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(7~8月)「沖新田・地域の歴史を伝える~「沖新田一座」の演劇活動に寄せて~」

[2015年7月2日]

ID:9288

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  • 日時
    平成27年7月7日(火曜日)~8月7日(金曜日)
    毎週月曜日休館(ただし7月20日(海の日)は開館)
    開館時間 10時~18時(木曜日は11時~19時)
  • 場所
    岡山市立中央図書館2階 視聴覚ホール前展示コーナー

操南地区の住民のみなさんによる「沖新田一座」と共同で、江戸時代の元禄年間に干拓された沖新田(約1900ヘクタール)の歴史を展示します。一座の活動と当館所蔵の絵図・古文書の展示を通じて、大規模な干拓地における入植者たちの苦難や、独特な自然環境に応じて発達した人々の営みの姿を紹介します。

沖新田~歴史の中から人と自然のかかわりを考える~

「沖新田一座」は、江戸時代の元禄年間に干拓された沖新田(約1900ヘクタール)の歴史と、そこで繰り広げられてきた伝統的な暮らしの記憶を、演劇を通じて伝える活動を行っている操南地区の住民のみなさんによる演劇一座です。50年前に地元の小学校の学芸会で上演された演劇を復刻し、上演を通じて地域の歴史への関心を広めようとされています。
岡山市立中央図書館には、沖新田に属する上道郡藤崎村(現岡山市中区藤崎)で大庄屋をつとめていた藤原家から昭和31年に寄贈された絵図および古文書約1400点があり、沖新田を中心とする大規模干拓地の近世以降の農村事情をうかがい知る貴重な文書となっています(藤原文庫)。
荒蕪地を開拓した入植者たちの苦労や、特異な自然環境に順応して発達した各種の生業、地域の人々に受け継がれた強い精神的紐帯が、沖新田で繰り返された生の営みの基調をなしています。このたびの沖新田一座の活動の紹介と当館所蔵の貴重資料の展示を通じて、大規模な干拓地の暮らしを知り、厳しくもありかつ稔り豊かでもある自然と人との関わりについて、深く思いをめぐらす機縁としていただければ幸いです。

1 地域の歴史を伝える沖新田一座

平成26年度から本格的活動を始めた沖新田一座。最初の展示ケースでは、演劇活動を始めるきっかけとなった、50年前の小学校での上演に際して作成された演劇台本の原本をはじめ、舞台背景画の原画、一座が公演で使用する道具を展示し、地域住民による歴史の記憶を継承する活動を紹介します。

展示品

沖新田一座の公演で使用される大道具、小道具等
幟、舞台背景幕(農村風景)、締切堤防のための岩、「新田魂」のTシャツ
50年前に上演された『操南今昔物語』の台本
舞台背景画の原画
上演舞台の写真と動画映像

以下は、沖新田一座の大元健示さんからの、一座の自己紹介です。

沖新田一座

私たち『沖新田一座』は江戸時代、津田永忠の干拓によって形成された土地で暮す、操南学区を中心とした地元住民により結成された演劇団です。
今から50年前に小学校の学芸会で演じられた『操南今昔物語』を復刻し、私たちが生活している地域がどのように形作られ、この地で先人達がどのように生き抜いてきたのかを演劇のカタチでお伝えしております。
沖新田は現在、田畑も多く、お米や野菜も収穫出来、農業を営む方々も沢山おります。
しかし、その歴史は決して平坦な道ではありませんでした。
沖新田で暮した先人達は血のにじむような苦労の末に、不毛の地を現在の実りある地に変えていったのです。
その歴史と先人達の生き抜いた精神『新田魂』を現代の人々に『伝えたい』。その思いで、各地で公演活動をしております。

「沖新田一座の舞台」の写真(沖新田一座提供)

沖新田一座の舞台写真(沖新田一座提供)
父が家族に語る言葉『わしらも昔の話を聞いて大きくなった。先祖の苦労を子らに伝えていくことが大切なんじゃ』

2 沖新田干拓と沖田姫伝説

沖新田一座の公演のハイライトのひとつは、津田永忠の指導による新田の工事と、その際に海神の怒りを鎮めるため、みずから進んで犠牲になったと伝えられる沖田姫にまつわる伝説の場面です。上演シーンを写真で紹介するとともに、江戸時代後期(文政年間)の沖新田の全貌を余すところなく示す「沖新田東西之図」(当館所蔵、岡山市指定重要文化財)を展示しています。

展示品

  • 「沖新田東西之図」文政元年(1枚)(当館蔵、岡山市指定重要文化財)
    文政元年(1818年)に作成された絵図で、沖新田の全貌を示しています。村ごとに色分けされ、巨大な締切堤防の様子、縦横にめぐる用水路、家の一軒一軒までが克明に描かれています。土地の形状は真上からの視点で地図的に表されていますが、画面上端の山並みや沖に浮かぶ高島は絵画的な描写によっていて、干拓地の江戸時代後期の様子が生き生きとしのばれます。
「沖新田東西之図」の画像

「沖新田東西之図」(文政元年、当館蔵、岡山市指定重要文化財)

3 移住者たちの新田魂

入植者たちの苦難のあと、沖新田では自然がもたらす豊かな恵みを享受し、さまざまな生業が展開しました。米作りだけでなく、麦、菜種、木綿、酒造などの生産が干拓地の広い大地で行われ、沿岸では海苔の養殖が試みられ、海運に携わる人も多く輩出しました。
しかし、海を締め切って造られた大地は自然災害にも脅かされました。大水で流される家、強風で倒れる作物、そして安政南海大地震では多くの被害が出たことが記録からうかがえます。

展示品

  • 「当御年貢米取立算用帳」(沖新田三番)天明6年、天明7年、寛政2年、寛政4年、寛政8年(各1冊)(当館蔵、藤原文庫093.4/1~5)
    各ページに農家ひとりをあて、細かく分かれた耕作地からの産出高が書かれています。
  • 「御年貢米取立勘定帳」(沖新田三番)安政4年、嘉永4年、安政4年、安政5年、安政5年(各1冊)(当館蔵、藤原文庫093.4/12~16)
    さきの算用帳と同様です。沖新田三番だけで分厚い冊子になっています。藤原家が沖新田三番に所在することから、この村の数ヶ年分が現在まで残されてきています。
  • 「上道郡沖新田東西御年貢米皆済目録」 寛政10年(1枚)(当館蔵、藤原文庫093.4/618)(下記添付ファイル参照)
    その年の年貢を皆済できると、その証として藩から沖新田の村へ交付された文書です。これは沖新田東西とあり、百間川の両側にまたがる新田の全体に対して交付されたものです。
  • 「沖新田東西育麦取立算用帳」 文政9年(1冊)(当館蔵、藤原文庫093.4/11)
    当時、麦はたいてい大麦を指しています。二毛作や救民のために栽培されていました。
  • 「奉歎願」(沖新田東西沖手海苔付設置一件)文久3年(1枚)(当館蔵、藤原文庫093.2/10)
    沖新田沿岸では、幕末に海苔養殖の試みが始められましたが、それに関連する文書です。
  • 「沖新田東手菜種子石高書上帳」 文政元年(1冊)(当館蔵、藤原文庫096/24)
    一般に、麦・菜種・木綿などの米以外の作物は藩が把握していることが少なく、生産高が具体的にわかる資料は少ないといわれています。藤原家の文書には沖新田の裏作物の記録が若干あります。
  • 「菜種子作高石数書上帳」(沖新田東手組)天保9年(1冊)(当館蔵、藤原文庫096/26)
    近世においては、菜種は灯油としての利用が多かったようです。
  • 「上道郡沖新田東手組合村々当月六日夜大風ニ付稲毛木綿畝痛模様書上帳」 天保5年(1冊)(当館蔵、藤原文庫096/25)
    海に近い干拓地です。風をさえぎるものがなく、このときも稲と木綿に大きな被害が出たとみられ、村ごとにまとめられた記録が残されています。
  • 「大地震潰家書上帳」(上道郡沖新田一番、二番、四番、五番、六番、七番)嘉永7年(各1冊)(当館蔵、藤原文庫093.4/98~103)
    安政南海大地震のときの沖新田干拓地の被害状況をまとめた貴重な資料です。
  • 「船書物」(三番)文政4年(1冊)(当館蔵、藤原文庫096.8/59)
    沖新田三番で保有されていた船の明細が、所持人ごとに記されている冊子です。なお、三番は明治時代に三蟠と改名されます。
  • 「外七番友右衛門船大坂より帰懸西宮ニ而破船仕浦手形并御注進書写」 天保8年(1冊)(当館蔵、藤原文庫096.8/76)
    海に面する沖新田です。三番(現在の三蟠)や九番(現在の九蟠)の港から遠隔地への航海に携わった人も大勢いたようです。冒頭の一枚の写真を以下に掲出します。
    沖新田を出帆した友右衛門と嘉吉は、商品を大坂で売り払い、代わって線香を積み入れて帰る途中、淀川河口を出たら西宮の付近で暴風と高波に遭遇しました。いろいろに凌いだけれど風波は弥増し(いやまし)、ついに破船となりました。助けられて便船により故郷へ帰り着きますが、この文書はそのてんまつを届け出た報告です。
「外七番友右衛門船大坂より帰懸西宮ニ而破船仕浦手形并御注進書写」の画像

「外七番友右衛門船大坂より帰懸西宮ニ而破船仕浦手形并御注進書写」 天保8年(1冊)当館蔵(藤原文庫096.8/59)

関連資料

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