岡山学芸館高等学校は1960年に創立され2020年に創立60周年を迎えました。
2020年度から文部科学省「地域協働型(グローカル型)」事業※特例校に指定されており、1年次では社会課題を自分事と捉えて主体的に行動を起こせるマインドを育んでいます。また、2年次は14のゼミに分かれて興味のあるテーマを選び、地域に出てのフィールドワークや他校の生徒との協働などを行いながら課題研究を進めています。また、課題研究の成果を国内外の様々な場所で発信しながら、より深い学びを図っています。
今回は、2年生のゼミ活動を訪問し、循環型社会形成ゼミ、国際理解教育ゼミ、多文化共生ゼミの3つを取材しました。
※グローバルな視点をもってコミュニティを支える地域のリーダーを育成するため、各地域の特性に応じたグローバルな社会課題研究としてテーマ(SDGs、地域、産業、観光、文化、伝統、医療介護等)を設定し、解決に向けた探究的な学び、地元市町村・企業等との連携によるインターンシップや海外研修等を、カリキュラムの中に体系的・系統的に位置付けるなどのカリキュラム開発等を実施する。
循環型社会教育ゼミでは、カンボジアにリサイクル意識を広めるために、現地の子どもたちが楽しく学ぶことができる環境教育教材の開発を行っています。開発した授業案と教材を用いて、現地の小学校で授業を行い、現地の子どもたちと一緒にリサイクルのあり方やごみ問題について一緒に考えながら、SDGsの実現に向けた活動を現地の子どもたちと一緒に行えるようにしていきたいと考えています。また、カンボジアだけでなく地元の小学校にも出前授業に赴き、児童と一緒にごみ問題や環境問題について考える授業も行っています。
環境に関するクイズをみんなで考え中
他のグループは、カンボジアで深刻化しているプラスチック問題を解決するために、大量に廃棄されているペットボトルを利用して、家庭用浄水器の開発に取り組んでいます。カンボジアでは水道水が飲めないため、ペットボトルを購入する人が多くいます。そのため、ペットボトルの廃棄量が増加しており、河川や海洋を汚染しています。そこで、廃棄量を減らすためには、水道水を飲めるようにすべきと考えた私たちは、廃棄されるペットボトルを使った浄水器開発も行っています。廃棄されたペットボトルを利用することで、ゴミの減量化が図られ、水道水が飲めるようになれば、現地の環境保全の一歩を図ることができると思います。
家庭用浄水器の改良案について話し合い中
国際理解教育ゼミでは、小学校の先生向けにポータルサイトの作成を目指しています。ポータルサイトの作成により、多忙で授業の準備ができないことや、先生自身にも知識がなく自信を持って授業ができない等の理由でSDGsの授業が実施できず、小学校での国際理解教育が未定着となっている課題を解決するためです。ポータルサイトにはSDGsの授業に関する補助教材や指導案、ワークシートなどを掲載し、それぞれの小学校で自由にダウンロードやカスタマイズをしてもらい、どの小学校でもSDGsの授業を実施できるよう準備しているところです。
また、ポータルサイトの作成に向けて、子どもたちが身近で取り組みやすいgoal2(飢餓をゼロに)やGoal14(海の豊かさを守ろう)をテーマに、昨秋高校生は地元小学校で出前授業を行いました。次の授業案作成に向けて、これまでの授業案の改善と、小学生が関心をもったGoal10(人や国の不平等をなくそう)やGoal12(つくる責任つかう責任)をテーマとした授業案も考えています。授業後の振り返り中
多文化共生ゼミでは、取材当日は岡山大学大学院の留学生ホアンゴック・ビック・チャンさんによる多文化共生についてのお話を聞きました。お話を聞いた後、2人の生徒に今後していきたいことを聞いてみました。
今までスーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)※指定校として、カンボジアを中心とした途上国のアクションプランを策定し実行をしてきました。今年度からは地域課題の解決もテーマとして扱い、生徒の主体性に基づく課題研究活動のカリキュラムの作成に努めています。アクションを伴う課題研究活動は、自分が社会の一員であるという自覚を育み、社会での事象を自分事にすることができます。また、それは自分が地域や世界で何をやりたいのかを考え、行動に起こすキャリア教育にも繋がると感じています。誰にでも社会のために何かできることがあるという意識を教育から育み、これからの社会を担うユース層が自分の意思で社会のために行動する機会の創出に努めたいとおもいます。
※生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決能力等の素養を身に付け、将来国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることを目的に文部科学省が平成26年度より取り組んでいる事業。
どのゼミの生徒もいきいきと活動していたよ!今後どうなっていくか楽しみだね!