威容を誇る天守閣 3

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天守閣の内部
■天守閣断面図に見る天守の構造
 天守閣の構造は、断面図を見るとさらにはっきりする。特に、3階部分は、外から見ると南北に突き出た破風の間しか目に入らないが、断面図を見ると、実際は2層目の大入母屋屋根にすっぽりと覆われた部屋があることが分かる。2層大入母屋基部+2層大入母屋基部+2層望楼部という構造も、外観を見るよりも理解しやすいだろう。
■内部平面の特徴
 天守閣の内部もまた、外観の複雑さを反映して、特徴的な様相を呈している。普通、天守閣の内部各階はほぼ同じ四角形の平面をしており、上階に行くにつれ、同じ逓減率で部屋が小さくなっていくものだが、岡山城天守閣は1階から6階まで、全ての階が異なった平面をしているのである。これは、岡山城天守閣の天守台が、不等辺五角形をしていることに因るところが大きい。1階平面が天守台の形そのままに五角形をしており、それを上階にいくにつれ、徐々に四角形に修正しているため、このような特徴的な構造となったのである。五角形の天守台は全国唯一のものであり、四角形以外の天守台も、岡山城の他には織田信長が築いた安土城(八角形)以外には見られない。
■天守閣各階の様子 (▼左側の各階タイトル、右図の各階部分をクリックすると詳細が開きます)
※詳細ページの天守閣内部の写真は「岡山城史」、「岡山県史蹟名勝天然記念物調査報告第9(昭和7年)」より
岡山城天守閣 東西断面図

天守閣六階

天守閣五階

天守閣四階

天守閣三階

天守閣二階

天守閣一階・塩蔵

天守閣一階・塩蔵


このホームページで使用している岡山城天守閣の実測図(立面図・平面図)は、当時早稲田大学学生であった仁科章夫氏が、学友の平沢卿勇、中山克己、関屋正知の三氏の協力を得て実測し、昭和2年(1927)に卒業論文として提出したもので、日本建築学会「建築雑誌」第502号(昭和2年11月)に「岡山城に就て」として掲載されている。岡山城天守閣の実測図は他には残されておらず、旧天守閣の姿を知る上で貴重な資料であり、仁科氏の功績は非常に大きい。

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