研修のファシリテーターは当センターの石原です。
ESD・市民協働推進センターでは、地域協働を支援するために、地域に最も近い公民館のコーディネート力の向上を目指して研修を企画・運営しています。
公民館では、館長をはじめ社会教育主事、事務嘱託、夜間嘱託、そして地域担当職員が働いています。文化やスポーツなど暮らしを豊かにする学びから、社会や地域の課題を解決するための学びまで様々な学び合いが行われています。
とりわけESDの実践では日本全国だけでなく、アジア諸国から注目され、視察も相次いでいるそうです。公民館の英訳とされている「コミュニティ・ラーニング・センター(Community Learning Centre=CLC)」と並び、アジア諸国では「KOMINKAN」とそのままの言葉で伝えられているとのこと。CLC世界会議が2014年に岡山市で開催されたことも記憶に新しいところですが、この世界会議を契機として、岡山市の公民館実践は、ますます地域の課題解決や地域づくりに資する取組に力をいれてきました。
そして、2016年4月に「岡山市協働のまちづくり条例」が改正され、地域の拠点である公民館のコーディネート力の強化が規定されました。そこで、当センターも、公民館の機能強化をお手伝いさせていただき、毎年、「地域を支える職員のためのワークショップ」を、職員の意見を聞きながら実施しています。
職員同士のアドバイスで学びます。
2017年度の研修は4月から12月まで全4回、地域担当職員と社会教育主事等の2名を対象に実施しました。研修のテーマは
研修1回目の4月に、P(計画)D(実行)C(評価)A(改善)を見える化したワークシートを使い事業計画をたて、地域課題が似ている公民館同士でアドバイスをしました。2回目は、市外の事例をもとに、地域課題の把握の仕方を考え、各館の計画に反映させました。そして、最終回では事業計画の成果を発表し合い、課題の解決や他団体との協働についてなども学び合いました。
それぞれの取組の評価を可視化するために、最終回には優れた取組に全員で投票し、上位3館の取組をみんなで表彰しました。職員が選んだトップ3の取組を紹介します。
NPO法人みんなの劇場・おかやまや、西大寺井戸端会議等と協動で、『地域学×キャリア教育』をテーマに高校生と取り組んだ「高校生プロジェクト!」。「五福通りのXmas」を高校生が企画。バルーンアート、プラモデル作り、クリスマスライブ、高校生限定のプロカメラマンによる撮影などなど。高校生が心から自主的に楽しみながら準備したクリスマスは、予想以上に盛り上がり、子どもから高齢者が楽しめるものになったそうです。
この取組を通して高校生が地域の大人とのつながりが広がったことはもちろん、地域の団体間にも新しいつながりができました。実行委員の高校生から「来年も頑張りたい」と声があがり、高校生が自主的に進めていく力をつけ、今後ますます西大寺の盛り上がりが期待できます。七夕サロン
市の中心部に近い岡輝学区ですが、2年前のこの研修の中で、年齢人口構成の将来予測などを町内ごとに整理する中で、高齢化率の高さや、進行度合いの速さに改めて驚き、住民のみなさんと共有するところから取組が始まりました。
サポーター養成講座を受講した受講生を中心に支え合いの地域を創りたいという声があがり、先進地の取組などにも学びながら準備を進めてきたとのこと。七夕会やクリスマス会など、まずはみんなが顔見知りになるサロンの取組を行いながら、少しずつ困りごとを話し合い、助けあう取組が始まりました。
時を同じくして、学区では誰でも集うことのできる「岡輝みんな食堂」がスタートし、介護や福祉の専門家とのネットワークも広がりました。いよいよ2018年度はちょっとした困りごとの支え合いの仕組がスタートする予定です。
この取組は、若い世代の地域住民がカルタ作りを通じて、藤田地区の良いところを再発見し、異世代と交流し、地域活動に魅力を感じてもらいたいという思いで進められました。実際にカルタに選ばれた場所を見て歩き、解説を制作し、2017年度中の完成を目指しています。
「遊べば地域がわかる!」「多様な人が関われる、繋がれる取組」「地域の人の活躍の場になっている」というのが指示された理由です。カルタがきっかけとなり、地域への関心が高まり、地域で何ができるかを考えるきっかけになると思います。
地域の課題は様々です。解決の方法も様々です。その課題を解決する主役は市民。地域住民の主体的で積極的な動きを引き出していく「関わり」の大切さを、事業の発表を通して私たち自身も学ばせていただきました。地域の拠点である公民館で働く職員が市民のみなさんと一緒に課題解決に向きあっていけるよう、これからも公民館の皆さんと学び合いながら育ちあっていけたらと思います。