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岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク実践交流会・ブルガリア交流会

[2020年1月16日]

ID:38559

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ブルガリアの生徒を迎えて開催

ユネスコスクール(注1)に認定されている岡山県内の高校10校の情報交換・交流促進を目的に、2015年から開催されている「岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク実践交流会」。5回目を迎える2019年は、岡山と縁の深いブルガリア共和国から4校を迎えて、11月15日(金曜日)から17日(日曜日)の3日間にわたって行われました。

交流会エントランス

初日はブルガリアの各校が、グループに分かれて岡山の高校4校を訪問。2日目には、岡山の高校生の案内でESD観光ツアーを実施し、歴史文化・産業・伝統工芸を紹介しました。最終日となる3日目は、料理やスポーツイベントを通して、相互理解を深めました。今回は、最終日の催しを中心に、岡山とブルガリアの高校生の交流の様子をご紹介します。

(注1)ユネスコ憲章の理念を実践する教育機関として認定された学校で、ESD活動の推進拠点。

料理を通して理解を深める「食による文化交流会」

1972年からブルガリア共和国プロヴディフ市と姉妹都市縁組を結んでいる岡山市。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、ブルガリアのホストタウンを務めることも決まっています。そこで今回は、ブルガリアとの国際理解や交流を促進する催しが多数開催されました。

午前中に行われたのは、「食」を通じた文化交流会。ノートルダム清心女子大学の調理実習室を会場に、ブルガリアと岡山の生徒・教員たちが6つのチームに分かれて調理を行います。作るのは、日本料理とブルガリア料理、その2つをコラボレーションさせた料理の3種類、計6品です。

野菜をカットする様子

チームで協力して野菜をカット

タラトルを作る様子

ブルガリア郷土料理「タラトル」作り

メニューは、岡山の生徒が自分たちで考えて決めたとのこと。唐揚げ、お好み焼き、団子など日本で定番の料理に加え、ブルガリアでポピュラーな冷製ヨーグルトスープ「タラトル」、パスタの代わりにうどんを使い、卵とヨーグルトのソースをかけて焼き上げた家庭料理「ポテトうどんムサカ」など、バラエティ豊かなメニューとなっています。お互いに英語やジェスチャーを交えてコミュニケーションをとりながら、和気あいあいとした雰囲気の中で調理は進んでいき、約2時間後に6品の料理が完成しました。

ポテトうどんムサカの写真

グラタン風の「ポテトうどんムサカ」

ヨーグルトソースを添えた唐揚の写真げ

唐揚げにはヨーグルトソースを添えて

ブルガリアの生徒たちは、「初めて作る料理でしたが、みんなが親切にしてくれたおかげで楽しめました」「チームのみんなと力を合わせて、一緒に料理をしたことが楽しかったです。日本の料理も気に入りました」とのこと。また、企画の準備から携わった岡山の生徒は、「調理の手順や食材の説明など、英語でどう伝えたら分かりやすいかを考えて実践することができました」と話していました。

実際に自分たちで作ったブルガリア料理を食べてみて、「ポテトうどんムサカは、ヨーグルトの風味が感じられておいしかったです」「タラトルは、ヨーグルトの酸味がさっぱりしていて、今までに味わったことのないスープでした」と、その出来に満足している様子でした。

パラスポーツを通して交流

午後からは、スポーツを通じた交流が行われました。国や言語の違いを超えたコミュニケーションを促進するために企画されたもので、競技するのはパラリンピックの正式種目であるシッティングバレーボール、ボッチャ、ゴールボール、ブラインドサッカーの4種です。

シッティングバレーボールは、その名の通り座った姿勢で行うバレー。サーブもアタックも、臀部を付けた状態でプレーします。
ボッチャは、各チームがボールを投げたり蹴ったりして、目標となる白いボールにいかに近づけるかを競う球技。激しい運動はありませんが、ボールの位置取りなど戦略が重要なスポーツです。

シッティングバレーボールの様子

シッティングバレーボール

ボッチャの様子

ボッチャ

視覚障がい者のために考案された球技・ゴールボールでは、鈴入りのボールを投げ合い、味方のゴールを防御しながら相手ゴールにボールを入れて点数を競います。選手は目隠しをして視界を遮り、音のみを頼りにボールをさばきます。
同じく視覚障がい者のための競技ブラインドサッカーでは、目隠しをしたフィールドプレイヤーに、ガイドと呼ばれる選手がゴールまでの位置やシュートのタイミングなどを伝えます。

ゴールボールの様子

ゴールボール

ブラインドサッカーの様子

ブラインドサッカー

パラスポーツに挑戦するのは初めてという生徒がほとんど。大学生スタッフからルール説明を受け、ジェスチャーを交えて声を掛け合いながら取り組みました。

ゴールボールを体験したブルガリアの生徒は、「目隠しをしたので、プレーに集中することが難しかったのですが、目が見えないことで聴力が研ぎ澄まされたように感じられました。岡山の高校生たちと一緒にプレーできて楽しかったです」と言います。また、シッティングバレーボールをプレーした岡山の生徒は、「座ったままボールを取りに行くのはとても難しかったですが、ブルガリアの生徒たちとも自然にコミュニケーションが取れて、チームワークが生まれた気がします」と話してくれました。

初めてのスポーツに挑戦することで、パラスポーツの奥深さや面白さに気が付くと同時に、生徒たちの絆が深まるきっかけにもなったようです。

お互いの親睦を深めるフェアウェルパーティ

夜は会場をサン・ピーチOKAYAMAに移して、フェアウェルパーティが開催されました。

和太鼓セッションの様子

みんなで楽しく和太鼓セッション

民族舞踊の様子

結婚式で踊るという民族舞踊

会場では、岡山学芸館高等学校の和太鼓部が迫力満点の生演奏を披露。地響きのような和太鼓の音色に、ブルガリアの生徒たちは初め驚いた様子でしたが、一緒にリズムを刻むなどして真剣に聞き入っていました。生演奏のあとは、ブルガリアの生徒も交えてセッションを実施。秋祭りを祝う伝統曲を演奏し、会場は一体感に包まれました。
またブルガリアの生徒たちは、伝統の衣装に着替えて民俗舞踊を披露。音楽に合わせた軽快な足さばきに、会場からは拍手が起こっていました。最後は、パーティの参加者全員が手を繋いで会場いっぱいに輪を作り、一緒にブルガリアのダンスを踊りました。お互いの国の伝統文化に触れる、またとない機会となったようです。

記念写真の様子

歓迎会参加者で記念写真

多様性を学んだ3日間

最後に、事業の企画・運営を担当した岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク・矢掛高校の高木潤先生に、生徒たちへの思いを伺いました。
「ブルガリアの生徒を迎えるということで、国や言葉の違いを越えてコミュニケーションが生まれる内容にしたいと思い、料理やスポーツを採り入れました。パラスポーツ体験では、実際に競技を楽しむことで、オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしての機運も高まったのではないかと思います。3日間のさまざまな体験を通して、生徒たちには、ESDに求められる『多様性』についての理解をより深めてもらえたらうれしいですね。」

ESDマン

ブルガリアの生徒たちとの交流は、新たな気付きや貴重な経験になったはずだよ。