岡山市北区高松地区には、歴史ロマンあふれる神社や寺などの文化財、史跡、そして美しい季節の風景が広がっています。
この高松地区では自転車をレンタルして、ぐるりと周ることができるんです。さわやかな風に吹かれながら自転車を走らせ、ESDにつながるものを探して高松地区を巡ってみませんか?
地域で育まれてきた伝統文化とそれを支える地域の人々。今まで知らなかった新しい魅力に出会えるかもしれませんよ。
まずは駅を降りて自転車をレンタルしましょう!
JR吉備線「備前一宮駅」から歩いてすぐのレンタサイクル店「ウエド」で、自転車をレンタルできます。ウエドでレンタルした自転車は、「高谷」(備中国分寺前)や「荒木レンタサイクル」(JR吉備線「総社駅」前)で返却することもできます。
※利用時間や料金は全店共通
JR吉備線「備中高松駅」から歩いてすぐの「ウシダサイクル」で自転車をレンタルできます。備中高松駅からお越しの方はぜひご利用ください!
(左から)宮司の藤井さん、「吉備津三味線 餅つき保存会」の方々、禰宜(ねぎ)の上西さん
約400mも続く廻廊。鳴釜神事が行われる御竈殿(おかまでん)に続きます。
地域のお祭りで行われた三味線餅つきの様子。吉備津神社ではお正月三が日に行われます。
吉備津神社の初夏を彩るあじさい
桃太郎伝説のモデルとなった神様をはじめ、多くの神様がまつられている吉備津神社。大きな松並木を抜けると、どんと立派な社殿が私たちを迎えてくれます。長い長い歴史を持つこの神社は、全国でも珍しい建築様式※のほか、約400mの廻廊、鳴釜神事が行われる御竈殿(おかまでん)があることでも大変有名です。
また、桜やあじさいなど吉備津神社で季節ごとに咲くきれいな花々が、訪れた人を楽しませてくれます。
「お参りに来た人が花を見て喜んでくれると、こちらも嬉しくなりますね!」と話すのは宮司の藤井さん。実は、藤井さんが境内にある植物のお世話をされているのです。
また、江戸時代から地域の人々に受けつがれてきた伝統行事にも注目です!三味線のリズムに合わせて餅をつく「三味線餅つき」や、ゆったりとした振りつけが特徴の「宮内おどり」。それらの行事には地域の大人だけでなく、子どもたちも一緒に参加しています。高松地区の小学校で子どもたちが三味線やおどりを習うなど、地域の中で伝統文化が自然と受けつがれているのだそうです。
「これからも伝統文化や社殿を守っていきたい。次の世代にも、地域の伝統文化を誇りに感じてもらい、未来へつないでいってほしい」と吉備津三味線餅つき保存会の方々は話されました。地域と深くつながり、未来へ伝統文化を伝える場としても、吉備津神社は地域の人々に親しまれています。
※吉備津神社の本殿は比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)でつくられています。吉備津神社独特の建築様式から、「吉備津造り(きびつづくり)」とも呼ばれています。
吉備津神社では、桃の形をした縁結びのお守りが若い女性の間で人気です。
良縁が訪れますように!
「ESD(え~なすげ~なで~れ~な~)」をテーマに、高松地区の小学生と中学生が自分たちが暮らす地域について調べ、「わがまち高松ESD調査表」を作りました。吉備津神社について調べた生徒の作品を以下よりご覧いただけます。
はるか昔、岡山の地で大きな力をもっていた吉備の国。
今もたくさん残る古墳の中で、「造山古墳」が自由に入れる古墳としては日本最大規模を誇ることはご存知でしょうか?※
田園風景が続く道を自転車で走ると現れる造山古墳は、全長が約350mの前方後円墳で、5世紀前半につくられたといわれています。
※宮内庁管轄で入れない古墳を含めると、造山古墳は日本で4番目に大きい。
古墳時代の衣装を身につけた「造山古墳蘇生会」会長の定廣さん
小学生へ古墳についてガイドを行っている様子
造山古墳頂上に残された石棺
石棺と離れたところに置かれた、一部がわれたふた。なぜここにあるのか!?謎が深まります。
2009年(平成21年)から、古墳の魅力を伝え、地域を活性化することを目指して「造山古墳蘇生会」は活動をスタートしました。造山古墳の整備やパンフレットの作成、さらには歴史に関する講演会や祭りなども行っています。
特に古墳のガイドに注目!古墳をただ登ったり歩いたりするだけじゃない。ガイドのみなさんは、胸がわくわくするような造山古墳の見どころや吉備の国のミステリーを、私たちに教えてくれます。
小学生が遠足で訪れた時にもガイドを行い、歴史のロマンあふれるお話に子どもたちは目を輝かせるのだそうです。
子どもたちからの感謝の手紙や、古墳についてまとめた壁新聞がたくさん寄せられ、造山古墳蘇生会のみなさんの活力にもつながっているとのことです。
「子どもたちの手紙を見ると、自分で学んだことをさらに調べて発展させているんです。それを見るとガイドの学びにもなるんですよ」と話すのは会長の定廣さん。今後も造山古墳蘇生会のみなさんに支えられながら、造山古墳のもつ歴史のおもしろさ、楽しさが次の世代へと伝えられていきます。
古墳時代、腕輪や埴輪などにつけられた模様・直弧文(ちょっこもん)。造山古墳蘇生会のみなさんが天草砂岩に直弧文を刻み、赤く色づけしたモニュメントを作りました。さぁどこにあるのか探してみましょう!
ガイドの申し込みについては、造山古墳蘇生会のページ別ウィンドウで開くを見てね!
造山古墳について調べた生徒の作品を以下よりご覧いただけます。
備中高松城は、戦国時代に羽柴秀吉のもと黒田官兵衛の発案によって水攻めが行われた城として知られています。その城の主は、清水宗治。城兵や戦いの犠牲となる民衆を守るために自害した宗治は、秀吉から「武士の鑑」とほめ称えられたと言われています。
現在、城の本丸があった場所は、解放感にあふれた公園となっています。また公園内にある資料館では、展示を通じて水攻めの様子や宗治について知ることができます。
「備中高松城址保興会」会長の横田さん
公園内で美しく咲く「宗治ハス」。この種は430年前の地中から発見されました。毎年初夏の時期に観蓮茶会も開催
公園内にある清水宗治の首塚と歌碑
高松農業高校の生徒が測量し制作した水攻め時の模型が、高松城址公園資料館で見学できます。
「備中高松城址保興会」はこの公園を中心に、地域の歴史や宗治について理解を広める活動に取り組んでいます。活動が始まったのは今から100年以上も前になるのだそう!現在は公園の清掃や見学に訪れた人へのガイド、その他一年を通じてたくさんのイベントを開催しています。
「子どもたちに伝えたいことは地域を色々見て歩くこと」と話すのは会長の横田さん。
豊かな歴史が育まれてきた高松地区。その土地で育つ子どもたちが、地域の歴史や文化、宗治の功績などを身近に感じることができるよう、歴史をテーマにしたウォーキングイベントや、宗治祭にちなんで名付けられたスポーツ大会なども開催しています。大人になって振り返ってみると、歴史や文化を守る大切さについて自然と気づくもの。その気づきの種が子どもたちの中で育ってほしいという思いが、備中高松城址保興会の活動にはこめられています。
備中高松城址公園の北側にある清鏡庵。
宗治や水攻めにちなんだ和菓子だけでなく、高松城址の地図が描かれた包装紙にも注目です!
備中高松城址公園について調べた生徒の作品を以下よりご覧いただけます。
歴史・文化に触れるまちなかESDスポットめぐりその1・その2
住所:岡山市北区
2015年11月 取材