宝木削り
 前夜、夜中に出発して寺に持ち帰った宝木の原木から宝木を作る行事であり、この在り様は秘事として現在でも公開されていない。
 現在は、本堂後陣の愛染明王の前に、秘仏、如意宝珠の2尊をまつる密壇を設け、供物等は形の如く荘厳して、密壇横に渋紙を敷き道具を並べて、屏風で囲みその中で昔通りに行なわれている。宝木削りに関与する僧侶は、山主及び、一・二人のみで、午前中に終了するように時間を見計らい、入浴、衣帯を調えて入場し、まず本尊に法楽を奉げて、山主は原木を加持して一人に手渡してのち、続けて本尊供養の修法に入る。一・二人は、定められた手順により、道具を使って定められた通りの形と寸法に宝木を作り上げ、宝木箱に納めて本尊須弥壇上の宮殿に奉納して修法の終わった山主と共に祈念して宝木削りを終わる。
 なお、会陽が終って取り主が決定するためには寺の検分が行われるが、この検分のために宝木は本口の方に4〜5cm長く作られ、仕上がった時に所定の寸法に鋸で切り、切り口には手を加えず、切れ端を検分のための合鑑として保存する。

 宝木削りは、元来12月28日に行われていた。古くは、奥座敷上の間で床に本尊、不動明王、愛染明王の三副対の画像をかけ、香花、灯明、供物等を形の如く荘厳して屏風で囲み、その中を道場として宝木削りの秘法が行なわれていた。
■ホーム ■前へ ■次へ