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平成31年2月提案理由

[2019年2月20日]

ID:15143

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平成31年2月定例市議会に提出した議案に対する市長提案理由説明要旨

平成31年度予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,市政運営に関する所信を申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

最近の我が国の経済状況を見ますと,1月の政府の月例経済報告では,景気は「緩やかに回復している」との判断を維持し,先行きについても,各種政策の効果もあって,緩やかな回復が続くものと期待されています。地域経済も日本銀行岡山支店が2月の金融経済月報において,景気は「緩やかに拡大しつつある」との判断を続けており,豪雨災害の影響を乗り越え,概ね順調に推移しているものと見られます。
国においては,第1期の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が最終年度を迎える中で,政策の着実な実行により,地方創生の取組が実効あるものとなり,さらに経済の成長軌道が確かなものとなることを期待するとともに,岡山市としましても,国の平成30年度補正予算及び平成31年度予算に積極的に呼応してまいります。

さて,昨年は,7月豪雨による甚大な被害を受け,岡山市にとって大変厳しい一年となりました。
災害から7か月,被災された市民・事業者の皆様の生活と生業の一日も早い再建に向けて,様々な支援策を講じてきた結果,全体としては落ち着きを取り戻してきたものと認識しているところです。しかしながら,1月に実施した郵送によるアンケート調査などを通じて,依然として日常生活を取り戻せていない方や支援制度を知らない方がおられる状況も明らかとなり,取り残しのない被災者支援に向けて,新たな働きかけを始めたところです。
これまで「災害が少ない」と言われてきた岡山市にとって,大きな試練でありましたが,この災害に対応した経験を今後の教訓とし,「災い転じて福となす」とすべく,まずは,災害時における「自助」「共助」のあり方をはじめ,初動体制や情報提供などの項目ごとに課題の抽出・検証作業を進め,年度末を目途に骨子を取りまとめているところであり,今議会におきましても,検証内容を踏まえた今後の対策に必要な経費を適宜予算に反映しております。

また,今議会は平成最後の議会となります。
平成における市政を振り返りますと,平成17年には御津町,灘崎町と,平成19年には建部町,瀬戸町と合併し,平成21年には,現行制度上最も自立した政令指定都市に移行しました。平成29年には,岡山市を連携中枢都市として,8市5町で構成する岡山連携中枢都市圏を形成し,活力と魅力あふれる圏域づくりに取り組んでおります。さらに昨年,岡山市は,経済活動の集積,生活基盤の確保,東京圏への人口流出の抑止などの面で,近隣市町村を含む圏域全体をけん引する中枢中核都市の一つに選定されたところです。

私は,市長就任以来,「住みやすさ」「力強さ」「安全・安心」の三つの視点を大切にしながら,様々な取組を進めてまいりましたが,その間,岡山市に立地する中四国支店等が100社を超え,中心市街地では再開発事業が活発に進むなど,中四国地方の中で岡山市の拠点性が高まってきたことを実感しております。さらに,一時は先行きの見通せなかった桃太郎線のLRT化や岡山芸術創造劇場(仮称)の整備,待機児童の解消などに一定の道筋をつけることができ,岡山のまちは大きく躍動を続けてきているところです。
平成31年度は,災害に強く,「安全・安心」な岡山市の実現に最重点を置きつつ,併せて,公共交通や地域振興,子育て環境・教育,健康・福祉など,人に優しい「住みやすさ」に重点を置いたきめ細かな施策により,市民生活を充実させていくとともに,産業をはじめ,岡山市の強みや地域特性をいかす効果的な施策を講じながら,中四国地方をけん引する「力強さ」を一層強化し,まちの好循環の動きをさらに加速させてまいりたいと考えております。
また,今年は政令指定都市移行10年,市制施行130周年という節目の年にも当たります。岡山芸術交流2019,G20岡山保健大臣会合の開催を機に,国内外から訪れる多くの皆様に岡山市の魅力を発信し,次の10年に向けてさらなる高みへ飛躍する,最初の1年にふさわしい年としたいと考えております。

平成31年度予算の概要

それでは,平成31年度予算案の概要について申し上げます。
平成31年度予算案の編成に当たっては,こうした考えを具現化する施策に重点を置く一方で,財政規律の維持や将来の財政運営にも配意し,財源の効果的・効率的な配分に努めました。
また,市議会におけるご議論や様々な機会に市民の皆様からいただいたご意見も参考にさせていただいております。

一般会計の予算額は,3,311億円,対前年度比で139億円,4.4パーセントの増となり,過去最大規模の一般会計予算額となっております。
歳入は,個人所得の伸び等により市税が42億円の増,幼児教育・保育の無償化の影響等により国・県支出金が70億円の増,岡山芸術創造劇場(仮称)の整備に伴う借入金などにより市債が15億円の増となっております。歳出は,岡山芸術創造劇場(仮称)や市営住宅などの建設により普通建設事業費が48億円の増,保険医療特別会計への繰出金の増などにより繰出金が11億円の増,幼児教育・保育給付費や障害児の保護措置費の増などにより扶助費が40億円の増となっております。特に力を入れた「災害に強い岡山市」に向けては,自主防災会組織結成への取組をはじめ,ソフト・ハード対策合わせて15億円を計上しております。
今回の予算編成では,災害対策への重点的な対応をはじめ,幼児教育・保育給付費を含む社会保障関係経費の増加などの課題への対応のため,歳出が139億円増となったこともあり,歳入と歳出を均衡させるため,市債の借入れと基金の取崩しで対応しておりますが,過去の決算剰余金の積立額の実績から見ると,平成31年度内に取崩しと同程度の基金への積戻しができると考えております。
なお,財源調整のための3基金と庁舎等整備基金を合わせた基金の残高は,前年同期と比較して,17億円増の328億円となりました。
また,臨時財政対策債等を除く市債の残高は1,523億円と,前年同期に比べ23億円の減となり,毎年減少を続けております。
さらに,従前に発表された実質公債費比率や経常収支比率などの指標を見ても,財政の健全性は確保できているものと考えておりますが,将来世代に負担を先送りすることのないよう中長期的な展望に立ち,財政運営の健全性を確保した上で,岡山市の持続的な発展と市民生活の充実に資する取組を着実かつ積極的に進めてまいります。

災害に強い,安全安心なまちづくり

災害に強いまちを実現するために,7月豪雨による浸水被害を踏まえた効果的なソフト・ハード対策を推進します。
昨年の7月豪雨災害では,夜半の砂川決壊にもかかわらず,死者・行方不明者が一人も出なかったことは不幸中の幸いでした。これは,発災直後の「公助」が届きにくい中で,日頃の災害への備えや近所同士の声掛けといった「共助」の力が有効に働いたものと考えております。
こうしたことから,まず,住民に最も身近な組織である単位町内会に,避難行動を支援する自主防災組織の役割を担っていただき,また,地区内の連絡調整を連合町内会に担っていただくよう市内全域に働きかけてまいりたいと考えております。
また,結成時の準備や活動の支援制度を抜本的に見直し,拡充するとともに,自主防災組織の結成手続きを簡素化することで,地域における防災意識が高まっている好機を逃すことなく,自主防災組織の組織化が全市域で行われ,「共助」による地域防災力の強化につながるよう,取組を進めてまいります。

特に浸水被害の大きかった地域へのハード対策としましては,県の砂川改良復旧事業への協力のほか,今保排水区ポンプ場(2か所)の整備に向けた測量・地質調査や横井・津島排水区の現況調査等を行います。また,既存施設の有効活用策として,笹ヶ瀬川右岸の用水路事前水位調整のための現況調査,市内86か所の排水機場の点検強化や監視カメラの設置検討等を行います。
これらの対策を総合的に推進することで,発災時の迅速かつ効果的な対応が可能となり,浸水被害を大幅に抑えることができるものと考えております。

昨年の災害救助法改正により,来年度から,救助実施市に指定された政令指定都市が,これまで都道府県が実施していた災害救助事務を行えるようになりました。
市内の実情に最も精通した岡山市が災害救助を主体的に行うことが,最も効果的で,柔軟かつ迅速に災害救助を行えるものと考え,4月1日の救助実施市指定を目指して,所要の準備を進めております。
救助実施市には,災害救助に要する費用に充てるための災害救助基金の積み立てが義務付けられていることから,「岡山市災害救助法基金条例」を制定し,基金を創設いたします。

本庁舎整備

本庁舎整備につきましては,今年度末を目途に基本構想を策定しているところであり,災害対応の中心となる防災拠点機能の強化を図り,災害時の業務継続性を確保するため,耐震性に優れ,災害に強い庁舎を目指すとともに,市民の利便性向上,憩いや交流の場の創出など,公園等の周辺機能も含めた本庁舎周辺にふさわしい魅力的なまちづくりにも配慮してまいります。
また,来年度は動きを加速させ,早期の事業化を目指すべく,基本計画の策定に着手したいと考えております。

住みやすい地域づくり

災害時だけでなく日常においても,安全・安心で住みやすい地域づくりは重要です。
中山間・周辺地域の振興を図る「地域の未来づくり推進事業」につきましては,昨年6月に制度を創設し,地域に事業を根付かせるべく,様々な支援を行ってまいりました。4月から実施を予定する事業につきましては,5件の意欲的な申請があり,今後も事業支援のほか,新たな事業掘り起しに向けて,きめ細やかな支援を行ってまいります。

地域における安全・安心なまちづくりを推進するため,町内会等が設置する防犯カメラの経費を支援し,自主的な防犯活動に対する取組を支援してまいります。
また,周辺地域における有害鳥獣の出没報告が増え,農作物等の被害の拡大も懸念されております。これまでの捕獲支援等の取組に加え,被害の実態調査を行い,被害の実態や生息状況に基づいた被害防止策を検討してまいりたいと考えております。

市有未利用地につきましては,その有効活用を促進するため,民間事業者の活用アイデア事業を広く求めてきたところですが,先月,旧福谷小学校・幼稚園跡地の売却に向け,地域における課題解決及び活性化につながる事業提案の募集を開始したところです。

人にやさしい都市交通によるまちづくり

桃太郎線のLRT化につきましては,新駅の設置箇所やLRT化後の運行計画,併用軌道区間の整備方法等について検討を進めており,そのうち新駅については,事業効果を高めるため,「沿線の人口集積地をカバーすること」,「周辺の人口集積地をカバーすること」,「所要時間を考慮し,最大でも既存の駅間に一つまでとすること」の3つの観点を踏まえ,設置箇所を検討することとしております。
現在,地域に出向き,岡山市の新駅設置の考え方や設置案に対するご意見を伺っているところであり,引き続き,丁寧な意見交換を行いながら,基本計画を取りまとめてまいりたいと考えております。
併せて,早期の事業化を目指し,三門駅周辺の併用軌道区間における軌道敷設位置や道路拡幅範囲を決定するための測量設計を,基本計画の取りまとめと並行して進めてまいります。

人口減少と高齢化が課題の周辺部においては,次第に公共交通の不便な地域が広がり,交通弱者の増加と日常の生活の足の確保が重要な課題となっております。
足守地区では,生活バスの運行車両を1台から2台に増やし,運行エリアを拡大するとともに,桃太郎線とのアクセスを考慮した運行ダイヤに改める試験運行を行ったところ,利用者数が倍増する結果が得られたことから,来年度以降も2台での運行を継続する方向で調整しております。
また,デマンド型乗合タクシーの導入につきましては,今年度から本格運行に移行した迫川地区に続いて,4月からは,千種地区で試験運行を開始する予定としております。併せて,馬屋上・野谷地区,角山地区,牧山地区においても試験運行を目指した検討が進められており,今後とも,導入を希望する地域の方々との協議を進めてまいります。

利便性の高い公共交通サービスを安定的に提供することを目指す「岡山市公共交通網形成協議会」では,ネットワークの再編や結節機能の強化,ダイヤ調整,料金施策等について議論を進めており,今後,より具体性を高めた議論を展開したいと考えております。

人が集い,にぎわうまちづくり

路面電車の岡山駅前広場への乗入れにつきましては,来年度早期に都市計画決定等の手続きを終え,軌道の設計を行う予定です。また,駅前広場のデザインについては,現在,広場全体を岡山後楽園に見立てて整備する原案をベースに,具体的なデザインを検討しているところであり,年度内を目途にデザインを決定し,設計に着手したいと考えております。

県庁通りの一車線化につきましては,沿道事業者・地域住民の皆様との意見交換や関係機関との協議を経て,年度内を目途に詳細設計を取りまとめる予定であり,いよいよ来年度から工事に着手いたします。

美しい街路樹は,まちに潤いと彩りを与えるものであり,風格あるまち,自然に歩きたくなるまちをつくるためには,豊かな緑が欠かせません。
先般,中心市街地の景観重要道路のうち,市が管理する7路線をモデル路線に設定したところであり,5か年にわたる再生プログラムに基づき,樹種に応じた美しい樹形の形成や緑のボリュームアップ,老木の植替えを進めてまいります。

岡山芸術創造劇場(仮称)につきましては,施設概要に一定の道筋がつき,今後は,2022年秋頃のオープンに向けてソフト事業の充実を図っていく必要があります。
市民団体の様々な活動を劇場がハブとなってつなぎ,施設のコンセプト「魅せる」「集う」「つくる」を市民とともに創り上げていくために,舞台芸術や文化施設運営などに高い専門的知見を有する人材の確保を図り,組織体制の構築や開館後の事業計画,施設利用の検討を進め,岡山市の新たな文化を創造・発信する拠点となるよう必要な取組を進めてまいります。

2回目となる現代アートの国際展・岡山芸術交流2019につきましては,今年秋の開催に向けて機運の醸成を図るなど,必要な準備を進めているところです。
特に今回は,学校や地域との連携に重点を置いており,希望する小中学校に出前授業を行うとともに,作品鑑賞や岡山のまちを楽しんでいただくためのサポートスタッフの充実等を図ってまいります。開催まで7か月となりました。瀬戸内国際芸術祭とも連携を取りながら,国内外から来られる多くの方々に岡山の魅力を感じていただけるよう着実に準備を進めてまいります。

G20岡山保健大臣会合につきましては,支援推進協議会において,様々な機会を捉えて,市民・県民への開催周知や開催に向けた機運の醸成を図っているところです。
来月3日に実施する,会合開催200日前イベントを皮切りに,あらゆる世代の方々が健康に関心を持ち,健康づくりに取り組むきっかけとなるようなイベントを,節目毎に開催するとともに,大臣会合参加者へのおもてなしをはじめとする受入れ体制を万全に整え,会合の成功をしっかりと支えられるよう,準備を進めてまいります。
また,この会合を契機として,岡山の保健医療の取組がさらに一歩前進し,全国に誇れるものとなりますよう,医療関係者をはじめ,経済団体,市民団体の皆様と,岡山の保健医療の目指す姿とそれを実現する方策について議論してまいります。

市民が主体のまちづくり

昨年,岡山市は「SDGs未来都市」への選定を契機に「SDGs推進本部」を立ち上げ,岡山地域全体で実践してきたESDの枠組みを発展させて,SDGsの実現に向けた取組を全庁的に進めてまいりました。
来年度には,SDGs未来都市の事業である健康づくりの分野を中心に,SDGsの達成につながる様々な分野の事業を積極的に進めるほか,ESD活動をより一層促進しながら,経済界や教育機関等とも連携し,持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

中米コスタリカの首都・サンホセ市との姉妹都市締結50周年を記念して,1月24日から31日までの間,岡山市民友好親善訪問団の団長として同市を訪問し,サンホセ市長をはじめ,現地の多くの方々とお会いし,また,日本大使館の協力も得ながら,音楽などを通じて,サンホセ市民の方々との交流を深めてまいりました。今回の訪問を通じて,半世紀の歴史を刻む両市の絆を再確認し,今後,新たな50年に向けた一歩を踏み出すことができ,大変有意義な訪問となりました。

昨年は,ファジアーノ岡山,岡山シーガルズや3人制バスケ・トライフープおかやまに加え,卓球の岡山リベッツがリーグに参戦するなど,スポーツ界の動きが活発となっています。
また,昨年,おかやまマラソンが,沿道の応援の盛り上がりや円滑な運営で多くの参加者の高評価を得て,ランニング専門サイトの2018年大会ランキング大規模大会部門で1位となりました。
さらに,東京オリンピック・パラリンピック競技大会を来年に控え,ナショナルチーム等のキャンプ受入れやホストタウン計画に基づく交流事業を実施するほか,2020年には,ブルガリア共和国バドミントン競技をはじめ3件の事前キャンプ実施が決定している中で,今後も誘致活動を進めていく予定としております。
岡山市がスポーツを通じてより一層活性化し,市民の地域への愛着と誇りやまちの一体感が醸成されていくことを期待しております。

優位性をいかした産業振興

創業・起業支援につきましては,新しいビジネスモデルにチャレンジする「スタートアップ」に関心を持つ人や企業・大学の方々が気軽に交流し,必要な情報等を得ることができるよう,民間主体の協議体が実施する常設拠点の整備等を支援することにより,創業・起業の裾野を拡げ,新事業の創出や事業活動の活性化等につなげてまいりたいと考えております。

市内の企業に対する支援につきましては,医療・福祉分野の強みをいかし,関連産業のさらなる振興を図るため,海外を含む圏域外への事業展開を検討している意欲ある市内企業に対して,稼ぐ力の創出・強化に向けた販路開拓の支援に取り組むとともに,市内に本社を有する企業の本社機能強化を後押しするため,「本社・中四国支店等立地推進事業補助金」制度を拡充し,本社等の新増設による市内経済の基盤強化を図ってまいります。

企業誘致につきましては,補助制度の拡充を図りながら,積極的な誘致活動を行ってきた結果,平成25年度の2件から平成29年度には18件になるなど一定の成果が出てきております。岡山県と共同で開発した空港南産業団地の公募を先月24日に開始したところであり,引き続き,岡山市の地域経済をけん引する優良企業の誘致の実現を目指してまいります。

地域資源ををいかした観光振興

来年度から岡山城と烏城公園を一体管理することで,岡山城一帯を「観光」と「歴史」の調和のとれた観光資源として,より円滑な管理・運営に努めるともに,好評いただいている岡山城の夜間利用も含め,一層の賑わい創出と,市民や観光客の満足度向上につながるよう魅力アップを図ってまいります。

昨年5月に認定された日本遺産につきましては,メディアを通じた情報発信や地域人材の育成のためのワークショップ等を実施してまいりましたが,地域におきましても,シンポジウムの開催や商品開発の検討等,様々な活動が進められてきたところです。
今後は,映像・ポスターによる情報発信や子ども向け学習まんがによる普及啓発を図るとともに,現地でガイダンスを行う造山古墳ビジターセンターの整備や国内外に向けたプロモーション活動の実施など,認定文化財を活用したさらなる観光誘客や地域活性化に向けた取組を行ってまいります。

子育て環境の充実

平成31年4月の認可保育園等への入園希望者数は,一次申し込みの時点で過去最高の1万8,428人となりました。今年度中に,それを上回る1万8,924人分の受け皿を確保できる見込みですが,いまだ1,660人の入園が決まっていない状況であるため,保育コンシェルジュを中心に,一人ひとりのニーズに沿った寄り添う支援を続けているところです。
また,国が今年10月から実施する幼児教育・保育の無償化の影響につきましては,昨年7月に市が実施した簡易アンケートの分析結果から,無償化実施後の来年4月における入園希望者数は,1万9,400人程度に増えると想定しておりますが,来年度中の目標である700人分以上の受け皿整備を行うことにより,入園希望者数を上回る受け皿を確保できる見込みです。
保育の受け皿拡大が概ね順調に進む一方で,受け皿拡大に見合う保育士の確保が重要な課題となっているため,その対策として,平成29年度から実施している岡山市単独での市内民間保育士の賃金を2パーセント上乗せする補助を継続するほか,平成31年度から,市内の民間保育施設に新たに就職する保育士等を対象に,宿舎借上げ及び奨学金の返済の支援を始めます。
なお,来年4月以降の幼児教育・保育の量の見込みとその確保方策につきましては,平成31年度中に策定する新たな「子ども・子育て支援事業計画」において定めることとしております。

放課後児童クラブにつきましては,女性の就業率の増加に伴い,利用児童数は増加の一途をたどるなど,その重要性は年々高まっております。
現在,地域が運営する放課後児童クラブには,サービス内容や保護者負担額の較差等の課題があり,その解決に向けて検討を進めてきた結果,持続可能な運営のためには,市が責任を持ってクラブ運営に関わりながら保護者等のニーズに応え,運営上の課題等を克服していかなければならないとの考えに至りました。
そのため,まず市が統一基準を策定し,その基準に賛同するクラブを「公の施設」として条例に位置づけ,2020年度から公益財団法人岡山市ふれあい公社へ運営を委託したいと考えております。
また,これに先行して,来年度には市とふれあい公社が共同で実行委員会を立ち上げ,サービス内容等統一基準によるクラブ運営を実験的に行うこととしており,こうした一連の見直しにより,子育て支援の環境をより一層充実させてまいりたいと考えております。

教育環境の充実

「岡山市教育大綱」に目標として掲げております「学力の向上」と「問題行動等の防止及び解決」につきましては,教育委員会の強いリーダーシップの下,全ての学校・教職員が取り組んでいるところであり,総合教育会議でも,その達成に向けて議論してまいりました。
学力については,中学校では改善傾向にあるものの,小学校では全国平均を維持しつつも昨年度より低下している状況から,中学校に導入している学習支援ソフトを新たに小学校にも導入するとともに,家庭における保護者の関わり方を保護者向けリーフレットで発信するなど,授業改善や家庭学習の充実などを進めてまいります。併せて,ICTを活用した授業改善を進めるための環境整備にも力を入れてまいります。
問題行動等については,中学校では改善傾向にあるものの,小学校では暴力行為や不登校児童が増加傾向で,出現率が全国平均を上回っております。このことから,同一中学校区内の小中学校で方針を協議し,家庭と学校が一体となって指導を展開するとともに,スクールカウンセラーや教育支援アドバイザーなどの専門家や支援員を引き続き配置することにより,学校における指導・支援の体制づくりを進めてまいります。
さらに,これらの課題解決に向けた学校の取組を支えるためには,教職員の負担軽減を図り,子どもと向き合う時間を確保することが大切であると考えており,引き続き,学校業務アシストや部活動指導員を配置するとともに,来年度から新たに各学校に留守番電話を設置いたします。

健康福祉のまちづくり

民間からの出資・融資を受け,事前に定めた成果指標の達成状況に応じて市が事業費を支出する,SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)の仕組みを活用した新たな健康ポイント事業「おかやまケンコー大作戦」について,今月から参加者の募集を開始し,4月からポイント付与の対象となるサービスの提供を開始いたします。
これまでの歩くことに加えて,フィットネス等での運動習慣づくりや身近なスーパー・飲食店等での健康的な食習慣の提案,イベントや学びの場を通じた社会参加機会の提供など,多様な民間ノウハウをいかし,参加者の健康的な生活習慣の獲得を後押しします。

心身障害者医療費助成制度につきましては,障害者本人やその家族,精神科医等から意見を聴取しながら検討を行った結果,「精神障害者保健福祉手帳1級所持者」で,かつ「自立支援医療(精神通院)受給資格者」である方について,新たに対象に加えることとし,医療機関での自己負担を1割に軽減いたします。
この見直しは,システム改修を経て,今年12月から実施する予定としており,所要の議案を今議会にお諮りしております。

自らごみ出しをすることが困難な方を支援する「ふれあい収集」につきましては,高齢化の進展を踏まえ,昨年10月,要介護3以上としていた対象範囲を要介護2以上に拡大いたしました。
拡大前に比べて利用者が2割以上増加しており,引き続き制度の周知を図るとともに,来年度上半期を目途に,要介護1以上に拡大するための準備を進めてまいります。

外国人との共生社会に向けて

岡山市の外国人人口は,平成27年4月から約3,500人増加し,昨年12月末には1万3,000人を超えました。
昨年12月,国において「出入国管理法」が改正され,さらに外国人市民が増加していくことが予想される中,岡山市においても,文化,習慣等が異なる外国人市民の生活支援をさらに充実させていく必要があると考えております。

女性の活躍

「女性活躍推進法」の全面施行から間もなく3年を迎え,市内企業においても女性活躍の取組が進む中,今後,さらに行動計画策定及び公表が義務付けられる企業の範囲が拡大される見込みです。
岡山市におきましても,男女共同参画社会の形成の促進に関する条例を見直し,女性活躍の推進について事業者の責務をより明確にするとともに,自治組織の責務や市役所における取組についても明記し,併せて,性的マイノリティの方の人権への配慮を盛り込むこととしております。
幅広い分野において誰もが性別にとらわれず活躍できる社会が求められており,より多くの企業が女性活躍に積極的に取り組むよう,働きかけてまいります。

その他

今年10月に予定されている消費税等の増税に伴い,消費に与える影響を緩和し,地域における消費を喚起する目的で国が計画する「プレミアム付商品券」事業につきましては,市民税非課税の方や3歳未満の子育て世帯に対し,一定額の商品券を販売し,市内の取扱店舗で使用していただくこととしており,所要の準備を進めてまいります。

その他の議案の説明

続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。

甲第19号議案は,災害救助法に規定する災害救助に要する費用に充てる岡山市災害救助法基金を設置するものです。

甲第20号議案は,職員の時間外勤務命令を行うことができる上限を定める等のものです。

甲第21号議案は,職員の給与に関し,等級別基準職務表を改めるものです。

甲第23号議案は,岡山市神崎町外3財産区に基金を設けるものです。

甲第38号議案は,ワーク・ライフ・バランスの推進,女性の職業生活における活躍の推進等の新たな課題の解決に向けて一層の理解促進を図り,併せて,性的マイノリティの方の人権に配慮するものです。

甲第44号議案は,災害に係る救助の程度,方法及び期間の定めを規則に委任する等のものです。

甲第45号議案は,国民健康保険法施行令の一部改正に伴い,国民健康保険料の賦課限度額及び保険料軽減判定所得の額を改めるものです。

甲第46号議案は,精神障害者を心身障害者医療費給付制度の受給対象者とする等のものです。

甲第52号議案は,介護保険に係る保健福祉事業の費用の支出に備えるものです。

甲第53号議案は,介護医療院の人員,施設及び設備並びに運営に関する基準の一部改正に伴い,介護医療院の衛生管理等の基準を改めるものです。

甲第56号議案は,放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準の一部改正に伴い,放課後児童支援員の資格要件を改めるものです。

甲第59号議案は,家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の一部改正に伴い,保育所等との連携及び食事の提供の特例に関する基準を改めるものです。

甲第60号議案は,岡山市伊島認定こども園を設置するものです。

甲第61号議案は,本市の設置する幼保連携型認定こども園の学校医等の公務災害補償を実施する機関を市長とするものです。

甲第68号議案は,職業訓練施設岡山市技能訓練センターを廃止するものです。

甲第97号議案は,水道法施行令等の一部改正に伴い,布設工事監督者及び水道技術管理者の資格要件を改める等のものです。

甲第108号議案から甲第112号議案までは,烏城公園の指定管理者の指定の期間を変更するほか,4施設の指定管理者の指定を行うものです。

甲第113号議案から甲第115号議案までは,津山市ほか2市町との連携中枢都市圏形成に係る連携協約を変更するものです。

甲第116号議案は,平成31年度包括外部監査契約を締結するものです。

甲第117号議案は,岡山市一宮浄化センター施設改修工事について,工期を変更しようとするものです。

甲第118号議案は岡山市当新田健康増進施設運営・維持管理事業について,甲第119号議案は岡山市東部健康増進施設運営・維持管理事業について,それぞれ事業契約を締結するものです。

このほか,消費税法及び地方税法の一部改正に伴い,使用料の額を改める等のため,73条例の関連議案をお諮りしております。

以上で提案理由の説明を終わります。

よろしくご審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。

報告に対する市長説明要旨

ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。

報第2号はリース公用車の事故について,報第3号は市有自動車の事故について,それぞれ賠償額を決定したものです。

報第4号は私有自動車の破損について,報第5号及び報第6号は私有財産の破損について,報第7号から報第9号までは道路の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

報第10号及び報第11号は,市営住宅退去明渡し等の債務について,訴訟手続により債務の履行を請求することを決定したものです。

報第12号は,市営住宅の家賃の滞納等について,連帯保証人である相手方と和解をすることを決定したものです。

なにとぞよろしくお願いいたします。

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総務局総務部総務法制企画課

所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]

電話: 086-803-1081 ファクス: 086-803-1840

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