平成28年度予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,市政運営に関する所信を申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1月の政府月例経済報告が「景気は,このところ一部に弱さもみられるが,緩やかな回復基調が続いている。」とする一方,日本銀行は,1月29日の政策委員会・金融政策決定会合において,2パーセントの「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するためとして,「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しております。国民の経済活動の基盤となる物価の安定に寄与し,景気の回復につながる金融政策運営を行っていただくことを期待しております。
そうした中,国会では,現在審議中の平成28年度予算案の提出に先立つ1月20日,一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策等を中心に編成された平成27年度補正予算が成立いたしました。中でも「特に緊急対応」と位置付けられている地方創生加速化交付金は,地方版総合戦略に基づく各地方公共団体の取組の先駆性を高め,レベルアップの加速化を図るものであり,政府は,その交付対象事業を今年度中にも決定することとしています。岡山市としましても,こうした国の動きに積極的に対応したいと考えており,同交付金を活用して「岡山市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく事業の早期かつ円滑な執行を図るための補正予算等の編成に取り組んでまいります。
将来を見据えた市政の羅針盤となる新たな総合計画につきましては,新年度からの10年間を期間とする長期構想の素案を昨年11月に公表しておりましたが,その後の市議会におけるご議論や市民の皆様のご意見を踏まえて加筆・修正したものを長期構想案として今議会にお諮りしております。
この長期構想では,「未来へ躍動する 桃太郎のまち岡山」という都市づくりの基本目標と「中四国をリードし,活力と創造性あふれる『経済・交流都市』」「誰もがあこがれる充実の『子育て・教育都市』」「全国に誇る,傑出した安心を築く『健康福祉・環境都市』」という3つの将来都市像を掲げました。
「未来は既に始まっている。」これはドイツ生まれのユダヤ人作家で原爆投下後のヒロシマと被爆者の状況をヨーロッパにつぶさに伝えたジャーナリストでもあるロベルト・ユンクの言葉です。
この言葉は,理想や願望を掲げるだけでなく,行動を起こすことの重要性を示しています。この長期構想の策定を岡山市の明るい未来を切り拓いていくための一里塚とし,一歩一歩前に進んでいきたいと考えております。
今こそ行動する時です。いきいきと躍動するまち岡山の実現に向けて,ともに頑張りましょう。
長期構想でお示しした基本目標や将来都市像の実現に向けましては,岡山市の現状と課題をしっかりと把握した上で,それらへの対応のために必要な取組を着実に進めていかなければならないと考えております。
岡山市では,これまで順調に人口が増加してまいりましたが,近い将来,人口減少期に入ることが見込まれており,生産年齢人口の減少による地域経済の規模縮小やまちの賑わいの低下などが大きな課題となってまいります。こうした状況下において,東京一極集中を是正し,人口減少に歯止めをかけるためには,新たな雇用や成長を促す地域経済の活性化やまちの賑わいづくりに取り組むとともに,岡山都市圏の中心として,広域的なまちづくりの視点から,圏域全体の発展を力強くリードしていくことが期待されています。
また,岡山市の高齢化率は,この20年間で約10パーセント上昇し,現在ほぼ4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えており,それに伴う社会保障費の増大,周辺地域における生活機能の維持や交通手段の確保などの問題への対応が必要となるため,生涯を通じて誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう,健康・福祉の充実や安全・安心の確保,コンパクトでネットワーク化された快適で多様なまちづくりに取り組みます。
さらに,景気の回復に伴って就業者数が増加する一方で,特に子育て世代を中心に男女ともに非正規雇用の割合が上昇し,経済的な問題等で共働きせざるを得ない世帯が増えるとともに,社会の幅広い分野で活躍する女性が増えていることから,希望する誰もが安心して子どもを生み育てることができる社会の実現に向けて,保育・教育サービスの安定的な提供など,子育て環境の充実と女性が輝くまちづくり,教育の振興がますます重要になってきています。
こうした基本的考え方に基づき,新年度から,広域的なまちづくり,地域経済の活性化,まちの賑わいづくり,コンパクトでネットワーク化された快適で多様なまちづくり,健康・福祉,子育て環境の充実と女性が輝くまちづくり,教育の振興,安全・安心などの分野に重点をおいて取り組んでまいります。
それでは,平成28年度予算案の概要について申し上げます。
平成28年度予算案の編成に当たっては,平成28年度が新たな長期構想の初年度に当たることもあり,その基本目標である「未来へ躍動する 桃太郎のまち岡山」に鑑み,岡山市の未来への「躍動」に向けた第一歩となる事業などに重点を置きました。
一方で,財政規律の維持や将来の財政運営にも配意し,事業の選択と集中による財源の効果的・効率的な配分を図るとともに,行財政改革の徹底や歳入の確保等にも努めました。
また,予算への民意の反映を図ることも重要であると考えており,市議会におけるご議論や様々な機会に市民の皆様からいただいたご意見を参考にさせていただきました。
さらに,予算編成過程については,透明性を確保し,説明責任を果たすことが必要であるとの観点から,そのプロセスと結果について明らかにするため,昨年度に引き続き,今年度も「見える化」を実施しております。
一般会計の予算額は,2,843億円で,平成27年度当初予算額と比べて,5億円,0.2パーセントの減となりましたが,平成28年度に実施予定の事業のうち,27億円分を国の補正予算に対応して,平成27年度事業分として2月補正予算に前倒しを予定しており,これを含めると実質2,870億円,前年度比では16億円,0.6パーセントの増加となる見込みです。貯金に当たる財源調整のための基金残高は,当初予算での取崩後でも273億円と,前年度同期の235億円と比べて38億円増加するとともに,後年度に全額が交付税算入される臨時財政対策債を除く市債の残高は,前年度比で10億円減少しており,財政運営の健全性を確保することができたものと考えております。
歳入では,個人所得や家屋の新増築の増加等により,市民税・固定資産税等の市税が10億円の増,社会保障関係経費の増加等により,国・県支出金が44億円の増となる一方,市債は,臨時財政対策債の減少等により,77億円の減となっております。
歳出では,これまでの市債の借入抑制により,公債費が16億円の減,学校耐震改修整備事業が国補正予算への対応で平成27年度に前倒しする予定となったこと等により,普通建設事業費が88億円の減となった一方で,扶助費及び繰出金の社会保障関係経費は,臨時福祉給付金,子ども医療費助成制度の拡充等により,72億円の増となっております。
広域的なまちづくりにつきましては,去る2月5日,連携中枢都市圏の形成を目指す8市5町の首長で構成する岡山都市圏連携協議会の第2回会議を開催し,連携協約に盛り込む施策や具体的な事務事業の方向性等について協議を行いました。
今後は,平成28年度中の連携協約締結と連携中枢都市圏ビジョン策定に向けて,都市圏の目指すべき将来像や連携取組項目の具体的内容について,関係市町と調整してまいります。
将来的な人口減少が予測される中,東京圏等への人口流出に歯止めをかけ,若い世代の岡山への定着を図るためには,地域経済を活性化することが不可欠であると考えており,新たな雇用と活力を生み出すべく,これまで以上に産業や観光の振興に力を注いでまいります。
産業振興につきましては,岡山市の広域交通の拠点性をいかした企業誘致を推進するとともに,地場産業の育成・強化や新たな創業・商品開発の促進に取り組みます。
企業誘致の推進に向けましては,平成28年度から造成工事を始める空港南産業団地整備事業や本社,中四国支店などの立地支援を進めるとともに,産業振興・雇用推進課内の企業立地推進室を産業政策課に格上げするなど,企業誘致を戦略的に推進するための体制整備を行います。
また,地場産業の育成・強化を図るため,中小企業を対象とした各種セミナー,人材育成研修などの経営支援事業や若年求職者に中小企業での就業体験の機会を提供するジョブマッチングなどの雇用対策事業等の実施により,中小企業の活性化を図るとともに,創業希望者へのセミナーや経費補助などの創業支援事業を行います。
さらに,少子・高齢化の進展や健康志向の高まりなどにより,ヘルスケア分野の市場規模拡大が見込まれる中,岡山市の充実した医療・介護環境等の地域資源をいかし,新たな創業・商品開発を促進するため,産官学金労言による幅広い交流・連携等によるヘルスケア産業の創出・育成に取り組んでまいります。
観光振興につきましては,岡山の歴史・文化資源をいかして情報発信力を強化するとともに,近年目立って増加している外国人観光客の誘客を促進してまいりたいと考えております。
歴史・文化資源をいかした情報発信力の強化に向けましては,春に行われるJRデスティネーションキャンペーンに合わせ,県と連携し,後楽園の幻想庭園と岡山城の烏城灯源郷を春にも開催するほか,連携中枢都市圏の取組の中で発掘・収集してきた周辺市町を含めた歴史・文化資源に魅力的なテーマやストーリー性を加味して,新たな広域観光資源として情報発信します。
また,市民や観光客に向けて歴史・文化資源の魅力や由来を紹介する「岡山歴史のまちしるべ」事業を旧城下町エリアのほか,市内各所においても進めてまいります。
さらに,「桃太郎のまち岡山」の都市イメージの発信や好感度の向上を図るため,「桃太郎」をテーマとした食のイベントやグッズ開発にも取り組みます。
外国人観光客の誘客に向けましては,これまでの東アジアからの団体旅行客に加え,欧米からの個人観光客が増加していることを受けて,外国人個人観光客を対象とする宿泊助成や民間事業者と連携した食の魅力の情報発信を行ってまいります。
また,瀬戸内4県都市長会議を構成する広島市,高松市,松山市と連携し,マレーシアにおいて,物産展等のプロモーション活動を行います。
文化や芸術,スポーツなどの持つ力をいかして,岡山市の特徴をつくり,都市のブランド力を高めるとともに,地域への愛着や誇りを高め,国内外に向けて積極的に発信していくことで,多くの人が集い,交流するまちづくりを進めてまいります。
今年10月からの約2か月間,「文化芸術でつながる人とまち」と銘打ち,3年に1度開催する予定の「岡山アートサミット」と10年目の節目を迎える「おかやま国際音楽祭」を中心に様々なイベントを同時期に開催いたします。
「岡山アートサミット」では,岡山城周辺の歴史文化ゾーン内に展示された国内外約30作家による世界最先端の現代アート作品に触れていただくことができ,また,「おかやま国際音楽祭」では,吉備津彦神社などの地域資源を活用したコンサートや市民が気軽に街角で演奏できるコンサートなどを楽しんでいただけます。
そのほかにも岡山市芸術祭などの文化芸術イベントに加え,日中韓3か国地方政府交流会議や全国都市問題会議といった大規模コンベンション,おかやまマラソンなども同時期に開催が予定されており,国内外から様々な目的で岡山市を訪れる多くの人々が交流する中で,新たな人のつながりや活力が生まれ,「都市の躍動感」を実感していただくことができればと考えております。
第2回大会となるおかやまマラソンにつきましては,第1回大会後に行ったアンケート調査などを踏まえ,ランナーの定員の増加や運営の改善などにより,大会のさらなる魅力の向上に努めるとともに,市民並びに地元町内会,協賛企業等の関係者の皆様のご支援・ご協力をいただきながら,第1回大会よりもさらに多くの方に楽しんでいただけるような大会にしたいと考えております。
新しい文化芸術施設の整備につきましては,今年5月に整備予定地についての最終判断を行い,基本計画を策定する予定としております。
基本計画は,今後の施設整備における設計の指針となるものであり,専門家の助言もいただきながら,事業者と協議し,千日前地区市街地再開発事業の計画に反映させてまいります。
なお,今年5月の整備予定地についての最終判断の段階で,千日前地区での施設整備が困難と判断した場合は,天神町の後楽館中・高跡地での整備に方針を変更し,基本計画を策定後,基本設計などの手続を進めることとなります。
中心市街地の活性化や賑わいづくりに向けて,回遊性の向上を図ることも重要であると考えており,新年度におきましても,県庁通り・西川緑道公園筋回遊性向上社会実験を行ってまいります。
今年度は,社会実験の最初の年でしたが,多くの方々に訪れていただくことができ,回遊性の向上などについて,一定の成果が得られたものと考えております。その一方で,若干の道路渋滞や表町商店街との連携不足などの課題も見られ,今後,警察その他の関係者とも協議しながら,その対応策を検討してまいります。
西川緑道公園筋については,西川パフォーマー事業の開催日等の土日,祝日で計5日間程度実施し,将来の歩行者天国の定期開催も視野に入れながら,市民参画による新たな運営体制の構築を進めてまいりたいと考えております。また,県庁通りについては,今年の秋頃を目途に,平日を含む連続した数日間で,車道一車線化の交通規制で生じる空間を自転車空間等とする実験を行い,その効果や影響等について検証し,今後の方向性を検討してまいります。
人口減少や高齢化が進む中にあって,市民生活の質と都市の活力を維持するためには,利便性の高い公共交通を中心とする交通ネットワークの充実を図り,都心部と各地域の拠点,その周辺地域を相互に結ぶとともに,周辺地域を活性化し,生活機能の維持を図ることが必要であると考えております。
路面電車の岡山駅前広場乗入れにつきましては,昨年11月24日の第4回調査検討会において市の計画案としてお示しした平面乗入れ案について,地元町内会等への説明会を実施しております。
今後は,平面乗入れ案を前提として,乗入れによる環境への影響調査を行うとともに,地元の方々にもご参加いただきながら,駅前広場のあり方,商店街等周辺への動線確保などを含めた計画案を取りまとめてまいりたいと考えております。
吉備線LRT化につきましては,現在,総社市,JR西日本との間で,基本計画の根幹となる具体的な費用負担や運営方法について,実務者レベルでの検討を重ねているところです。
今後は,基本計画案として取りまとめができるよう,運行事業者の採算性や施設等の所有のあり方,関係者の役割分担なども含め,総社市,JR西日本と協議してまいりたいと考えております。
周辺地域などの公共交通利用が不便な地域においては,日常生活に必要な移動手段の確保が重要な課題であると考えており,現在,モデルケースとして,灘崎地域の迫川地区において,新たな生活交通の導入に向けた検討を進めているところです。
地域の方々に主体となって取り組んでいただくことで,地域のニーズや特性に応じたものになることを期待しており,今後,運行事業者の選定等の手続を経て,今年の秋頃を目途に試験運行を開始したいと考えております。
周辺地域の活性化,生活機能の維持につきましては,今年度実施しました中山間・周辺地域の地域代表者や女性に対する地域課題把握のためのアンケートの調査結果を踏まえ,専門家等を交えた住民主体によるワークショップ等を,中山間・周辺地域の数か所程度において実施し,地域の実情に即した効果的な支援策等を検討してまいります。
生涯を通じて誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる健康・福祉のまちづくりに向けましては,必要なときに必要な医療・介護を受けられるよう,環境の充実を図るとともに,一人ひとりが生涯にわたって健康でいきいきと活躍できるよう,健康寿命を伸ばすことが重要であると考えております。
今年10月に岡山市で開催される「介護保険推進全国サミット」では,豊富な医療・介護資源の強みをいかした本市の取組をアピールするとともに,全国の先進事例から多くのヒントを得ることで,住み慣れた地域で安心して暮らし続けたいという市民の希望に応える地域包括ケアシステムの構築にいかしてまいりたいと考えております。
健康寿命の延伸につきましては,そのために重要な「運動」「生きがい」「食生活」に着目した施策に引き続き取り組んでまいります。
まず,参加者の平均歩数が2,000歩以上も増加するなど,既に大きな成果を上げている「健幸ポイントプロジェクト」に引き続き取り組むとともに,高齢者の社会参加を通じた生きがいづくりを支援する「生涯現役応援センター」の体制を充実し,出張相談の実施,コーディネート分野の拡大などを行うことにより,寄せられる相談に適切に対応し,効果的なマッチングにつなげます。
また,市民の皆様に健康的な生活習慣を身につけていただくため,新たに,減塩に着目して高血圧予防を目指す「かるうま減塩プロジェクト」にも取り組んでまいります。
国民健康保険財政につきましては,平成26年2月定例市議会において,平成26年度からの3年間を計画期間とする岡山市国民健康保険財政健全化計画を策定し,医療費適正化や収納率の向上等に全力で取り組むとともに,平成28年度までに保険料率の改定を行うこととしておりました。
しかし,計画策定時の見込みに対して,入院件数の減少や医療費適正化の取組などにより,保険給付費の伸びが鈍化するとともに,今年度からの国による財政支援の拡充による歳入面での改善もあり,計画策定時に予測された赤字額が縮小し,新年度においても今年度と同規模の法定外繰入額で対応できる見通しとなったため,新年度における保険料率の改定を見送ることといたしました。
もちろん,今後の国民健康保険財政の見通しは,決して楽観できるものではないため,引き続き,医療費適正化等の取組を続けるとともに,平成30年度からの国民健康保険財政運営の都道府県化も見据えながら,財政健全化に取り組んでまいります。
子育て環境の充実につきましては,保育の量の確保が当面の最重要課題であると認識しております。
希望しても入園できない未入園児童の人数は,昨年10月時点で1,090人となっており,同月以降の新たな入園申し込み及び育休退園の運用の見直しによる需要増を加えると,今年4月時点で527人の定員増を行ってもなお700人程度の未入園児童が発生する見込みです。できるだけ早期に需給ギャップを解消し,希望するすべての子どもに就学前教育・保育を提供できるよう,来年度以降も子ども・子育て支援事業計画に沿って,私立保育所の整備や地域型保育事業の拡大,認定こども園の推進を行ってまいります。
併せて,放課後児童クラブにつきましても,開所延長や障害児受入れ等による「質の改善」と施設整備による「量の確保」の両面に取り組むことで,着実に利用者ニーズに応えてまいりたいと考えております。
また,近年の非正規雇用の拡大に伴い,子育て世代における非正規雇用の割合も急速に伸びていることを受け,保護者の経済的負担の軽減も早急に対応すべき課題であると考えております。
こうした中,国・県においては,来年度から第3子以降に係る保育料の無償化拡大等の負担軽減策を講じることとしており,市としましても,今年4月からの子ども医療費助成制度の拡充とともに,多子世帯の負担軽減を含む保育料全体の見直しについて,鋭意検討を進めてまいります。
女性が様々な分野において,自らの意思で希望をかなえることができる社会は,男女がともに多様な生き方を実現でき,豊かで活力ある社会にもつながるものと考えており,引き続き,女性が輝くまちづくりの推進に取り組んでまいります。
岡山市役所においては,「隗より始めよ」の精神の下,男女ともに働きやすい職場づくりに向けた取組を進めているところですが,今年4月に女性活躍推進法に規定する特定事業主行動計画の策定が義務付けられることに伴い,「岡山市特定事業主行動計画」を同法に規定する特定事業主行動計画とし,平成33年4月1日時点の課長相当職以上に占める女性の割合14パーセント,男性職員の子育て休暇及び出産補助休暇の取得率100パーセントなどの具体的目標を掲げることとしております。
また,女性活躍推進法に基づく協議会を立ち上げ,民間企業や経済関係団体,NPOなど多様な主体との間で連携を進めながら,民間企業等において,女性活躍推進の必要性についての理解が深まるように取り組んでまいりたいと考えております。
教育の振興につきましては,引き続き,総合教育会議での議論を続けながら,平成28年度中を目途に,教育の目標や施策の根本的な方針となる大綱を策定することで,岡山市としての教育政策に関する今後の方向性を明確にしたいと考えております。
また,これまでの総合教育会議において,子どもの人間性を育むことや能力を伸ばすことの重要性が議論される中,教員の授業改善を行う力を高めること,また,教員だけではなく,より子どもに近い存在である大学生の力を教育現場にいかすことが有効であるという外部有識者からのご意見を踏まえて検討した結果,学生による学校支援ボランティアのあり方を見直すとともに,新たに岡山市独自の学力調査を実施することといたしました。
学生による学校支援ボランティアについては,教育委員会と学校園の間で支援内容についての協議を行い,これまで行っていた学校環境整備などを含む活動から,学力向上や問題行動等の防止に向けた取組に重点を移すとともに,学生で組織する団体に企画運営を行わせることにより,学生の主体的な取組を促し,教育に対する意識の向上を図ります。
岡山市独自の学力調査は,小学校4年生と5年生,中学校1年生と2年生の連続する2年間にわたって実施します。これを小学校6年生及び中学校3年生で行う全国学力・学習状況調査と合わせ,6年間にわたって継続的に生徒の学力の実態を分析し,問題点の解決に取り組むことにより,子どもたちの学力及び学習意欲の向上を目指します。また,その問題作成・結果分析・授業改善の一貫した流れに岡山市の教員が直接関わることにより,教員の指導力の向上を図ることも目的としており,平成29年度からの本格実施に向けて,平成28年度は一部の科目等で試行します。
市立図書館のインターネットによる図書の予約数が平成22年度の約20万5,000冊から平成26年度には約50万4,000冊と大幅に増加する中,図書館から離れた地域の市民の利便性を高めるため,インターネット予約図書の公民館での受取り・返却サービスを試行的に開始します。
平成28年度においては,図書館から離れていて,図書館の利用度は低いものの,公民館図書コーナーの利用度が高い3つの中学校区の公民館において試行し,その利用状況や課題などについて検証した上で,今後の拡充方針を検討してまいりたいと考えております。
安全・安心なまちづくりにつきましては,現在進めている学校園等の市有施設や橋りょう,上・下水道施設の耐震化などの整備を引き続き進めるとともに,こうしたハード対策と訓練・防災教育などのソフト対策を長期的な視野の下で適切に組み合わせた全体の施策のパッケージを定め,計画的に推進していくため,国土強靭化基本法に基づく国土強靭化地域計画を平成28年度中に策定します。
昨年,市内での用水路への転落死亡事故が相次いだことを受け,早急にその安全対策に取り組む必要があると考えております。具体的には,既に県警から指摘を受け,又は市独自に把握している約60の危険箇所について,速やかに転落防止柵等の対策を講じるとともに,まだ把握できていない危険箇所の洗出しのため,地域の実情に最も通じている地元の皆様にご協力いただきながら,用水路の一斉点検を行います。
イノシシやシカなどの有害鳥獣の出没による農作物等の被害の軽減,ひいては市民生活の安全の確保を図るため,侵入防止柵や捕獲檻の購入・設置助成,捕獲活動に対する活動支援や奨励金の交付等を大幅に拡充します。
空家等の適正管理につきましては,先般取りまとめた実態調査の結果によれば,市内の空家総数は8,660棟,そのうち倒壊の危険性があるか,近く倒壊の危険性が高まると考えられるものが約2,000棟に及んでおり,危険な空家が市内全域に広範に存在していることが明らかとなりました。
こうした中,様々な相談や苦情にワンストップで対応するための「岡山市空家等総合相談窓口」を今年1月に設置したところであり,今後,相談を通じて具体的なお話をお聞きしながら,物件ごとの実情に応じた対応を検討してまいりたいと考えております。
続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。
甲第21号議案は,行政不服審査法の全部改正に伴い,審査会への諮問等について定めるとともに,所要の措置を講ずるため,関係条例の一部を改正するものであり,甲第24号議案は,同法の施行に関し必要な事項を定めるものです。
甲第25号議案は,市の債権の管理に関し必要な事項を定めることにより,債権の管理の適正化を図り,もって市民負担の公平の確保及び円滑な行財政運営に資するものです。
甲第26号議案は,地域再生法の一部改正に伴い,地方活力向上地域における固定資産税の特例を定めるものです。
甲第27号議案は,過疎地域自立促進特別措置法の一部改正に伴い,岡山市過疎地域に係る固定資産税の特例に関する条例の有効期限を延長するものです。
甲第28号議案は,地方自治法の一部改正に伴い,区の事務所の任務について定めるものです。
甲第29号議案は,北区役所吉備地域センターを移転するものです。
甲第32号議案は,障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の施行に伴い,岡山市障害者差別解消支援地域協議会を設置するものです。
甲第33号議案は,岡山県ふぐ処理等規制条例の施行に伴い,ふぐ処理業の登録等の申請に対する審査手数料の額を定めるものです。
甲第34号議案は,医療法の一部改正に伴い,病院及び診療所の人員及び施設等の基準について定めるものです。
甲第37号議案は,岡山市岡南認定こども園を設置するものです。
甲第39号議案は,建築基準法の一部改正に伴い,建築審査会委員の任期について定める等のものです。
甲第40号議案は,岡山市北消防署を移転するものです。
甲第41号議案は,消防団員の入団資格年齢の上限及び部長の定年の年齢を改めるものです。
甲第42号議案は,市立幼稚園の教育職員の給与その他の勤務条件に関する特別措置について定めるものです。
甲第43号議案は,岡山市立吉備公民館の建替えに伴い,同公民館の室名及び使用料の額を改めるものです。
甲第45号議案から甲第76号議案までは,岡山シンフォニーホール以下58施設について,いずれも指定管理者の指定を行うものです。
甲第77号議案は,事業費に対する負担割合を変更するため,東六間川・興除用水施設管理協議会規約の一部を変更するものです。
甲第78号議案は,平成28年度包括外部監査契約を締結するものです。
甲第80号議案は,岡山市第六次総合計画長期構想を策定するものです。
甲第84号議案は,指定小規模多機能型居宅介護事業所等に関する特例について,甲第86号議案は,指定地域密着型通所介護の人員,設備及び運営に関する基準について,甲第88号議案は,指定介護予防認知症対応型通所介護事業の運営に関する基準について定める等のものです。
甲第89号議案は,国民健康保険法施行令の一部改正に伴い,国民健康保険料の賦課限度額及び保険料軽減判定所得の額を改めるものです。
以上で提案理由の説明を終わります。
よろしくご審議の上,ご議決を賜りますようお願い申し上げます。
ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。
報第2号はさくら住座再生事業(第2期)について,報第3号は岡山市東山斎場駐車場及び雨水貯留槽整備工事について,それぞれ契約金額を変更したものです。
報第4号は私有自動車の破損について,報第5号及び報第6号は道路の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。
報第7号は,市営住宅の家賃の滞納等について,連帯保証人である相手方と和解をすることを決定したものです。
報第8号から報第11号までは,市営住宅の家賃の滞納等について,相手方と民事訴訟法第275条の規定による和解をすることを決定したものです。
報第12号は,国民の保護に関する計画を変更したものです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1081 ファクス: 086-803-1840