岡山市民の文芸

ジュニアの部(小・中学生)
現代詩 −第45回(平成25年度)−


迎え火 田房 杏都(福浜中一年)


たいまつに火をつけた
パチパチはじけながら炎が上がった
私は燃える火にむかって呼んでみた
「みんな待っているから早く帰っておいで」
と、
一年に一度だけ帰ってくるお客さんは、
おじいちゃん、ひいじいちゃん、ひいばあちゃんたち
残念ながら私は一度も会ってない
おじいちゃんは野球が大好きで
いつもレギュラーで活やくしていたらしい
でもいつも甲子園に行く一歩前で破れ、くやしかったらしい
ひいじいちゃんは、相撲が大好きで相撲のことは何でも知っていたらしい
ひいばあちゃんは色が白くて美人だったらしい
だからひいじいちゃんは美人だったひいばあちゃんが好きで結婚したらしい


私は、盆がくる度に同じ話をくり返し聞く
お母さんのひざにいた頃から
十二才になった今日まで
何度聞いても楽しくなる


二泊三日の盆の里帰りはあっという間に終わった
私は「また来年も早く帰っておいで」と
送り火に手をふった


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