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今後における同和問題解決の基本方針

[2010年1月28日]

ID:3430

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今後、岡山市が同和問題の解決にどのように取り組んでいくか、その指針となるものです。(平成14年8月1日策定/平成19年8月1日改訂)

同和問題の解決にむけて 同和問題の起源と歴史

同和問題の解決に向けて

1 課題が現存しています

昭和40年8月の同和対策審議会答申では「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」との基本的な認識が示されました。この答申を受けて昭和44年7月に制定された同和対策事業特別措置法やその後に制定された特別措置法に基づき同和行政が積極的に推進されました。
本市は、法的措置や国、県の行財政的措置のもと、同和問題の解決を市政の最重要課題と位置づけ、市政全般にわたる諸施策と呼応してその解決の総合的な効果が図られるよう、人権意識高揚のための教育・啓発、職業の安定と産業の振興、教育・文化の向上、社会福祉の増進、生活環境の改善等の施策を積極的に推進してきました。
こうした行政の積極的な取り組みと人間を尊敬することによって自らを解放しようとする部落解放運動を積極的に展開してきた民間運動団体や地域住民の自立への努力とが相まって、生活環境の改善等物的な整備はおおむね完了するなど着実に成果をあげ、様々な面で存在していた較差は大きく改善されました。しかしながら、

  1. 着実に解消へ向けて進んではいるものの結婚問題を中心に社会の中に今なお存在している差別意識の問題
  2. 同和問題解決の大きな阻害要因となっているえせ同和行為やインターネット上の差別書き込み、差別ビラ、差別落書きなどの悪質な事象の発生の問題
  3. 教育、就労面での問題

などの課題があります。

2 同和問題の解決をあらゆる人権問題の解決につなげていきます

同和対策審議会答申では「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない。」と、また、平成8年5月に示された地域改善対策協議会の意見具申では「特別対策の終了、すなわち、一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取り組みの放棄を意味するものでないことは言うまでもない。一般対策移行後は、従来にも増して、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかりと見据え、一部に立ち遅れのあることも視野に入れながら、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策を実施していく主体的な姿勢が求められる。」とそれぞれ指摘されています。
本市は、これらの精神のもと、我が国固有の人権問題であり、深刻かつ重大な差別問題である同和問題の解決なくして人権の確立はないという基本認識に立って差別の現状を正しく捉えるとともに、国際的な人権尊重への取り組みの中であらゆる人権問題の早期解決に向けて努力することは我が国の国際的責務であるという認識にも立って、課題解決のための施策を積極的に推進します。
その推進に当たっては、国、県と提携するとともに、市民、行政、民間運動団体や他の人権関係団体等が幅広く連帯し、協働することにより、同和問題の解決に向けた取り組みをあらゆる人権問題の解決につなげ、差別を許さない明るい社会の実現を目指します。
地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律失効後の本市の同和行政は、前記の指摘を踏まえて、次のとおり一般対策で的確に対応します。

  1. 差別意識の解消に向けて、これまでの教育や啓発の中で積み上げられてきた成果と手法への評価や同和問題固有の経緯等を十分踏まえ、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決を自分自身の課題として認識し、実践することができるような教育や啓発を推進します。
  2. えせ同和行為やインターネット上の差別書き込みなど悪質な事象が発生していることから、関係機関、民間運動団体や他の人権関係団体等と幅広く連帯するとともに、部落差別をはじめとするあらゆる差別を許さないという人権尊重意識の高揚を図り、市民と一体となって、その根絶に向けて積極的に取り組みます。
  3. 教育、就労などの課題解決に当たっては、行政施策等に関する情報提供や各種制度の積極的な活用など、較差解消や自立促進に向けて適切に対応します。

3 課題解決に向けて次の施策を積極的に推進します

(1)同和問題の啓発をあらゆる差別解消のための社会意識の醸成につなげます

これまでの人権啓発の基本となっていたのは同和問題の啓発であり、その成果を踏まえて、今後とも、法の下の平等、個人の尊厳といった普遍的な視点からのアプローチと差別問題の解決という個別的な視点からのアプローチの両面から捉えて、総合的かつ効果的な人権啓発事業を実施することにより、あらゆる差別を許さないという社会意識の醸成を図ります。

ア 市民、関係団体等と差別解消に向けて互いに連帯し、協働します

すべての人の人権が尊重される明るい社会を築くためには、市民自らがその大切さに気づき、人権尊重社会の実現のために行動することが大切です。そのため、各種啓発行事の実施に当たっては、可能な限り計画段階から市民に参加を求めるとともに、市民や関係団体が実施する差別解消に向けた自主的な活動を支援するなど、市民、民間運動団体、他の人権関係団体等と差別解消に向けて互いに連帯し、協働します。

イ 市民の感性に訴えかける啓発を実施します

知識偏重の傾向がみられた従来の啓発を見直し、身近な人権に関わる事例を取り上げることで、我々の日常生活がいかに人権と関わっているか、また、すべての人権問題が自分と無関係ではなく自分自身に関わる課題であるという気づきを大切にする啓発を基本として実施します。
そして、直感的に人権問題に気づく鋭い感性や人権への配慮がその態度や行動に現れるような人権感覚を育むことができるよう参加体験型、討論形式等を取り入れた啓発に積極的に取り組みます。
また、テレビ・ラジオなどのマスメディアを啓発活動に積極的に活用します。その際、内容がスローガンの繰り返しではなく、市民の感性に訴えかける内容となるように工夫します。

ウ 地域社会や企業等に向けた啓発を推進します

全市民を対象とした啓発を推進するとともに、地域リーダー、企業内リーダーの育成等に配慮しながら、地域、企業などを対象とした啓発を積極的に推進します。
地域に向けての啓発としては、日々の生活の中で人権尊重意識が地域社会全体に自然に存在している状況となるような取り組みを推進します。
そのためには、あらゆる年齢・性別・職業の市民を対象とした啓発が重要であり、従来の講演会形式の研修会の実施に加え、これまで参加が少ない若い世代の人たちの参加を促すような啓発事業の展開にも努めます。
企業に対する啓発としては、就職の機会均等の確保とえせ同和行為の排除をさらに徹底していく必要があり、事業主、公正採用選考人権啓発推進員などに、公正な採用選考システムの確立や人権が尊重される明るい職場づくりのための取り組み等を要請し、支援します。

エ 差別事象等へは主体性をもって対応します

えせ同和行為やインターネット上の差別書き込みのように、同和問題の解決を阻害し、新たな差別意識を生み出す悪質な事象に対しては、断固たる態度をもって迅速かつ適切に対応するとともに、差別を許さないという社会意識の高揚を図ります。
差別事象が発生した場合は、真に部落差別の解消に役立つよう、また、あらゆる人権問題の解消につながるよう主体性をもって積極的に対応します。

オ 市職員への同和問題をはじめとする人権研修を充実します

市職員は、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に主体的に取り組むべき立場にあることを十分に認識し、行動できるよう計画的に研修等を実施します。

(2)同和教育の取り組みをあらゆる差別解消につなげます

これまで積み上げられてきた同和教育の成果や同和問題固有の経緯等を十分認識し、家庭や地域との連携を図り、各学校園の教育課題を明確にしていく中で、差別を許さない明るい社会の実現を目指す教育を積極的に推進します。

ア 学校園においてあらゆる差別意識の解消を目指す教育を推進します

就学前からの一貫した教育が充実するよう、中学校区を単位に幼稚園・小学校・中学校が連携を深め、人権問題に対する教育課題を明らかにする中で、幼児・児童・生徒の発達段階に応じ、個に即した指導を行います。指導に当たっては、単に知的理解にとどめるのではなく、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決を自らの課題として捉えられる感性や人権感覚を育み、主体的に解決に取り組もうとする実践的態度を育成します。
特に、児童・生徒の自立意識向上に向けての取り組みについては、学習・相談支援を行います。
また、教職員の資質と指導力の向上を図るため、参加体験型の手法を積極的に取り入れる等、研修会の工夫や効果的な指導内容・方法の研究・実践に取り組みます。

イ 家庭・地域社会においてあらゆる差別解消を目指す教育を推進します

同和問題をはじめとするあらゆる人権問題に対する理解と認識を深め、自らの課題として差別意識の解消に主体的に取り組み、解決への実践力を高めることができるよう、幅広い年齢層を対象とした学習機会を提供します。
推進に当たっては、地域の実情や学習者の求める課題を明確にし、参加体験型の手法を積極的に取り入れる等、多様な学習内容や方法等の工夫を図ります。また、家庭・学校園・地域社会がその役割を自覚し、互いに相まった取り組みになるよう、関係機関との連携を図り、地域住民の交流を通して効果的な学習活動を展開します。
とりわけ人間形成期にあたる幼児・児童・生徒をもつ保護者を対象とした研修会では、学校教育との一体性を図り、地域や家庭の教育を充実させることができるよう社会教育指導者の養成・確保に努めます。

(3)較差解消や自立促進等のための施策を推進します

ア 公正な採用選考を促進します

関係行政機関と連携し、職業選択の自由と公正な採用選考システムの確立をめざした公正採用選考人権啓発推進員制度や統一応募用紙の普及を徹底するなど、就職の機会均等の確保に向けた啓発を積極的に推進するとともに、就職情報の提供を行います。

イ 交流を目指した教育・文化活動等を推進します

同和問題をはじめとするあらゆる人権問題を解決し、一人ひとりの人権が尊重される住みよい社会を実現するため、交流を目指した教育・文化活動、ボランティア活動等の促進を図るなど、学習者や地域のニーズに応じた学習機会を提供します。
なお、教育集会所等については、自立促進など地域課題解決のための活動や住民交流を促進する拠点施設として、幅広く有効活用を図ります。

ウ 地域における人権啓発等に関する事業を推進します

(ア)福祉交流プラザでは、人権啓発、自立促進、地域福祉、地域交流などを促進する事業を推進します
福祉交流プラザは、基本的人権の尊重、人権意識の高揚を図ることを基本理念とし、地域社会全体のなかで開かれたコミュニティセンターとして、各種の事業を総合的に展開します。
活動の推進に当たっては、日常交流の中で、同和問題についての正しい理解と認識を深めるとともに、あらゆる人権問題の解決につなげていくよう人権意識の高揚を図るための啓発活動や広報活動を推進します。
地域住民の自立促進につながる行政施策の効果的な推進を図り、自立意欲と社会参加を促進します。
高齢社会に対応していくため、各種関係機関との緊密な連携のもとに地域福祉のネットワークづくりにも参画し、また、ボランティアなどとの連携により、地域の特性や地域ニーズにあわせた福祉相談活動の充実や支援活動を行います。
住民交流活動の充実と発展のため、福祉交流プラザが啓発と住民交流の拠点として地域社会に定着するよう、地域ニーズに対応しながら、地域住民や住民組織と協働して、地域交流促進のための事業を積極的に推進します。

(イ)家庭環境への配慮と子どもの人権を守る保育を行います
保育園は次代を担う子どもの育成のため、家庭環境に対する配慮など、よりきめ細やかな保育を行うとともに、児童虐待の問題等、保護者に対する教育の重要性も考慮しながら保育事業を推進します。
このため、家庭環境に対する配慮が特に必要とされる児童の入所が多い保育園に対しては、子どもの人権を守り、豊かな人間性を育み、入所児童の処遇の向上を図るためにも、家庭支援推進保育事業を行います。

エ 生活環境の整備等については的確に対応します

住宅、道路等の物的な生活環境の整備については、様々な面で存在していた較差は大きく改善されており、事業の実施に当たっては、地域の実状等を把握して的確に対応します。旧地域改善向け住宅については、他の市営住宅と同じ方法での入居募集業務を実施します。
また、住宅新築資金等貸付事業における償還金の滞納は、借受人の自立促進を阻害するばかりでなく、ねたみ意識を生じて同和問題の解決を遅らせる要因ともなることから、借受人の償還意欲をより一層喚起するとともに、法的措置を含めた適切な措置により、償還率の向上に努めます。

お問い合わせ

市民協働局市民協働部人権推進課 人権啓発係

所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]

電話: 086-803-1070 ファクス: 086-225-1699

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