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令和元年度岡山市地域協働フォーラム「伝統芸能継承活動を通じた地域コミュニティの持続可能性を考える」を開催しました

[2020年3月9日]

ID:41855

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令和2年1月19日(日曜日)午後1時から午後4時30分、岡山市勤労者福祉センター5階にて、令和元年度岡山市地域協働フォーラム「伝統芸能継承活動を通じた地域コミュニティの持続可能性を考える」を開催しました。
本年度は地域の伝統芸能の継承活動について取り上げ、活動を通して地域の持続可能性に寄与しているという点を、発表者の話から学び合いました。登壇者、関係団体の方々を含め49名の参加をいただきました。

地域協働フォーラムとは?

地域協働フォーラムは、地域の課題解決や持続可能な地域づくりに取り組む市内外の事例に学び合うことを目的に平成27年度から開催しているもので、今年度で5回目を迎えます。
事例発表者の取組を聞き、発表者の「独自の視点や工夫」から学ぶことで、参加者の活動や仕組みづくりに活かし、住みやすい地域、住み続けられる地域をつくる助けになることを目指しています。
今回のフォーラムは、伝統芸能を守ろうと地域で活動されている方々にご登壇いただきました。また岡山連携中枢都市圏の市町において伝統技能継承活動を行っている団体の方々にも事例発表をいただきました。
地域の伝統芸能継承活動が、地域コミュニティの持続可能性とどのように関わっているかという視点で、どのような形で協働を行っているかについてもお話いただきました。

フォーラムの内容

1.講演

講師:三浦健志先生(岡山大学 名誉教授)

演題『地域振興とは?美咲町境地区との交流を通して感じたこと』

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境地区は平成15年ごろからさまざまな活動や事業が開始したが、令和元年現在46戸、農家数32、人口118人となり、人口減少により地域コミュニティの維持や伝統芸能維持は難しくなっている。
平成21年農林水産省事業「ふるさと地域力発掘支援モデル事業」をきっかけに交流が始まり、年間のべ100人くらいの大学生を連れて地元の農村振興のサポートの一環として地域に入った。
学生がマンパワーを提供するとともに現地に行くことで実践的教育に繋がることもあり、当初からおみこしの担ぎ手などを期待されていた。獅子舞に学生が参加することで地域外に出ている若い世代への声掛けもしやすくなり、年間に何度も通うことで地区の若い世代との交流も生まれた。地元の女性と学生がその後結婚した例もある。
伝統芸能には人を引き付ける、呼び込める力があるが、お祭りありきではなく地域で生活の糧を得て暮らしていくことが大事。行きたい帰りたいと思わせる何か(特産品、景色、雰囲気、人間関係など)が必要。それらがある事で若い世代が引き留められる。人がいることではじめて祭りに意義が生じ、伝統継承できる。

2.事例発表

1.御津獅子舞継承活動実行委員会 石原栄さん

R01協働フォーラム_03石原さん

発足時には12団体あったが、今では3~4団体と人数が減る中で、コミュニティづくりのベースとして災害時にも獅子舞を頑張っていく方向に進んだ。
平成21年から御津公民館祭りに参加し、文化祭としては市内一番の祭りになった。
中学校や御津高校との連携を開始し、生徒が獅子舞体験を多くできるようにした。

2.建部町伝統芸能伝承保存会 延江耕一さん

R01協働フォーラム_04延江さん

他都市の事例

建部地区の伝統芸能は、獅子舞と棒つかいがあり、町内12団体が活動中。
長男でないと参加できない風習も、少子化に対応するため、女子も参加できるようにして継続している団体もある。
活動を通して世代を超えた交流、学年を超えた繋がりができている。
笛の吹き方の練習のためDVDを制作するなどの工夫をしている。

3.波知獅子舞保存会 廣畑一夫さん

R01協働フォーラム_05廣畑さん

保存会は昭和45年設立で50年目。会員は30人くらいだが実働は15人くらい。
地元の秋祭りや地域イベントへの出演、福祉施設への慰問などを実施している。
公民館の広場に子どもが集まり、獅子舞の演目のうち天狗などの役を練習している。
地域の高齢者が指導を行うことにより、地域内で世代を超えた顔の見える関係づくりにつながっている。

4.喜之助人形劇フェスタ市民実行委員会 藤原泰之さん

R01協働フォーラム_06藤原さん

瀬戸内市出身の人形師『竹田喜之助』の制作した人形などを使い、人形制作や人形劇の披露をする地元の有志活動グループ。
昭和63年から喜之助人形フェスタを開催している。
地域の学校などへ体験授業を提供し、小中高校生との交流を行っている。
人形劇活動を始めた事で、地域の役に携わる事が増え、人のつながりもできた。

5.吉守組 入澤真士さん

R01協働フォーラム_07入澤さん

蒜山地域で踊られる盆踊り(大宮踊:国指定重要無形民俗文化財)の継承活動のうち、踊りそのものでなく、盆踊り会場などの運営維持を吉守組が行っている。
会場は、公会堂(吉森堂)を中心とした地区にあり、その公会堂前に真庭市が設置した小水力発電所の維持作業を担うことで、売電金の一部が活動資金にあてられるようになった。

3.パネルディスカッション

講師の三浦先生含め、発表者5人のパネルディスカションを行いました。
コーディネーターは、ESD・市民協働推進センターの高平が務めました。
高平から質問を出し、パネリストがフリップに記入するかたちで行いました。

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伝統芸能継承活動はコミュニティの持続可能性向上に寄与するものであるか?という問いかけに対しては、みなさん寄与しているとのお答えでした。「地域がばらばらになることに歯止めがかかっているように思う」など、地域の交流の場としての機能を意識されて活動をしています。
幼い頃から活動に参加していれば、次世代の人材を生む土壌が育まれるとの意見も聞かれました。

活動を継続するための工夫・苦労はどんなものがあるか?の問いかけに対し、三浦先生からは、地域外の若い人材を呼び込むという観点から大学生を取り合うのではなく「大学は社会貢献としての地域活動に関心が無いわけではないので、工芸・産業などの窓口から大学と繋がって上手くタッグを組んでいくと良い」とのご助言がありました。
吉守組からは、地元消防団という世代継承の仕組みを持つメンバーが活動をしている事で、20年程前の親世代は引退しても、現在の30、40代のメンバーへと引き継ぐことができているとの事でした。

また、参加者から、ボランティアガイドを受けた子どもたちからお礼の手紙が届いて、活動者の励みになっているという事や、民間の助成金を利用する事も検討してはという提案がありました。

どの発表も、取り組まれている方々の熱気が伝わってくるもので、地域への愛情と自分達の活動が地域を支えているという誇りが感じられました。
フォーラム終了後には、参加者同士が他の地域の方と情報交換しようと、会場のあちらこちらで熱心に話し込む姿が見られました。
地域の伝統芸能を守り伝える活動は、子孫へ良い社会を残したいという思いと共鳴し、地域コミュニティを持続させていくことの支えになっていると、参加者から異口同音に聞くことができたフォーラムでした。