今年度が協働のまちづくり条例に基づいて策定された「岡山市協働推進計画(5か年)」の最終年度となることから、計画に対する総括・評価の共有と新たな計画策定に向けた情報交換を目的とした市民協働フォーラムを8月31日(月曜日)に開催しました。
コロナ禍での開催を危惧する声もありましたが、多くの市民の参加のもとで策定された条例・計画であることを鑑みて、最大限の感染防止対策に努めたうえでワークショップを実施しました。岡山市協働のまちづくり条例に定められた協働推進の施策を具体的に実施していくため、策定された計画です。2016年度から2020年度までの5年間が対象期間となっており、目的・目標・方針に基づいた基本施策・事業が規定されているほか、それぞれに目標値等が設定されています。
岡山市協働推進計画については「協働のまちづくり条例について」で詳しく紹介しています。
岡山市から協働推進計画の総括(8月時点)が共有されました。5つの基本方針に設定された指標と目標値が確認され、すべての指標について、当初値(平成27年度)に比べて上昇していることと、9つの成果指標の現状として、目標達成が4つ、上昇傾向にあるものが4つ、目標を達成できなかったものが1つであることが報告されました。
また、岡山市協働推進委員会の岩淵泰委員長が、岡山市の取組を評価しました。5か年の取組を一言でまとめることは難しいと前置きしつつ、5年間で協働の担い手となった市民や岡山市(行政)の労をねぎらうとともに形式ではなく成果を追求した協働が数多く生まれていることや多くの協働事業が一般施策化されたことを高く評価されました。
岡山市の報告から、計画が着実に進行していることを確認できましたが、市民の生活や活動の変化をあらわすエピソードに基づいて、「市民の感覚」で計画を評価することを目的としたワークショップを実施しました。計画に規定されている5つの基本方針をもとに5年前と比べて「よくなった」「かわらない」「わるくなった」エピソードを挙げてもらい、その内容やエピソードの数をもとに5年間の計画を評価しました。
挙げられたエピソードの数は以下の表のとおりです。
基本方針 | 5年間で よくなった | 5年間で かわらない | 5年間で わるくなった |
---|---|---|---|
(1)人材、団体を育成し、活動を支援します。 | 15 44% | 11 32% | 8 23% |
(2)多様な主体のつながりの場を創出します。 | 13 68% | 2 10% | 4 21% |
(3)情報の発信と共有を進めます。 | 6 46% | 5 38% | 2 15% |
(4)市役所の協働化を進めます。 | 10 41% | 8 33% | 6 25% |
(5)成果を共有し、協働意識の醸成を進めます。 | 4 33% | 5 41% | 3 25% |
その他 | 0 0% | 1 16% | 5 83% |
合計 | 48 44% | 32 29% | 28 25% |
エピソードの内容と数をもとに基本方針ごとの重要度と満足度を確認しました。
基本方針 | 重要度 高い | 重要度 低い | 満足度 高い | 満足度 低い |
---|---|---|---|---|
(1)人材、団体を育成し、活動を支援します。 | 5 | 0 | 1 | 4 |
(2)多様な主体のつながりの場を創出します。 | 4 | 1 | 1 | 4 |
(3)情報の発信と共有を進めます。 | 3 | 2 | 1 | 4 |
(4)市役所の協働化を進めます。 | 3 | 2 | 0 | 5 |
(5)成果を共有し、協働意識の醸成を進めます。 | 2 | 3 | 1 | 4 |
次に、新たに策定される協働推進計画への提案を確認しました。参加者には現行計画の総括・評価に縛られ過ぎず、大きな夢や理想を含めて考えていただくことをお願いしました。参加者から挙げられた提案は、以下のとおりです。
※記載された内容により、ESD・市民協働推進センターで文章を補足(編集)しています。
※具体的な提案以外のコメントは割愛しています。
基本方針 | 施策案または改善案 |
---|---|
(1)人材、団体を育成し、活動を支援します。 | ・市民が協働に参加するうえでのインセンティブ(動機づけ)を用意する。 ・親子で参加できる研修(多世代を対象とした研修)を増やす。 ・県、国際交流センターなど、同じような研修を企画・実施している主体との協働を進める。 ・出前式(ニーズがあった場所、時間に合わせた)講座の実施 ・若い人向けかつ短時間の研修。 ・小さいころから地域と関わるきっかけをつくる。 |
(2)多様な主体のつながりの場を創出します。 | ・ニーズ調査の結果をより多くの主体と共有する。 |
(3)情報の発信と共有を進めます。 | ・協働に有益な情報を得られるだけでなく、協働の実践者が知見をフィードバックできるシステムをつくる。 ・インスタグラムを有効に活用する。 |
(4)市役所の協働化を進めます。 | ・各部署からの提案または協働の取組を促すため、数値目標をつくる。 ・地域活動を伴走支援する。(地域担当職員) ・協働推進員を関係部署あたり2名に増やす。 |
(5)成果を共有し、協働意識の醸成を進めます。 | ・市民協働に関する行事の参加者が口コミを投稿できる(情報が蓄積され、誰でも閲覧できる)媒体をつくる。 |
最後に各グループがそれぞれに協議した結果を全体に発表してワークショップを終了し、事務連絡の後、フォーラムを閉会しました。
参加人数(スタッフ除く):26人
内訳
参加者満足度:75点/100点
その他アケート結果など
指標 | 結果 | 達成率 |
---|---|---|
協働推進計画への理解は深まったか(5段階評価) | 3.9 | - |
今後も協働推進計画の策定に参加したいと思うか(〃) | 4.1 | - |
ワークショップの進め方や時間配分は適切であったか(〃) | 3.8 | - |
あなたの意見はワークショップの成果に反映されたか(〃) | 3.6 | - |
マスクを着け、また通常より座席間隔を広くとった環境でのワークショップとなりましたが、参加者の積極的な姿勢と協働推進員のサポートによって、熱のこもった協議が行われ、多くの意見、提案を得ることができました。
特に、数値にはあらわれないエピソードや市民の満足度を確認できたことは非常に有意義であり、これから協働推進委員会によって本格的に進められる新たな計画の策定に生かされることが期待しています。