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岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク実践交流会その1

[2015年12月11日]

ID:38292

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ユネスコスクール世界大会高校生フォーラム

2014年秋に、「ESDに関するユネスコ世界会議」の中で開催された「ユネスコスクール世界大会」。
3日間にわたって開催された「ユネスコスクール世界大会」では、「高校生フォーラム」をはじめとする3つの会議が行われ、世界各国のユネスコスクールに通う生徒や教員が参加しました。

あれから一年・・・

2015年11月1日(日曜日)に「岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク実践交流会(以下、実践交流会)」が開催されました!実践交流会には、岡山県内のユネスコスクール高等学校9校より95名の生徒が参加。

午前は各校の生徒が日頃の授業や部活で取り組んでいるESD活動を発表し、午後はグループワークを通じて学校の垣根を越えた交流を行いました。
実践交流会の様子

ユネスコスクールとは?

ユネスコ憲章の理念を実践する教育機関として認定された、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学が「ユネスコスクール」と呼ばれています。ESD活動を推進する学校として中心的な役割を担っており、岡山県内では56の小学校・中学校、9の高等学校※が認定されています。各ユネスコスクールは「aspnet」というネットワークに参加しています。

※2015年7月現在。認定されている学校については、「ESD活動団体一覧別ウィンドウで開く」でご覧いただけます。

実践交流会の流れ

  1. 全体会
  2. 高校生ESD研修
  3. 実践発表
  4. グループに分かれて昼食
  5. ワーク(1)
  6. ワーク(2)学校別協議
  7. まとめ
  8. 閉会

参加校

1.全体会

和気閑谷高等学校の香山校長
大学生サポーター

全体会では、まずはじめに岡山県立和気閑谷高等学校の香山校長から開会のあいさつが述べられました。

「みなさんが学校生活を送る中で、目の前のものにどんな意味があるか考える機会はありますか?今みなさんが生きている意味、今日この場にいる意味・・・すべてのことには意味があって、ESDを学ぶことにも意味があります。
ESDには、『reflection(反射)』という要素が含まれていて、目の前のものに『どんな意味があるんだろう?』と疑問を持ち、失敗を恐れず向き合うことが、自分自身に学びとして返ってくる。今日の実践交流会を通じて得た気づきが、みなさんにとって大きな学びと力になってほしいと思います。」

実践交流会をサポートする大学生が自己紹介をした後、この日のために県内外から駆けつけた方が激励の言葉を送りました。

カンボジアから来た女の子たち

その後、登場したのは3名の女の子たち。
素敵な笑顔であいさつした彼女たちは、岡山学芸館高等学校のプログラムで、日本に短期滞在しているカンボジア人の中学生です。
日本語を習い始めてから3、4年しか経っていないそうですが、とても流暢な日本語で自己紹介と実践交流会への意気込みを語りました。

2.高校生ESD研修

大野先生

岡山県立和気閑谷高等学校主幹教諭の大野先生が、2014年秋に開催された「高校生フォーラム」のふり返りをもとに、ESDの考え方や実践交流会を開催する目的・意義についてお話されました。

「高校生フォーラム」には、40チーム200名(世界各国から31チームと日本国内から9チーム)が参加し、持続可能な社会をつくるために、自分たちにできることを話し合いました。
高校生フォーラムを通じて参加者たちは、一人ひとりが国や立場を超えて連携しながら、ESDを推進することを誓いました。今回の実践交流会には、高校生フォーラムの運営に携わった生徒もいたのだとか。

最後に大野先生は、「今回の実践交流会は高校生フォーラムの成果を受け、ユネスコスクール同士の交流と連携をより広げる貴重な機会です。いろんな学校の生徒と交流することで、身近な課題を様々な角度から見直すとともに、世界で起こっていることと結びつけて考える力を育んでください」と実践交流会に込めた期待を話されました。

井関やあめ
高校生の発表の様子

続いて、井関やあめさん(ノートルダム清心学園清心女子高等学校3年生)が、2015年10月にフランスで行われた「第9回ユネスコ・ユースフォーラム世界大会」について、山崎紀奈里さん(岡山県立岡山一宮高等学校)が2015年8月に行われた「高校生カンボジアツアー」について報告しました。日本から世界に飛び出し、自分の目で見て・耳で聞いて・手でふれたことで様々な学びを得た井関さんと山崎さん。等身大の言葉で語る二人の発表に、生徒たちは夢中で聞き入りました。

発表の様子
高校生の様子

その後、カンボジアから来日した3名の女の子が再び登場し、カンボジアの暮らしや文化、今回来日して感じた日本とカンボジアのちがいなどについて発表しました。女の子たちが日本に滞在する中で一番感じているのは、「日本が非常に豊かで、便利なものであふれた国」であること。

蛇口をひねれば水が出てくる、スイッチをつければ電気がつく、学校で教育を受けられる・・・・日本人にとっては当たり前のことが、カンボジアではそうではないことがたくさんあります。女の子たちの発表から世界の現状を知ること、そして日本の豊かさを見直すことの大切さに気づかされます。

3.実践発表

「高校生ESD研修」の後は、各学校が日頃から取り組んでいる活動について発表し、生徒たちは発表の中で良かった点、もっと聴きたい点、知りたいと思った点などについてまとめました。ここでは、3つの学校の取り組みについてご紹介します。

岡山学芸館高等学校「私たちのプロジェクト」

文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール」に指定されている岡山学芸館高等学校は、国際理解教育に力を入れています。2015年度は発展途上国への支援として、生徒たちが主体となって文化祭や地域のイベントでカンボジアカレーを販売。そこで得た資金だけで、カンボジアから3名の女の子を日本に招待したのです。

学芸館高等学校

女の子たちが、「日本で見るもの・聞くものすべてが新鮮!夢みたい!」と笑顔で言ってくれたこと。
このことが、生徒たちにとって何よりも嬉しかったそうです。発表の最後に、女の子が「これから日本語の勉強をがんばって、いつか学芸館に留学したいです!」と笑顔で語ったことが印象的でした。
その他にも、小学校で国際理解に関する出前授業を行うなど、生徒の活動フィールドは広がっています。

岡山県立林野高等学校「林野高校の概要と今年度の活動報告」

林野高校の発表の様子

林野高等学校では、「マイ・ドリーム・プロジェクト(MDP)」を行っています。生徒たちは、福祉やスポーツなどの10分野から将来の夢や興味・関心に合ったテーマを選択。各テーマに沿って地域の中にある課題を見出し、地域の方々と連携しながら課題解決に向けた活動を実践しています。そんなMDPには、学校では得られない様々な学びがあるそうです。

毎年9月には、林野商店街で「むかし倉敷ふれあい祭り」というイベントを開催。生徒がステージで地域の伝統芸能を発表するなど、MDPの成果を地域に発信する場となっています。

また「みまさか学」では、地域おこし協力隊の若者と連携しながら、地域づくりで活躍できる人材育成に取り組んでいます。

岡山県立和気閑谷高等学校「本校の活動実績報告~地域との関わり~」

和気閑谷高等学校の発表の様子

和気閑谷高等学校は、生徒会を中心にボランティア活動を行っています。
2008年に始まった「閑谷ボランティアガイド」では、特別史跡にも指定されている「閑谷学校」を訪れた観光客に対し、生徒たちが閑谷学校の歴史や特徴を紹介しています。
タブレットを活用して説明したり、外国人観光客のために英語表記を資料に加えたりするなど、生徒自身の創意工夫で閑谷ボランティアガイドは進化しています。
他にも学童保育ボランティアやエコキャップ回収にも取り組んでおり、その積極的な活動から「平日でも休日でも、地域のどこかで和気閑谷高校の生徒が活動しているのではないか」と言われることもあるそうです。

「探究学習」では地域の方を講師に招き、商店街の活性化など、地域を舞台にした取り組みを実践。地域の方々も生徒の活動に大きな期待を寄せており、生徒の活動意欲を育んでいます。

地域や世界とつながる学びの場

教科書に沿って勉強して、テストの成績で進路を選択する。
高校の授業といえば、そんなイメージが浮かぶかもしれません。

ユネスコスクールでは、通常の学校教育に加えて地域や世界とつながる学びの場がつくられており、生徒たちはコミュニケーション能力や自由な発想力、実践力を身につけているのです。これらの教育が、持続可能な社会に向けて自分にできることを考え行動していく「未来の担い手」を育んでいくことでしょう。