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令和4年度 第38回坪田譲治文学賞

[2023年3月27日]

ID:34740

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第38回坪田譲治文学賞

令和5年3月4日(土曜日)開催の、第38回坪田譲治文学賞贈呈式・記念行事の詳細・申し込みは、こちらから!

ぼくんちのねこのはなし

第38回坪田譲治文学賞受賞作
『ぼくんちのねこのはなし』(くもん出版刊)
いとうみく著

令和5年1月24日発表

選考経過

 令和3年9月1日から令和4年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された101作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作5作品を選定。
 これを、令和5年1月17日(火曜日)開催の第38回坪田譲治文学賞選考委員会(会場:東京都千代田区平河町「ルポール麹町」)で慎重に審査した結果、いとうみく著『ぼくんちのねこのはなし』が選ばれた。


 選考委員は、阿川佐和子、五木寛之、川村湊、中脇初枝、西本鶏介、森詠、森絵都の7名。

 ※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条) 

受賞者略歴

いとうみく

いとう みく

神奈川県生まれ。『朔と新』(講談社)で野間児童文芸賞、『きみひろくん』(くもん出版)でひろすけ童話賞、『あしたの幸福』(理論社)で河合隼雄物語賞を受賞。近刊は『バンピー』(静山社)。

写真撮影:森清

受賞者コメント

  物語を書くとき、そこにはいつも描きたい人がいます。その人がなにを背負い、なにを守ろうとして、なにに苦しみ、どんなことに喜びを感じるのか。そして明日へどう踏み出していくことができるのか。それを知りたくて書いています。ですが『ぼくんちのねこのはなし』は、少し違います。飼いねこの闘病中、やるせなさにどうしようもなくなったとき、この状況を書いてみようと思いました。ただし日記や記録ではなく、物語として。書きながら迷い、泣き。書くことで気づかされ、そして救われました。この作品に坪田譲治文学賞を授けていただき、ありがとうございました。

作品の概要

 ぼくんちのねこ・ことらは16歳。ぼくが生まれる前から、うちの家族だった。ちょっと前まで、すごくいたずらだったことらは、最近は机の上にもタンスの上にものらなくなってしまった。ぼくの部屋にきても、ベッドの上で丸くなって眠っていて、好物の焼きのりも、ドライフードも食べなくなった。ある日、学校から帰ってくると、ことらの具合が悪そうだから、病院に連れていくってお母さんがいいだした。病院で色々と検査をしたあと先生は、ことらは「腎不全」という病気だといった。腎不全は高齢のねこに多い病気で、完全に治ることはないらしい。病院からの帰り道、お母さんは診察料が高かったって話をはじめた。動物病院は保険がきかないから、診察料が高くなるんだって。こんなときにお金の話をするなんて……お母さんはことらのことが心配じゃないのかな。それからは、ことらを病院に連れていく日々がはじまった。ことらの状態は良くなったり、悪くなったりを繰り返していくけれど……。

選考委員 阿川佐和子氏(エッセイスト、小説家)のコメント

 昨年ほどではなかったものの、今年も各審査員の意見は分かれ、きわめて熱量の高い審査会となりました。それは決して審議の空気が悪くなったのではなく、むしろ白熱するほどに、それぞれの候補作のエネルギーが強いからです。三十八回目を迎えたこの坪田譲治の名を冠した文学賞が、単に「子供たちが親しみやすく読みやすい物語」を求めるのではなく、もっと深い心を養うための作品を模索しようと進化している証ではないかと思われます。本年の受賞作もまた、リズミカルな文章の流れの中で心に染み入るいい作品だったと思います。

お問い合わせ

市民生活局スポーツ文化部文化振興課

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