岡山市民の文芸
川柳


第40回(平成20年度)
爽やかに老いたし今朝も髭を剃る 久本 にい地
年齢を書くときはたと手が止まる 藪木 敏明
干拓を支えた腕も細くなり 阪本 美安
満ち足りた日はていねいに皿洗う 遠藤   哲
時々は気づかぬふりもして夫婦 岸野 洋介
第39回(平成19年度)
長生きをしたらゴメンと言うてある 工藤 千代子
ふと目覚め妻の寝息にホッとする 古川 広次
洗濯物たたんで明日を考える 久本 にい地
いいのかな妻から貰う二重丸 増田 敏夫
一足す一で一だと笑う老い二人 竹原 汚痴庵
第38回(平成18年度)
今からが夫婦で老いる正念場 塩見 昭子
涙腺の奥にわたしの城がある 小野田 仲江
あいさつをしようと外を掃いている 船越 洋行
母ちゃんに父さんが言う有り難う 奈良木 茂正
どのぐらい生きれるもんか試験中 溝口 海州
第37回(平成17年度) 
美味かった今度は妻を連れてくる 増田 敏夫
土日が休めぬ二度の職に就き 井上 柳五郎
ふるさととゆっくり崩れることにする 木下 草風
また明日畑にさよならして帰る 久戸瀬鬼あざみ
ケータイもカードもないが生きている 新田 すすむ
第36回(平成16年度)
ぐっすりの妻に一言ありがとう 増田 敏夫
友達に逢うと元気な振りをする 木野 光子
さだめ
どちらかが残る 運命の夫婦箸
小神 緑
錆ついた釘が家ではきいている 横溝 みち江
バラ園にあなたと二人だけの午後 松井 君代
第35回(平成15年度)
長生きをしてもいいかと自問する 竹原 汚痴庵
癌告知神のジョウクよ気にしない   山本 美枝
手を拭いて母も出てくるいい話 森金 智子
ショパン色にたそがれて秋恋熟す 小椋 貞子
言わなくて良かったみんな知っていた 増田 敏夫
第34回(平成14年度)
伴走の妻がいつしか前を行く 竹原 汚痴庵
薫風もまぜて我が家の五目寿司 小原 敏子
車椅子押してる妻も背が丸い 藤原 一平
遠い日の渇きよさとうきびを噛む 小神 緑
立ち止まり私を待っている歩巾 福田 量子
第33回(平成13年度)
寝たきりになっても太い母の指 村瀬 憲正
靴を履きながら大事なことを言う 久戸瀬鬼あざみ
肩書きをとればどこにもいる男 中尾 紅梅
寝込まれて大黒柱は妻と知り 岸野 洋介
あの時の鶴の卵が飛んでいる 関口 睦夫
第32回(平成12年度)
耳遠く愛想笑いが多くなる 新田 すすむ
つ ま
孫うたう 老妻 うたいだす嫁うたう
黒木 ゆうじ
マンションという空間で根が張れぬ 篠原 和子
妻と言う怖い味方が居てくれる 三宅 武夫
八月は少し素直になり祈る 光岡 早苗
第31回(平成11年度)
朝まだき蝉の執念聞かされる 仁科 民子
おんなの皿へ男を盛って値踏みする 安本 志登美
磨り硝子の向こうに枯れた薔薇を置く 高山 秋津
水を待つ花に詫び言う旅帰り 福田 量子
ひたむきに生きて杖より低い母 岡?ア 美喜子
第30回(平成10年度)
空き缶がつぶやいている草の中 小松 吐雲
秋桜のじゅうたん敷いて売れぬ土地 前田 安正
パソコンが遊んでくれる夏休み 山本 隆好
老いつつも心にノック忘れまい 中西 生江
もう遅い亭主加保護に誰がした 国末 悦子
第29回(平成9年度)
居なければホットする日の多くなり 小方 妙子
雀でも来てくれ我が家老い二人 黒木 勇治
子沢山みんな我慢の子に育ち 岡 やすえ
世の移り畑に居ても鳴る電話 奈良 董
なにもかも許して波は夕日抱く 福田 量子
第28回(平成8年度)
世紀末米のなる木をもてあます 京林 静枝
上向きに咲きたい藤の花もある 篠原 和子
磨かれた石は故郷へ帰らない 安本 志登美
老いたのし列車に駅があるように 難波 栄
うれしくて笑顔いっぱい花を買う 藤原 一平
第27回(平成7年度)
ほんとうのことしか言わぬのもこわい 井上 柳五郎
妻が居て子が居て回る父の独楽 藤原 一平
中立の夫へ不満の母と嫁 片山 清重
郷土史を作り地域へ恩返し 池田 克己
悲しさは駅で別れた挙手の礼 阪本 美安
第26回(平成6年度)
故郷を呼びたい父のハーモニカ 有吉 弘子
秋の雲いくたび訣れ繰り返す 福力 明良
花鋏休めて蝶の去るを待つ 野崎 惟善
傷癒す薬が母の膝にある 新藤 征子
味噌汁のおかわりをする仲直り 三宅 武夫
第25回(平成5年度)
明日は散る花をきれいな絵に残す 藤原 一平
退院と婦長の笑顔に書いてある 木村 正一
は は
鍬持てば 亡母 の姿に瓜ふたつ
京林 静枝
白百合の白さに触れる愛もある 関山 野兎
沢庵をたんまり漬けて母は逝き 水粉 輝月
第24回(平成4年度)
飛び石に女の歩幅が棲んでいる 光亦 賢吉
枝豆の軽い情けをありがとう 福力 明良
清らかな笑顔一つを武器とする 尾賀 典子
靴の音酒量を計る妻の耳 坪井 楠恵
宅急便従いて行きたい親心 山本 春子
第23回(平成3年度)
二度の職ゆっくり動く時計買う 竹原 汚痴庵
子に遺す未来図青と緑足す 有吉 弘子
参観日来ないといった父がいる 吉川 博基
しゅくだいがすんでやさしい母の声 萩原 文彦
冷えたお茶妥結の道を模索する 中西 弘之
第22回(平成2年度)
子供等を味方に築く妻の城 木村 自然児
会う人に笑顔をもらう朝の道 小山 延三
跡継がす息子他人に磨かせる 上岡 一藤
半世紀まだ日の丸がはためかず 村上 和夫
善し悪しは言わない母の名奉行 吉永 道子
第21回(平成元年度)
絵日記へ流れる父の汗を描く 荒木 静子
雑兵にしきりにポケットベルが鳴る 吉川 博基
さん寿すぎ力だめしに着物縫い 斎藤 泰子
やさしさが欲しくて渇く絵具皿 小神 緑
盆燈籠いくつともせば逢えるのか 阪本 美安
第20回(昭和63年度)
成績は言うまい子らと海や山 横山 笙子
風呂敷は温いなさけを持っている 関山 保江
鈍行はなまりを乗せたり降ろしたり 木村 正一
夫婦残照もの干竿が空いてくる 吉田 浪
賑やかに見舞うてもらう回復期 山本 梅香
第19回(昭和62年度)
フイルムに収めて旅を持ち帰り 岩木 抱山
バラも百合も野花も似合う母の壺 上岡 一藤
父の胸大きな風呂敷持っている 関山 保江
ふるさとの道信号は青ばかり 光岡 早苗
国自慢食と歴史と人情と 船越 洋之
第18回(昭和61年度)
酔うている方の論理に嘘がない 吉川 博基
竹槍を持った手で打つゲート玉 西崎 富吉
渕もあり浅瀬もあって鮎育つ 奥村 文次郎
怪我をした指から冬がやってくる 阪本 美安
家計簿の夏痩せ防ぐ共稼ぎ 三木 幸一
第17回(昭和60年度)
打ち水をすればそこだけ秋になる 小畑 数巳
名園に据えると石も呼吸する 吉川 博基
ロボットに催眠術をかけて置く 永広 鴨平
逃げ乍ら女は男を追いかける 白川 温子
豪快なイビキあなたを信じます 石原 野笛
第16回(昭和59年度)
鳩がおる雀もこいよ譲治の碑 小山 延三
父の名の一字をつけて子を放つ 小神 緑
気の弱い指でグラスが離せない 吉田 浪
空白もあって日記に嘘がない 吉川 博基
四季を吹く風と語りて風が好き 行司 侑揮子
第15回(昭和58年度)
西川のベンチでセーヌ駆けめぐる 片山 清重
見合した後楽園へ孫を連れ 森金 一太
吉備の山石に声あり涙あり 光畑 葉舟
曲水の流れへ煩悩洗われる 高尾 柏雨
Uターン吉備路を染める夕茜 山村 阿生
第14回(昭和57年度)
子に耳を貸して楽しい損をする 横山 敏明
すだれ越し人には幸せそうに見え 久戸瀬鬼あざみ
二人目を生んで漬物石なじむ 小神 緑
ほんとうは鳩にも平和わからない 福森 光恵
やや固くバンドを締める多忙な日 光岡 早苗
第13回(昭和56年度)
百落に勝る言葉を子に貰い 服部 茂水
舗装路で蚯蚓地球を見失ない 山村 阿生
童顔のままでも七人敵があり 光岡 早苗
自販機に馴れる礼儀のない無口 向山 つね
日本の四季がきれいな床の花 西川 けんじ
第12回(昭和55年度)
縄のれん今日も男は傷を縫い 富山 祥雲
消えてゆくさだめシャボンの吐息聞く 安原 典子
自然との対話が好きなにぎり飯 三宅 武夫
気楽なもの顔より鏡を磨いてる 野崎 惟善
旅みやげ地球の石ころ一つ採り 山村 阿生
第11回(昭和54年度)
躓けば確かに人の貌になる 小川 佳泉
貧乏に育ってどの子も親思い 服部 茂木
窓一ぱい額縁にして見る世相 妹尾 保泉
ハネムーンどちらも日焼けして帰る 吉川 博基
おふくろの味煮含める落とし蓋 小神 緑
第10回(昭和53年度)
乱暴な言葉がぬくい目で笑う 富山 祥雲
梅干の一つのってる母代り 右近 了一
今日の風どちらの頬でうけようか 富山 美江子
ヨット二つ二色の風になる湖水 寺内 二朗
立ち聞きの耳から心が冷えてくる 薄田 雲


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