能性等について調査を実施します。

子育て支援につきましては,これまでも,乳幼児医療費の助成対象を就学前の児童にまで拡大したほか,心豊かな岡山っ子応援団を設立し,官民協働で様々な取組を進めてまいりました。妊婦一般健康診査につきましても,今年度から公費負担の回数を拡充したところですが,新年度はさらに14回に拡大し,妊娠・出産にかかる経済的不安の軽減を図ります。
また,政令指定都市移行によりこども総合相談所を設置するのに合わせて,軽微な相談から専門的対応が必要な虐待通告への対応まで,子どもに関する身近な相談窓口として各福祉事務所に「地域こども相談センター」を開設します。これに合わせて,子ども相談主事を各センターに配置することにより,市民の皆様や学校園からの相談にこれまで以上に迅速かつ円滑に対応できるようにします。

四つ目の「自立して自己実現できる人間力を育てる」では,子どもたちの豊かな心や学ぶ意欲を育むため,政令指定都市としての権限もいかして,岡山独自の特色ある教育を推進するとともに,安全で快適な教育環境づくりを進めます。

まず,幼稚園・保育園から小学校,中学校までの学びの連続性を大切にしながら,自立する子どもを中学校区単位で育成できるよう,岡山大学教育学部との連携・協力により,各学校園での教育内容を見直すとともに,児童・生徒の学力面に共通する課題を解決する新たな授業方法を開発し,岡山型一貫教育を推進します。
併せて,基礎学力の定着を図るため,岡山市独自の取組として,小学校に少人数指導を行う習熟度別サポーターを新たに配置します。
また,障害のある子どもたちの学校園での生活支援や安全確保を行う特別支援教育補助員について引き続き充実を図り,子どもたちが落ち着いて授業に取り組めるよう配慮します。
さらに,政令指定都市移行により,県から移譲される教職員の採用,人事異動,研修等の権限を活用して,採用時からの一貫した教職員研修を進め,教職員の資質向上を図ります。

教育施設面では,岡山後楽館中高一貫校の新校舎を整備します。なお,これと併せて南方保育園・子育て支援センター,南方コミュニティハウスを一体的に整備し,地域活動と子育ての拠点とします。
また,大規模災害時には地域住民の避難拠点ともなる小・中学校の体育館の耐震改修を速やかに進めるとともに,新たに学校園舎の耐震診断も実施し,学校施設の安全性確保に努めます。

五つ目の「市民力で新しい岡山をつくる」では,住民による主体的な地域づくりを進め,安全に安心して住み続けられる地域社会の実現を目指します。

まず,政令指定都市移行と同時に設置される4つの行政区を単位として,それぞれの区の特色をいかしたまちづくりを市民協働で推進するため,区民会議(仮称)を設置します。
この区民会議(仮称)は,区内において様々な活動を行っている区民等をメンバーとし,各地域における市民の皆様からの提案による協働事業,地域課題解決に向けた安全・安心ネットワークの活動,地域振興のための取組等について協議することにしております。

また,防犯,防災,環境美化,地域福祉,健康づくりなど,地域の課題を自主的に解決するための安全・安心ネットワークについては,昨年,市内すべての学区・地区で設置され,自主的な活動の拡大・強化が今後必要となっております。
これに伴い,本市では,ネットワークへの活動支援に重点を置くこととし,活動費の一部助成を新たに行います。また,活動の中心的な役割を担うリーダーやコーディネーターの養成講座を引き続き実施します。活動への参加者を広げていくため,ふれあい公社が主催する地域応援人づくり講座については,公民館とも連携してより地域に密着した形で実施し,人材育成の強化を図ってまいります。
さらに,共に支え合う地域福祉の実現に向けて,地域包括支援センターの活動を,今後は,小学校区単位で展開することとし,各学区・地区の安全・安心ネットワークとの連携をこれまで以上に強めてまいります。
一方,情報通信技術を活用して安全・安心ネットワークの活動を支援するため,総務省の地域ICT利活用モデル事業として取り組んできた児童見守りシステム,高齢者安否確認システムについては,その拡大を図ります。また,ICTを活用して地域避難計画地図の作成や災害時要援護者支援システムの構築等を進め,災害発生時の支援活動や平常時の見守り活動にいかしてまいります。

六つ目の「岡山の強みをいかした産業を広げる」では,政令指定都市としての都市ブランドをいかした産業振興やコンベンションシティの構築に取り組むとともに,安全・安心な「食」を供給する魅力ある農業の振興を図ります。

まず,産業振興につきましては,今月11日に,経済産業省の谷合政務官にもご出席をいただいて,岡山県内の経済6団体等と初めての意見交換会を開催しました。
今後も,国や経済界との連携をさらに密にしながら,政令指定都市にふさわしい産業政策を主体的に進めてまいりたいと考えております。
また,政令指定都市移行による都市イメージの向上を追い風にして,企業誘致やコンベンション誘致を積極的に推進してまいりたいと考えております。
併せて,岡山観光情報センター(仮称)をJR岡山駅の駅南地下広場に整備します。

また,急速な経済・雇用情勢の悪化に対応するため,先月9日に緊急経済・雇用対策本部を立ち上げ,様々な対策を講じているところですが,新年度当初予算におきましても,総額1億5,000万円余の緊急雇用対策を実施する予定にしております。併せて,雇用環境の悪化に機敏に対応するとともに,政令指定都市にふさわしい労働政策や就労支援・雇用対策等をより効果的に実施していくため,経済局に「雇用対策課」を設置し,体制を強化いたします。

次に,農業政策については,政令指定都市移行に合わせ,長期的視点に立ったしっかりした戦略に基づいて魅力ある農業の振興を図るため,今年度中に農業振興ビジョンを策定することとしており,今後,安全で安心な食の供給,総合的なブランド化の推進,担い手の確保・育成などを重点施策として,農業振興ビジョンに基づく農業振興を図ってまいります。
新年度は,地産地消の推進や岡山ブランド農産物の育成に引き続き取り組むほか,食の安全性に対する市民の皆様の関心が高まる中で,人と環境に優しい農業に取り組む生産者グループを支援する事業を新たに始めます。また,地元産米の消費拡大と食料自給率の向上を図るため,パンや麺類などの材料となる米粉の生産・消費の拡大を図ります。
さらに,農業が雇用の受け皿としても期待される中で,意欲あふれる新規就農者の確保を図るため,昨年12月にスタートさせた新規就農者総合支援事業を本格的に実施するほか,ボランティアとして農作業に従事する農業サポーターを育成し,就農希望者が農業にかかわりやすい環境づくりを進めます。

七つ目の「文化力で岡山の誇りを高める」では,文化振興を通じて,市民の皆様の心を豊かにし,都市の魅力や品格を高め,全国に情報発信するとともに,プロスポーツを岡山のシンボルに育てる取組を進めます。

平成22年秋に岡山県内各地で開催する第25回国民文化祭に向けては,今月中に岡山市実行委員会を立ち上げて準備を進めることとしており,全国に向けて本市の文化と魅力をアピールしてまいりたいと考えております。
また,3回目となるおかやま国際音楽祭につきましても,一層市民の皆様から愛され,全国から多くのお客様に来ていただけるような音楽祭を目指します。

本市の政令指定都市移行と時期を同じくして,Jリーグ昇格を果たしたファジアーノ岡山の今後の活躍には,多くの市民の皆様とともに大きな期待を寄せているところであります。このため,新年度は,練習拠点ともなる灘崎町総合公園多目的広場の人工芝化を行うなど,ファジアーノ岡山が地域のシンボルとして成長し,岡山の活性化につながるよう支援を行ってまいります。

その他の議案の説明

続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。

まず,甲第24号議案は,政令指定都市移行に伴い,災害対策本部に区災害対策本部を設置するものです。

甲第25号議案は,一般会計及び特別会計の公債費を一元化することにより,公債費負担の明確化を推進するものです。

甲第30号議案は,介護保険事業計画の見直しに伴い,平成21年度分から平成23年度分までの介護保険料率の額を定める等のものです。

甲第31号議案は,介護報酬の額が増額されることに伴い,介護保険料の急激な上昇を抑制するため岡山市介護従事者処遇改善臨時特例基金を設置するものです。

甲第35号議案は,政令指定都市移行に伴い,風致地区内における都市の風致を維持するための事務が法令の規定により本市の事務となるため,岡山市風致地区条例を制定しようとするものです。

甲第37号議案は,足守幼稚園,福谷幼稚園及び高田幼稚園を統合するものです。

甲第41号議案は,岡山市営城下地下駐車場,岡山市城下地下広場について,指定管理者の指定を行うものです。

甲第42号議案は,政令指定都市移行に伴い,法で設置が義務付けられることとなる児童自立支援施設に関する事務を県に委託するものです。

甲第44号議案は,御津合併特例区の解散後においても,同特例区の名称を町名に付するものです。

甲第51号議案は,岡山駅西口広場デッキ等整備工事(建築他工事)について,請負契約を締結するものです。

以上で提案理由の説明を終わります。
よろしくご審議の上,ご議決を賜りますようお願いいたします。

報告に対する市長提案理由説明要旨

ただいまご上程になりました報告についてご説明いたします。

まず,報第5号は,岡山市立妹尾中学校武道場等新築及び体育館耐震改修等工事について,契約金額を変更したものです。

次に,報第6号及び報第7号は,リース公用車が事故により全損したことに伴い,リース車両が返還不能となったことによる債務不履行について,相手方と和解し,損害賠償額を決定したものです。

報第8号から報第10号までは,リース公用車の事故について,それぞれ賠償額を決定したものです。

報第11号は,リース公用車の事故について,相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

報第12号は,東部クリーンセンターのダンピングボックスと搬入車両が接触し同車が破損した事故について,相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

報第13号は,道路の管理瑕疵による事故について,相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

報第14号から報第19号までは,市営住宅の家賃の滞納等について相手方と民事訴訟法第275条の規定による和解をすることを決定したものです。

報第20号は,市営住宅の家賃の滞納等について,相手方と和解をすることを決定したものです。

報第21号は,国民の保護に関する計画を変更したものです。

なにとぞよろしくお願いいたします。

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総務局総務部総務法制企画課

所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]

電話: 086-803-1081 ファクス: 086-803-1840

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