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平成29年2月提案理由

[2017年2月21日]

ID:15092

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平成29年2月定例市議会に提出した議案に対する市長提案理由説明要旨

平成29年度予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,市政運営に関する所信を申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

我が国経済は,一部に改善の遅れもみられるものの,緩やかな回復基調が続くと期待され,地域経済については,日本銀行岡山支店が2月の金融経済月報において「基調的には緩やかな回復を続けている」から「緩やかな回復を続けている」へと4か月ぶりに景気判断を引き上げています。
そうした中,国においては,平成29年度予算の国会での審議が行われているところですが,同予算が目指す「経済再生と財政健全化の両立」の実現に向けた取組が大きく前進することを期待しております。岡山市としましても,「未来への投資を実現する経済対策」に基づく国の平成28年度第2次補正予算に対応し,学校耐震改修整備事業等を前倒しして実施するための補正予算の編成に取り組むなど,国の動きに呼応しつつ,市民生活の充実と岡山市の発展に資する施策を展開してまいります。

新たな総合計画の策定と平成29年度の市政運営

将来を見据えた市政の羅針盤となる新たな総合計画につきましては,長期構想の実現に向けた具体的な施策展開の方向性をお示しする前期中期計画の素案を昨年11月に公表しておりましたが,その後の市議会におけるご議論や市民の皆様のご意見を踏まえて加筆・修正したものを議案として今議会にお諮りしております。
前期中期計画は,長期構想の期間である平成37年度までの10年間のうち,平成32年度までの5年間を対象として,長期構想に掲げる将来都市像の実現に向けた政策・施策の体系をお示しする分野別計画と各区における特徴的な課題に対応し,その特性をいかしたまちづくりを進めるための方向性をお示しする区別計画で構成されています。
分野別計画にお示しした政策・施策に基づく具体的な事務事業につきましては,中心市街地や田園地帯,中山間部など,国土の縮図とも言える多様な地域を擁する岡山市において,各地域の課題や特性に応じた効果的な地域振興を行うため,区別計画の内容も踏まえながらしっかりと進めてまいります。

江戸時代の蘭学者で田原藩家老として藩政にも参画していた渡辺崋山の言葉に「眼前の繰廻しに百年の計を忘する勿れ」というものがあります。これは,目先のことに捉われ過ぎて長期的な視点を忘れることがないように戒める言葉ですが,我々も直面する喫緊の課題への迅速な対応を図るとともに,新たな総合計画が見据える将来の岡山市の姿を思い描きながら,長期的な展望を持って市政運営に取り組んでいかなければならないと考えております。

新年度における事務事業は,こうした基本的考え方の下,前期中期計画にお示しした政策・施策の体系に沿って構成するとともに,これまでと同様に,健全な財政運営の堅持や予算編成過程の透明性の確保,予算への民意の適切な反映に配意しながら,長期構想に掲げる3つの将来都市像の実現に向けて,特に力を注ぐ必要性が高いと思われる取組分野に重点を置いています。
まず,「中四国をリードし,活力と創造性あふれる『経済・交流都市』」の実現に向けては,人口減少や高齢化の進展による地域経済の規模縮小やまちの賑わい不足,周辺地域における生活機能の低下などが懸念される中にあっても,国内外から多くの人が訪れ,市域全体が快適で活力にあふれる都市を目指し,広域的なまちづくり,地域経済の活性化,まちの賑わいづくり,地域の振興に取り組みます。
次に,「誰もがあこがれる充実の『子育て・教育都市』」の実現に向けては,経済的理由による共働き世帯の増加や幅広い分野への女性の社会進出など,家庭や子どもを取り巻く社会環境が大きく変化する中で,希望する誰もが安心して子どもを生み育てることができる都市を目指し,子育て環境の充実と女性が輝くまちづくり,教育の振興に取り組みます。
また,「全国に誇る,傑出した安心を築く『健康福祉・環境都市』」の実現に向けては,超高齢社会の到来に伴う医療・介護需要の増加や地震,集中豪雨などの頻発による市民の安全・安心に対する意識の高まりに対応し,誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる都市を目指し,健康・福祉のまちづくり,安全・安心の確保に取り組みます。

広域的なまちづくり

広域的なまちづくりにつきましては,岡山連携中枢都市圏の中長期的な将来像と来年度からの5年間で実施する具体的取組を内容とする都市圏ビジョンを今年度中に策定する予定です。来年度以降は,連携市町とのつながりをより一層深めながら,ビジョンに基づく取組を着実に進め,圏域における経済成長や安定的な住民サービスの提供に関して,連携中枢都市として責任を果たしてまいりたいと考えております。

地域経済の活性化

地方における定住人口の減少に伴って,地域内消費の減少による経済規模の縮小が懸念される中,地域外からの観光客や短期滞在者などの交流人口の拡大を図ることは,地域経済の活性化に有効であると考えており,経済局を産業観光局に改称し,観光振興を市の重要施策として明確に位置付け,これまで以上に力を入れてまいります。
まず,観光資源の魅力向上に向けては,桃太郎を体感できる映像・イベントなどを使った新たな桃太郎伝説の情報発信や吉備路の桃太郎ゆかりの地を周遊する事業等を展開するとともに,「瀬戸内海の海上交通とともに繁栄した古代吉備国の王の遺産」の日本遺産認定にも取り組みます。また,岡山のシンボルである岡山城天守閣については,再建50周年記念事業として,岡山城ならではの歴史性などをコンセプトとする空間演出やアミューズメント性を実験的に導入し,その検証を行いながら本格的な活用方針を定めてまいります。
次に,外国人観光客の誘客に向けては,東アジアや欧米に向けたプロモーション等を継続するとともに,マレーシアやインドネシアなど,東南アジア方面からのムスリム観光客の受入体制整備を柱とする岡山型ヘルスツーリズム拠点化事業を進めます。また,瀬戸内4県都市長会議を構成する広島市,高松市及び松山市と連携して,タイからの招請ツアーを実施します。
さらに,コンベンション誘致に向けては,主催者ニーズの高いコンベンション開催に対する補助制度の充実を図り,誘致・支援活動をより戦略的に強化してまいります。

企業誘致の推進や地場産業の育成・強化にも注力してまいります。
岡山市の広域拠点としての優位性をいかし,企業の本社や総務,研究所等の本社機能,中四国支店等への補助制度を設けて誘致に取り組み,その立地が順調に伸びる一方で,工場等の立地については,近年,既存生産施設を活用した統合・集約による拠点化によるものが中心となっていることから,新たな立地のみでなく,長期にわたって市内で操業している事業者の工場等の拠点強化や戦略的再投資を対象とする補助制度を創設し,工場等の撤退防止と市内での事業継続を図ります。また,平成30年度中の完成を目指す空港南産業団地について,岡山市による水道・下水道工事及び県による造成工事が始まるため,引き続き,県と緊密に連携しながら事業を進めます。
次に,地場産業の育成・強化に向けては,業種や環境の異なる「人」「技術」「アイデア」等の交流による新たなサービスや商品開発を促進するため,起業家や学生,民間企業等のマッチングイベント等を開催します。また,市内中小企業の人材確保のため,企業の採用担当者等を対象とするスキルアップセミナーや首都圏・関西圏の大学卒業予定者等への合同企業説明会,就業体験等を実施します。
市民の健康な生活をサポートする産業の振興を目指すヘルスケア産業の創出・育成事業の取組については,テーマ性を持ったセミナーの開催,事業者の抱える課題に対する専門家による助言など,引き続き,事業者のヘルスケア産業に対する知見を高め,さらなる異業種交流を図るための支援を行ってまいります。

まちの賑わいづくり

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え,スポーツへの興味・関心が高まる中,スポーツの持つ力をまちの賑わいづくりや活性化にいかしてまいりたいと考えております。
同大会の参加国等との相互交流に取り組む自治体に国が財政支援等を行うホストタウンにつきましては,昨年12月,国際友好交流都市であるプロヴディフ市があるブルガリア共和国を相手国として,岡山市が国のホストタウン登録を受けたところです。今後は,同国からの事前キャンプ誘致やスポーツ,文化,教育など幅広い分野における交流事業を展開し,相互理解を深めるなど,ホストタウンとしての役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。また,同大会に向けて,各国のナショナルチームや選手のキャンプ誘致を促進するための補助制度を創設し,誘致活動をさらに力強く推進してまいります。

第3回大会となるおかやまマラソンにつきましては,これまで以上に多くのランナーに関心を持っていただけるよう,県内のマラソン大会だけでなく,既に香川丸亀国際ハーフマラソンや熊本城マラソンなど,全国各地のマラソン大会でPR活動を行っています。また,第2回大会のアンケート調査の結果等を踏まえ,ファンランのゴール地点のスタジアムへの変更を行うなど,引き続き,大会のさらなる魅力の向上に向けて,実行委員会で議論を進めてまいりたいと考えております。

市内外から訪れる多くの方にまちを歩き,楽しんでいただくことで,まちの賑わいと活力の創出につなげたいと考えており,中心市街地のさらなる回遊性向上と魅力づくりに向けた取組を着実に進めてまいります。
路面電車の岡山駅前広場乗入れにつきましては,駅前広場の賑わい・憩い空間や岡山駅前商店街等周辺への歩行者動線の確保,景観の向上などの観点から,乗入れを踏まえた駅前広場のあり方について検討を進めているところです。
来年度においては,あり方検討会や駅前商店街,地元,沿線地域の方々などのご意見をお聞きしながら,駅前広場のレイアウトについて取りまとめ,事業化を目指していきたいと考えております。

県庁通りの一車線化につきましては,今年度実施した回遊性向上社会実験においても,特に深刻な渋滞を引き起こすことはなく,多くの方に実際にまち歩きを体験していただくことができ,市民の間に理解が広がってきているのではないかと感じております。今後,県警をはじめ,沿道事業者や地域の皆様と協議を行いながら,大きな課題がなければ,今年度末を目途に,県庁通りの道路空間の将来像のイメージをお示ししたいと考えております。
来年度においては,沿道を含めた通りの魅力を高めるためのまちづくりセミナーの開催等を通じて,土地活用や良好な景観形成,賑わいの創出などについて地域の皆様と検討する中で,歩いて楽しい通りの姿を描きながら,事業化に向けて詳細設計を行ってまいりたいと考えております。

西川緑道公園筋の歩行者天国化につきましては,これまで市民主体による定期開催に向けた検討を進めてまいりましたが,去る1月5日,沿道事業者や西川パフォーマー団体,大学などとともに,西川緑道公園筋歩行者天国実行委員会を設立しました。来年度は,この実行委員会が運営主体となって歩行者天国を開催する予定です。

中心市街地の新たな賑わいの核となる新しい文化芸術施設の整備につきましては,市民の創作活動を支える文化芸術の創造拠点にふさわしいソフト面の充実を図ることが重要であると考えております。来年度中を目途に,実施する事業のジャンルや規模,それを可能とするために必要な組織体制や人材の確保・育成等について,有識者や市民の皆様のご意見をお聞きしながら,「新しい文化芸術施設管理運営基本計画」を策定する予定です。

地域の振興

人口減少や高齢化に伴う中山間・周辺地域における交通手段や生活サービスの確保,コミュニティ機能の維持などの地域課題に対しては,各地域の特性やニーズに応じた振興策を講じることが重要であると考えており,区別計画の内容も踏まえ,市民との協働も図りながら,魅力と活力のある地域の創出に向けて取り組んでまいります。
魅力と活力のある地域づくりに向けた住民主体の取組を強めるため,地域の歴史・文化資産の由来等を紹介する歴史案内看板「岡山歴史のまちしるべ」について,新たに地域からの設置提案募集を始めるとともに,町内会が行う地域住民の交流促進を目的とする行事等に必要な備品について,財政的支援を行い,コミュニティ活動の維持発展を図ります。

御津・建部地域において先行的に導入した地域おこし協力隊につきましては,現在,4人の協力隊員がそれぞれの地域の活性化に向けた活動を行っているところですが,今後は,これらの地域以外にも地域おこし協力隊の導入を図りたいと考えており,中山間地域等を中心に導入地域の拡大を検討してまいります。

公共交通利用が不便な周辺地域などにおける新たな生活交通の確保につきましては,灘崎地域迫川地区において,地域の方々が主体となって,日常生活に必要な移動手段を確保するための新たな生活交通の試験運行を昨年11月に開始したところです。この試験運行を平成30年3月まで続け,その成果と課題を把握した上で,本格運行をより利便性の高いものとするべく,地域の皆様や運行事業者と検討を進めてまいります。また,この迫川地区の取組を参考として,新たに複数の地区で,地域の方々が主体となって生活交通導入に向けた検討組織を立ち上げる動きも出てきており,市としてもしっかりと支援していきたいと考えております。

都心部と地域拠点,周辺地域を結ぶ公共交通の充実につきましては,昨年5月24日,吉備線LRT化に関して,総社市長,JR西日本岡山支社長と三者会議を開催し,これまでの検討内容やLRT化の意義・課題について確認いたしました。来年度中にも,事業費を精査した上で,役割分担や費用負担について,一定の目処を立てるべく,引き続き,三者で連携して取り組んでまいります。

イノシシやシカなどの有害鳥獣の出没による農作物等の被害の軽減対策につきましては,今年度から捕獲奨励金等を大幅に増額するとともに,侵入防止柵について,随時の設置要望への対応を可能とするなど,運用面での改善を図ったところです。特に侵入防止柵については,今年度大幅に設置実績が伸びており,設置場所における被害低減効果も大きいことから,来年度も関係予算の充実を図りながら,引き続き,地域のニーズに適切に対応してまいりたいと考えております。

子育て環境の充実と女性が輝くまちづくり

子育て環境の充実,特に保育の受け皿確保を当面の市政の最重要課題の一つと捉え,1日でも早く,希望するすべての子どもに保育を提供できる環境の実現を目指します。
昨年4月時点の729人の待機児童を受けた政策目標である平成29年4月での新たな800人の受け皿確保については,私立保育園の新増設による定員増や公立幼稚園の余裕教室を活用した一時預かり事業,地域型保育事業の導入促進などにより,新たに938人の受入れ枠を確保できる見込みですが,同月からの入園を希望する児童数が1次申し込みの時点で昨年より693人多い過去最高の1万7,011人を記録しており,待機児童・未入園児童の解消は難しい状況です。
こうした状況を受け,来年度の上半期には,私立幼稚園の余裕教室等を活用した緊急一時預かり事業の開始により40人程度,また,地域型保育事業の拡大により30人程度の受入れ枠を新たに確保するほか,一定の基準を満たす認可外保育施設や私立幼稚園の預かり保育に対する支援を行うことにより,保護者が安心して子どもを預けられる環境の整備を進めながら,一層の受け皿拡大に努めます。さらに,平成30年度に向けては,私立保育園の整備や認定こども園の整備等による受入れ枠の拡大に取り組みます。
また,保育の受入れ枠の拡大に関連して問題となる保育士不足への対策として,保育士・保育所支援センターを中心とする潜在保育士の再就職支援を行うとともに,保育士の処遇改善に向けた国の取組に加えて,市内民間保育士の賃金上乗せを図るための補助を岡山市単独で実施します。

子育て世代の負担軽減につきましては,4月から保育利用の子どものおよそ8割を対象とする保育料の減額を行うこととしておりますが,中でも負担感が大きい所得の低い階層に対しては平均3割程度の減額を行います。

放課後児童クラブにつきましては,児童の育成支援を行う人材の確保や開所日時延長などの「質の改善」に引き続き取り組むとともに,平成31年度末までの施設整備計画を前倒しして実施し,待機児童解消に向けた「量の確保」を加速させます。

子どもの貧困対策につきましては,岡山市子どもの貧困対策推進本部において,関係部署の所管事業の集約や子どもの置かれている現状の把握方法についての検討などを行っているところです。これを受けて,必要な人に必要な支援が漏れなく行き渡るよう,教育,生活,就労,経済など,関係部署がそれぞれ所管する支援策の関連をわかりやすく示し,各相談窓口が他部署の支援策につなぐなどの仕組みづくりを行うとともに,学校園や医療機関,NPO,民生委員など,約650の個人・団体に行うアンケート調査等により,子どもの貧困の現状把握に努めます。
また,困難を抱える子どもや家庭の早期発見・早期対応につなげるため,各福祉事務所の子ども相談主事を増員し,スクールソーシャルワーカーとして,全ての小・中学校に月1回配置することで,学校現場と福祉部門の連携を強化します。

女性が自らの希望に応じて能力を発揮し,男女がともに多様な生き方を選択できる豊かで活力ある社会の実現のため,ワークライフバランスの推進が重要であると考えており,市内企業における働き方や意識の改革に向けた機運の醸成に取り組みます。
従業員らの健康づくりやワークライフバランスに積極的に取り組む市内優良企業を対象とする表彰制度を創設するとともに,「経営戦略」としてのワークライフバランスの必要性について,先進的な取組事例を交えた企業向けのリーフレットを作成・配布するほか,シンポジウム等を開催します。

教育の振興

教育の振興につきましては,これまで12回にわたって開催した総合教育会議での議論を踏まえ,先般,岡山市の教育の施策の目標や方針を定める岡山市教育大綱を策定したところです。総合教育会議での多岐にわたる議論を通じて,教育をめぐる様々な課題が浮き彫りとなる中,全国学力・学習状況調査等の結果から,岡山市の子ども,特に中学校の成績が全国平均を下回る状態が続いていることや中学校における暴力行為の発生件数・小学校における不登校の出現率が全国平均を上回る状態が続いていることに,特に強い危機感を抱くに至りました。そこで,これまでの教育委員会や学校を含む岡山市としての取組が十分ではなかったとの反省の上に立って,平成32年度までの4年間の大綱における施策の目標として,まずは「学力の向上」と「問題行動等の防止及び解決」の2つを掲げることといたしました。
この2つの目標達成に向け,現状を変えていくためには,明確な数値目標を設定することが必要と考え,大綱では「全国学力・学習状況調査の偏差値が小学校51,中学校50」などの具体的な数値目標を定めています。岡山市の子どもたちが世界で活躍する素地を育むべく,今後,教育委員会の強いリーダーシップの下,全ての学校・教職員が一丸となって取り組むことはもとより,岡山市を挙げて目標達成を目指してまいります。
まず,学力向上に向けては,全国学力・学習状況調査に加え,岡山市独自の学力調査である岡山市学力アセスを実施することにより,小学校4年生から中学校3年生までの期間を通じて,生徒一人ひとりが自分の弱点を把握できるようにします。それを踏まえた上で,教員の指導の下,生徒が自分の弱点の克服に向けた目標を設定し,全中学校に導入する「自主学習ソフト」などを利用して,自主的に学習を進めることができるようにします。また,平成32年度からの小学校での英語授業開始や平成31年度からの全国学力・学習状況調査への英語科の導入も視野に入れながら,小中学校の英語授業の充実を図るため,外国語指導助手の配置を拡充するとともに,英語力を測る民間検定試験をモデル的に導入します。
次に,問題行動等の防止及び解決に向けては,学校の組織的な対応能力の向上,子ども達の居場所づくりや規範意識の向上を図り,暴力行為の発生件数や不登校の出現率が全国平均を下回ることを目標に取り組みます。

小規模校における学習環境の充実を図るため,来年度,複式学級編成の対象となる小学校8校にICT機器を導入し,インターネットテレビ電話でつないだ遠隔授業を行うことにより,他校の児童と意見を交わしたり,海外で活躍する人や専門家と直接会話できる環境をつくります。さらに,タブレット端末を活用して,他校の児童の考えや映像などの情報を得やすくすることで,児童の社会性の発達やコミュニケーション能力の向上を図ります。

学校の環境改善を目的とする空調設備の設置につきましては,平成30年度からの導入に向けて,設置の範囲や方針,導入経費,財源等について,外部有識者を交えて検討を行ってまいります。

健康・福祉のまちづくり

健康・福祉のまちづくりにつきましては,市民が健康長寿を享受できるよう,「運動」「生きがい」「食生活」に着目した健康寿命の延伸に取り組むとともに,日常的に医療や介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう,在宅医療・介護を支える環境の整備を進めているところです。
約4,400人の市民が参加した健幸ポイントプロジェクトにおいて,健康状態の改善や医療費の抑制効果など,多くの成果が得られたことを踏まえて,来年度以降においても,歩くことを推奨する新たなポイント事業を実施することで,より多くの方に健康的な運動習慣を身につけていただきたいと考えております。

6月30日と7月1日に開催予定の「第12回食育推進全国大会inおかやま」については,全国の自治体や企業など160以上の団体から,展示や講演会等の申し込みをいただいており,この大会を通じて,食生活の重要性を広く市民にお知らせするとともに,食育推進に向けた岡山市の取組を全国に発信してまいりたいと考えております。

高齢者の在宅生活を住まい・医療・介護・予防・生活支援で一体的に支える地域包括ケアシステムの構築に向けては,在宅介護総合特区推進事業をはじめ,在宅医療・介護を支える人材の育成や多職種連携,市民への普及啓発等に引き続き取り組むとともに,従来の介護保険予防給付に利用者負担の少ない新たな訪問型・通所型サービスを加えた介護予防・日常生活支援総合事業を4月から開始します。

岡山操車場跡地の市民病院東側約3ヘクタールのエリアにつきましては,健康,医療,賑わい等の機能を備えた施設整備のため,民間事業者に対し事業プロポーザルを行った結果,去る1月24日,大和リース株式会社を優先交渉権者とすることを決定いたしました。来年度中にも定期借地契約の締結及び事業者への土地引渡しを行い,平成30年度中の施設オープンを目指して整備が進められる予定です。

安全・安心の確保

岡山市は干拓地に由来する海抜ゼロメートルの低地を多く抱え,局地的な大雨等による浸水が市内各所で発生しており,対策の強化が急がれるところです。
今議会にお諮りしている岡山市浸水対策の推進に関する条例は,これまで行政が行ってきたハード整備に加えて,市民や事業者と協働して,総合的な浸水対策を進めようとするものです。今後は,この条例に基づいて,施策の方向性を定める基本計画の策定,国・県や市民・事業者との連携による浸水対策の推進,一定規模以上の開発行為等を行う事業者との雨水排水計画の協議,市民・事業者が行う雨水流出抑制の取組への支援等を行ってまいります。

消防局の救急搬送記録等による市内用水路への1年間の転落事故件数は,ここ数年間130件程度で推移しており,平成28年についても137件となったことから,改めて転落防止対策を急ぐ必要があると認識しているところです。
今年度,町内会の協力で実施した用水路の一斉点検で浮かび上がった約2,500の危険箇所については,今後,順次安全対策を講じてまいります。中でも特に危険性が高い約950箇所のうち,約50箇所については今年度安全対策に着手しており,残る約900箇所については来年度からの2年間で集中的に安全対策を実施します。

増え続ける空家の適正管理や利活用,地域の生活環境に悪影響を及ぼす特定空家等の削減に向けて,空家等の診断,リフォーム及び除却に対する補助制度に取り組んでいるところですが,この取組をさらに加速させるため,建築指導課内に空家対策推進室を設置し,窓口の一元化と業務の効率的・効果的な推進を図るとともに,空家を地域資源として有効活用し,地域活性化に結び付けるための取組を進めます。

平成29年度予算の概要

それでは,甲第2号議案から甲第19号議案までの平成29年度予算案の概要について申し上げます。
一般会計の予算額は,3,144億円,対前年度比で301億円,10.6パーセント増となりましたが,これは,県費負担教職員給与等の負担額約324億円が県から市に移ることによるものです。その影響額を除いた比較では,対前年度比でマイナス24億円,0.8パーセント減となりますが,臨時福祉給付金や学校耐震改修整備事業等の予算前倒し額約60億円を加味すると,所要額はしっかりと確保できたものと考えております。財源調整のための基金残高は,当初予算での取崩し後も基金残高は287億円と,前年度同期の272億円と比べて15億円増加するとともに,後年度に全額が交付税算入される臨時財政対策債等を除く市債の残高は,前年度比で13億円減少しており,財政運営の健全性を確保することができたと考えております。
歳入では,個人所得や家屋の新増築の増などにより,市税が17億円の増,また,県費負担教職員給与等の負担額の移譲などに伴い,譲与税・交付金が120億円,地方交付税が74億円,国・県支出金が62億円,それぞれ増となっております。
歳出では,県費負担教職員給与等の負担額の移譲などに伴い,人件費が322億円の増になるとともに,扶助費及び繰出金の社会保障関係経費が,子ども子育て関係経費や高齢化に伴う保険医療特別会計への繰出金の増などにより,8億円の増となっております。

その他の議案の説明

続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。

甲第21号議案は,個人番号の利用の範囲を改めるものです。

甲第22号議案は,効率的・効果的な業務執行体制を整備するため,岡山市の組織及びその任務に関する条例の一部を改正するものです。

甲第23号議案は,県費負担教職員の給与負担等が岡山県から移譲されることに伴い,教育委員会の職員の定数の変更等を行うものです。

甲第25号議案は,北区役所高松地域センターを移転するものです。

甲第26号議案及び甲第27号議案は,岡山市みつメモリアルパーク及び岡山市みつメモリアルパーク基金を設置するものです。

甲第32号議案は,病院,診療所等の構造設備の検査手数料を改めるものです。

甲第33号議案は,岡山市建部認定こども園を設置するものです。

甲第35号議案は,三蟠農協前バス停自転車等駐車場を無料自転車等駐車場として設置するものです。

甲第36号議案は,岡山市駅元町地区市街地再開発事業費特別会計を廃止するものです。

甲第38号議案は,建築物エネルギー消費性能の適合性判定手数料を定める等のものです。

甲第40号議案は,火薬類の製造許可申請の審査手数料を定める等のものです。

甲第41号議案は,水道事業の計画給水人口及び計画給水量を変更する等のものです。

甲第44号議案及び甲第45号議案は,岡山市民会館ほか2施設について,いずれも指定管理者の指定を行うものです。

甲第46号議案及び甲第47号議案は,玉野市及び久米南町のごみの処理に関する事務の委託を受けるものです。

甲第48号議案は,平成29年度包括外部監査契約を締結するものです。

甲第51号議案は,岡山市立平福小学校校舎棟耐震改修工事の請負契約を,甲第52号議案は,主要地方道岡山赤穂線道路改築事業及び市道宍甘沼線ほか2路線道路改築事業に伴う山陽本線東岡山駅構内架道橋新設他工事の委託契約をそれぞれ締結するものです。

甲第53号議案は,吉備の中山スポーツ広場を設置するものです。

以上で提案理由の説明を終わります。

よろしくご審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。

報告に対する市長説明要旨

ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。

報第4号は,市有自動車の事故について,賠償額を決定したものです。

報第5号から報第8号までは,道路の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

報第9号及び報第10号は,市営住宅の家賃の滞納等について,それぞれ相手方と民事訴訟法第275条の規定による和解をすることを決定したものです。

報第11号及び報第12号は,市営住宅の家賃の滞納等について,それぞれ連帯保証人である相手方と和解をすることを決定したものです。

なにとぞよろしくお願いいたします。

お問い合わせ

総務局総務部総務法制企画課

所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]

電話: 086-803-1081 ファクス: 086-803-1840

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