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こつこつ発掘 南坂古墳群でのひとりごと

[2025年10月16日]

ID:75945

貴重な事例!人骨が出土

中・小規模の古墳が分布する岡山市北区下足守周辺の丘陵では、良質な真砂土が取れるため、土砂採取工事に伴って発掘調査が行われてきました。平成17年(2005)度に発掘した南坂古墳群もその一つです。

この時は古墳時代中期(5世紀、今から約1600年前)に築かれた6基の円墳・方墳が調査対象となりました。調査は5月から9月に実施しました。水道や電気のない、炎天下の山の上の現場だったので、とても苦労しました。雨水をバケツに溜めて水を確保していました。

劣悪な作業環境とは裏腹に、調査した古墳は良好な保存環境で残っていました。6基の古墳のうち、16号墳ではほぼ完全な人骨が見つかり、27号では人骨と2本の鉄剣が出土しました。発掘調査で人骨が残っている例は少なく、貴重な経験になりました。


写真中央に16号墳の主体部が平面的に残る

16号墳 主体部1検出状況

下足守の特徴?

16号墳は東西約13m、南北約16mの円墳で、墳長部に3基の埋葬施設が作られていました。いずれも未盗掘とみられ、副葬品の出土が期待されました。3基のうち箱式石棺から人骨が出土しました。16号墳は周囲の古墳に比べて規模も大きく、尾根の頂部に築かれており、地位の高い人物の古墳とみられます。しかし、16号墳では、未盗掘にもかかわらず、副葬品の出土はありませんでした。これまで下足守地域では同様の小規模古墳の発掘調査が行われてきましたが、やはり副葬品の出土があまりみられません。下足守地域の古墳の特徴なのかもしれません。

写真中央では発掘作業が進められ、写真左側には人骨が出土する

16号墳 調査中の様子

出土状況の図面作成・写真撮影の後、人骨の取り上げ作業に入りました。これまで人骨の取り上げ作業の経験がなく、また1600年前の人骨は脆弱になっており、作業は慎重に進めました。骨には肩甲骨や大腿骨のように、部位ごとに名前がついているので、解剖図をみながら部位ごとにとりあげ、梱包しました。人骨は岡山理科大学の名取先生に鑑定していただきました。鑑定の結果、16号墳人骨は20歳前後の女性、27号墳人骨は15歳前後の男性と推定できました。

頭蓋骨が出土している様子

27号墳 人骨出土の様子

南坂古墳群の発掘は体力的に厳しい調査でしたが、古墳時代の人達に遭遇できた調査として、とても印象に残っています。

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教育委員会事務局生涯学習部文化財課埋蔵文化財センター

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