修正会
 古来、正月1日よりニ七日(にひちにち:14日間)の間にわたり奉修されてきた修正会(しゅしょうえ)は西大寺観音院のもっとも重要な宗教行事である。中世の後期には牛玉を投授するという行事が修正会結願日に加えられたが、この修正会は終始一貫して伝統が守られ、厳修されている。通常は、旧暦に従った宗教行事で正月1日開白、14日結願で、結願日には民俗行事と結びついた例が多く、一般的には春迎えの宗教行事とされている。

修正会 西大寺の場合、明治6年の太陽暦使用後も旧暦の該当日に行われてきたが、明治45年から大正4年までの4ヶ年(4回)のみは1ヶ月遅れの2月1日開白、14回結願で行なわれ、その後旧例に復している。昭和3年以来は、会陽を”はだか祭り”という名称で観光行事的に宣伝するようになり、昭和37年より会陽を新暦2月の第3土曜日と定めたため諸行事等がその日から逆算して日取りを決定することとなった。
 次に、修正会2日目に執り行われる牛玉封じや灯明帳読み上げについて記しておく。尚、この牛玉封じも秘事のひとつで、その内容等を写真で記録することのできない部分である。
 牛玉封じとは、旧来は旧暦2日に当る修正会の第2日目に行なう行事である。宝木削りによって形の仕上った真新しい宝木に今年の牛玉=宝木としての入魂の飾り付けをすることである。本堂後陣の愛染明王の前に2尊をまつり、屏風を立て廻して、机を置き、灯明 水器・散杖・火舎・塗香を並べて奉書紙・牛玉紙を始め、包みの中に封じ込める宝銭、五宝・五香・五薬・五穀・葉の五枝ついた樒の先枝・硯・墨・筆・糊等を用意して準備を整える。先ず塗香にて身を浄め、 水によって道場・宝木・机上の物等を浄め、代々の口伝等により本尊真言を唱えながら、先ず心覚えの梵字あるいは干支等を書き入れ、牛玉紙の特別の扱い方、あるいは包み方等口伝通りに旧軌を守りながら宝木を包みあげ、再び本尊の宮殿に納めて終る。

 又、修正会中すでになくなった作法として灯明帳の読み上げがあるが、この作法は早くから行なわれなくなったためその在り様が不明である。しかし、後夜導師作法のなかに次神明帳、次灯明帳と明記されており、かつて神明帳と共に灯明帳も読み上げられていた事が知れる。
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