令和8年度補正予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,その大要と市政の動向等について申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
7月から8月にかけて,熊本地震,千葉豪雨,さらに先週には北陸地方でも記録的な大雨が発生し,各地に甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々に改めて深く哀悼の意を表するとともに,被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
岡山市では,消防庁や指定都市市長会などからの要請に応じ,8月末までに321名の職員を熊本県内の被災地に派遣し,救助活動をはじめ,避難所の運営,応急給水,被災者の健康管理,被災建築物の応急危険度判定等の活動を実施してまいりました。
加えて,7月31日より各区役所等で熊本地震に対する義援金の受付を開始するとともに,被災地から岡山市に避難される方に対して,市営住宅や保育施設,放課後児童クラブの利用料等の支援も行っております。被災地の一日も早い復旧・復興のため,引き続き,国・県・他の政令指定都市等と連携しながら,被災地のニーズの変化に応じた支援を行ってまいります。
日本銀行岡山支店が8月5日に発表した岡山県金融経済月報によると,「県内景気は,一部に弱めの動きがみられるが,緩やかな回復を続けている」とされ,「先行きについては,中東情勢の展開等が金融経済情勢に及ぼす影響を注視していく必要がある」とされております。
こうした中,岡山市では中東情勢により事業経営に影響を受けている市内事業者や農業者等を支援するための融資枠を創設し,7月1日より取り扱いを開始いたしました。このうち市内事業者については,8月14日時点で174件,約21億3千万円の申し込みがあり,経済団体からは,事業者の一時的な資金繰りが困難となっている中,有効な支援となっているとの声もいただいております。
岡山市の生鮮食品を除く年平均消費者物価指数は,令和4年以降,昨年まで4年連続で上昇し,物価高騰の影響が長期化している状況であったことを受け、岡山市ではこれまで,先ほど申し上げた市内事業者や農業者等への支援のほか,全市民への定額給付金や低所得ひとり親世帯生活支援金の支給,学校給食費や水道料金の負担軽減等,多方面から物価高騰対策を講じてまいりました。
本議会にお諮りしている9月補正予算案においても,各種団体からの要望も踏まえながら,国の重点支援交付金を活用するとともに,一般財源も投入して必要とされる支援を的確に行ってまいりたいと考えております。
新たな物価高騰対策の内容といたしましては,高齢者・障害者施設や児童福祉施設等の運営事業者が,LED照明,エアコンといった省エネ機器への更新を行う際の経費の一部を助成することにより,運営コストの継続的な軽減を図ってまいります。また,移動距離が長くガソリン価格高騰の影響を特に受けている中山間地域等の介護サービス事業者への補助制度を創設し,継続的なサービス提供を支援してまいります。
今後も引き続き,時機を捉えた施策を積極的に展開し,市民生活や地域経済を支えてまいる所存です。
次に,個別の施策について申し上げます。
昨年度,事業化を決定したアリーナ整備事業については,令和14年度の完成に向けて,更なる機運の醸成を図りながら,着実に作業を進めており,事業者の公募に向けた準備として,9月下旬には事業の骨格を示す実施方針や事業者に求めるサービス水準を規定した要求水準書の案を公表する予定としております。
7月の臨時市議会でも申し述べましたが,これまでも様々な意見を持っておられる議員の皆様から質問を受け,質疑を行い,取り入れられるものは取り入れ,アリーナ整備に向けた関連の予算や条例議案が成立してきたところであります。引き続き,住民投票条例の制定を求める直接請求に,約2万人の方が署名されたということを心に留め,アリーナ整備に対する理解の促進に意を用いながら,事業を推進してまいります。
物価やエネルギー価格の高騰などにより,市内事業者の経営環境が厳しさを増す状況下においても,持続的な賃上げの実現は喫緊の課題であります。岡山市では,これまでも,多くの申請をいただいている省エネ機器更新緊急支援補助金や,省人化・省力化設備投資支援補助金をはじめ,生産性向上や競争力強化に向けた設備投資補助など,市内事業者のコスト削減や稼ぐ力の向上を支援し,安定的な収益確保を後押しすることで,賃上げ環境の整備を推進しております。さらに,今年度から新たに,適切な価格転嫁に向けた,専門家による伴走支援を開始したほか,新規事業創出支援を拡充いたしました。
企業立地については,中四国のクロスポイントである交通の利便性や災害リスクが低い点など岡山市が有する都市のポテンシャルに対する評価に加え,吉備スマートインターチェンジの24時間化・大型車対応等による道路ネットワークの整備や,地域未来投資促進法の適用,岡山市独自の産業拠点周辺における開発許可の緩和,企業立地に対する補助金の雇用要件撤廃など,戦略的な施策が功を奏し,昨年度,岡山市の支援制度を活用した企業立地件数は20件,投資額は359億3千万円となり,公表を開始した平成25年度以降,いずれも過去最高を更新いたしました。
令和元年に開設したスタートアップ支援拠点「ももスタ」は,現在ではスタートアップ以外にも,イノベーションを伴った様々な取組を行っている地元企業や学生なども多く集まる,瀬戸内エリアを代表する支援拠点へと成長しております。「ももスタ」では,先月より,単なる事業承継にとどまらず,先代から受け継いだ事業を時代に合わせてアップデートすることで,新たな領域にチャレンジする方々を伴走支援するとともに,同じ志を持つ方々のコミュニティの充実を目的とした新たな支援プログラム「360(サンロクゼロ)」を開始いたしました。
こうした様々な産業振興施策により,市内企業の成長に加え,起業しやすい環境づくり,拠点性をいかした企業立地を,引き続き推進してまいります。
放課後児童クラブについては,令和9年の待機児童ゼロを目指して,施設整備や人材確保,民間事業者への支援を,一体的に推進してまいりました。その結果,直近2年間で約2,000人分の受け皿を新たに確保することができ,待機児童数はピーク時の令和6年の236人から,今年5月1日時点では7人と大幅に減少し,ほぼ解消に至ったと言える状態となりました。保育園等の待機児童についても,令和6年以降3年連続でゼロとなっており,保護者が安心して仕事と子育てを両立できる環境が整ったものと考えております。
これまで,こうした待機児童対策に加え,こどもの医療費助成の拡充や小学校給食費の無償化など,子育て支援施策に注力してまいりましたが,引き続き,子育て環境のさらなる充実にしっかりと取り組んでまいります
不登校のこどもへの支援については,旧芳泉幼稚園跡地に,これまで南区になかった,中学生を対象とした児童生徒支援教室を今年11月に開設いたします。これにより,市内4区全てに小学生及び中学生を対象とした児童生徒支援教室が開設されることとなり,社会的自立に向けた支援を,これまで以上に充実させてまいります。
岡山市では,文化財と観光を融合した取組の一つとして,古代吉備の魅力を内外に発信しているところです。4世紀後半では中四国・九州で最大規模の前方後円墳である中区沢田の金蔵山古墳については,6月に文化審議会が史跡に指定するよう国に答申し,秋には岡山市で19番目となる国指定史跡となる予定であります。
同じく4世紀後半に築かれた,国内最大規模の円墳である北区平山の小盛山古墳は,その実態解明に向け,今年度から3ヶ年にわたる発掘調査を開始いたしました。
また,5世紀初頭に築かれ全国最大級の大きさを誇る造山古墳の観光施設「造山古墳ビジターセンター」につきましては,機能拡充に向けた計画を策定しているところであり,同センターに,出土品の展示や古代吉備の歴史の体感,さらには,古代吉備を研究し,探究することができる機能を加え,より魅力的な施設へとブラッシュアップする予定としております。こうした取組により,岡山市が提唱する「新たな倭国論」の更なる検証と情報発信を進めてまいります。
昨年度より導入を検討してきた宿泊税については,今年5月に検討委員会から「導入することが適当」との答申を受けました。これを受けて,岡山市といたしましては,「認知度の低さ」や「通過型観光になっている」といった課題解決に向けて,旅行者の受入環境整備に加え,観光資源の魅力向上や情報発信,新たな宿泊需要を創出するためのイベント開催など,積極的な観光施策の取組を強化するための財源として,宿泊税を導入するべきと判断いたしました。答申やパブリックコメントに寄せられた意見を踏まえ,宿泊税を導入するための条例案を本議会にお諮りしています。
支線バス「FLAt」については,10月1日から牛窓方面,岡南方面で3路線が新たに運行開始を予定しており,既存路線と合わせて計10路線となります。
6月から2か月間実施したお試し乗車券による運賃無料キャンペーンでは,多くの路線で利用者数が2倍以上に増加し,終了後も一定の利用定着が図られています。また,先月からは鉄道からの乗り継ぎ割引を開始したところであり,「FLAt」が市民の移動手段として定着するよう,さらなる利用の促進に向けて,10月から11月には,新路線の運行開始にあわせた運賃無料キャンペーンの第2弾を実施いたします。
さらに,来年3月の路面電車の岡山駅前広場乗り入れ開始にあわせた,路線バスや路面電車の運賃無料DAY,来年3月から4月には「FLAt」の運賃無料キャンペーン第3弾も実施したいと考えており,必要な経費を9月補正予算案に計上しております。
駅前エリアに集中する賑わいを都心全体に広げ,さらなる中心市街地の回遊性向上や都心の活性化等を図るために計画している,路面電車の延伸環状化「ハレノワ線」については,6月24日の「岡山市都市・消防政策審議会」において,事業の必要性や費用対効果等について審議が行われ,事業の妥当性が認められました。また7月23日には,事業者から軌道法に基づく特許申請が国に提出されるなど,来年度の工事着手,令和11年度末の完成に向けて,現在,必要とされる設計や手続きを着実に進めているところです。
鉄道・路面電車・路線バスを含めた市内全ての公共交通ネットワークが将来にわたって持続可能なものとなるよう,今後も,事業者と連携し利便性向上や利用促進等に努めてまいります。
今年開設から50年という節目を迎えた西川緑道公園では,記念のシンボルマークを制作し,民間主体の賑わいづくりのイベント等とこれまで以上に連携しながら,1年を通して開設50年の機運を盛り上げております。10月25日には記念シンポジウムを開催し,半世紀にわたり市民に親しまれてきた西川緑道公園の歩みを振り返りながら,歩いて楽しいまちづくりや,まちなかの緑の大切さについて,皆さんと一緒に考える機会としてまいりたいと思います。
その他にも,今月からは,中心部から周辺部まで市内全域を会場に様々な文化芸術イベントを行う「おかやまアーツフェスティバル」,10月からは「おかやま文学フェスティバル」,さらに11月には,10回目の記念大会となる「おかやまマラソン2026」を開催いたします。こうした様々なイベントを通じて,まちの賑わいをより一層創り出してまいります。
現在,「休日夜間急患診療所」および「休日急患歯科診療所」が入居する旧市民病院別館は,建設から30年以上が経過し,過大な維持管理費用や施設の機能不足といった構造上の課題を抱えております。こうした課題に対応するため,これらの診療所については,岡山市医師会が新たに建設する岡山市医師会館へ10月1日に移転することとなりました。「休日急患歯科診療所」については,現在,岡山市歯科医師会が自ら開設・運営を行っておりますが,採算面での課題や機器の老朽化などにより,運営継続が困難な状況となっております。こうしたことから,市民生活に定着している同診療所を維持・存続していくため,この度の移転を契機として,岡山市が開設者となり,その運営については,引き続き岡山市歯科医師会にお願いすることといたしました。
今後も,初期救急医療に対応する市民のセーフティネットとして,救急医療提供体制の確保に万全を期して取り組んでまいります。
また,岡山市では,より良い生活習慣の定着を目指して,平成26年度から健康ポイント事業を実施してまいりました。岡山市の健康寿命は延伸傾向にあるものの,依然として全国平均を下回る状況であることから,これまでの取組をさらに発展させ,8月3日より新たな健康ポイント事業「OKAYAMAハレ活マイレージ」を開始いたしました。新事業では,外出を健康づくりの第一歩と位置づけ,飲食店や文化施設に加え,支線バス「FLAt」や「ももちゃり」の利用など,幅広くポイントを付与することとしております。市民の皆さんが楽しみながら健康づくりに取り組んでいただけるよう,積極的な参加を呼びかけてまいります。
7月13日に防災庁設置法が成立し,防災庁の地方機関として防災局を置くことが決まりました。これを受け,8月20日に,市議会とともに,内閣官房に対し岡山市への防災局設置を改めて要望いたしました。
岡山市は,直下に活断層がなく,災害が相対的に少ないこと,また,中四国のクロスポイントに位置し,交通の至便性があること,さらに,政令指定都市として都市機能が集積していることから,防災局設置場所として適地であることを,しっかりと説明してまいりました。
平成30年7月豪雨等を教訓として進めてきた浸水対策については,今保,白石両ポンプ場が本格的に運用開始されたことで,6月25日から26日にかけての大雨の際には,同月として観測史上3番目の48時間降水量を記録したものの,浸水被害の発生を防ぐことができました。
この他,浦安11号雨水幹線(2工区)や津島排水区,横井排水区においても,雨水管渠やポンプ場の整備を鋭意進めております。
災害発生時に「司令塔」の役割を果たす災害対策本部は,新庁舎の全面開庁に先駆けて,8月24日に耐震性能を備えた新庁舎へと移転いたしました。新たな災害対策本部室では,情報システム等の充実により,消防ヘリコプターで撮影した画像や気象情報,河川情報など様々なデータを集約し速やかに確認することができ,災害発生時に,より迅速に的確な対応を行うことが可能となります。
新たな設備を最大限活用しながら,引き続き,ハード・ソフト両面から総合的な防災対策を推進し,災害に強いまちづくりを進めてまいります。
それでは,甲第141号議案から甲第143号議案までの補正予算の概要について申し上げます。
補正額は,一般会計で7億6,600万円余,特別会計で500万円余の増額となっております。補正に要する財源については,国庫支出金2億5,000万円余,市債3,000万円余などであり,一般財源4億円余については,令和7年度決算により生ずる剰余金で対応いたします。
主な内容としましては,国の重点支援地方交付金を活用し,エネルギー価格の高騰等の影響を受けている事業者への支援のほか,岡山市休日急患歯科診療所の運営に係る経費,現在の本庁舎の解体撤去工事や下水道事業会計の浦安11号幹線雨水管築造工事の債務負担行為の設定などを行うものです。
続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。
甲第145号議案は,法定外目的税として宿泊税を課するものです。
甲第152号議案及び甲第153号議案は,岡山市休日夜間急患診療所等の施設について,いずれも指定管理者の指定を行うものです。
諮問第2号は,岡山電気軌道株式会社が行った軌道敷設の特許申請について,中国運輸局長から道路管理者の意見を求められたので,市議会の意見を求めるものです。
以上で提案理由の説明を終わります。
よろしくご審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。
ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。
報第32号は地方独立行政法人岡山市立総合医療センターの令和7年度の業務実績に関する評価結果について,報第33号は同センターの第3期中期目標期間の業務実績に関する評価結果について,それぞれ報告するものです。
報第34号から報第36号までは,いずれも令和7年度に放棄した債権について報告するものです。
報第37号は,岡南事業所(仮称)管理棟ほか新築工事について,契約金額を変更したものです。
報第38号はリース公用車の返還不能による債務不履行について,報第40号及び報第41号はリース公用車の事故について,それぞれ賠償額を決定したものです。
報第39号はリース公用車の事故について,報第42号及び報第43号は道路の管理瑕疵による事故について,報第44号は学校施設の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。
報第45号は,市営住宅退去明渡し等の債務について,訴訟手続により債務の履行を請求することを決定したものです。
報第46号は,市営住宅の家賃滞納等について,相手方と民事訴訟法第275条の規定による和解をすることを決定したものです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
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