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令和7年11月提案理由

[2025年11月28日]

ID:77106

令和7年11月定例市議会に提出した議案に対する市長提案理由説明要旨

 令和7年度補正予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,その大要と市政の動向等について申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 去る10月5日に実施された市長選挙におきまして,市民の皆様からのご信任を賜り,4期目の任期を開始することができました。引き続き,全身全霊をかけて市政運営に邁進してまいります。

 これまで,財政の健全性を維持しながら,岡山の飛躍と市民の皆様の心の豊かさや幸福度を高めるために様々な取組を進めてまいりました。こうした取組の効果が目に見える形で実を結んでおり,今回の選挙を通じて,市民の皆様方から一定の評価をいただけたのではないかと考えております。

 具体的に何点か申し上げますと,

 市内全体の経済については,産業振興施策をはじめ,岡山市の発展や岡山市民のために行ってきた岡山市の様々な積極的な取組と,市民や事業者の皆様の活発な活動があいまって,比較可能な平成23年度と令和3年度の実質市内総生産を比較した場合の伸び率はプラス6.8%であり,政令指定都市の中で3位となっております。また,民間投資の伸び率は,プラス15.4%であり,政令指定都市の中で2位となっております。

 圏域全体の発展を牽引するまちなかにおいては,岡山芸術創造劇場ハレノワのオープンや岡山城リニューアル,また岡山芸術交流等の様々なイベントにより,県外を含め多くの方々に岡山市を訪れていただいており,賑わいのあるまちづくりを進めてまいりました。

 地域の振興については,地域で大切にしてきた歴史・文化遺産を地域振興基金等を活用しながら観光資源として磨きをかけ,地域の活性化に繋げてまいりました。

 農業振興についても,新規就農者や意欲ある農業者への支援,農産物のブランド化,有害鳥獣対策等,積極的に取り組んでまいりました。

 この他にも,支線バス等の公共交通ネットワークの拡充,デマンド型乗合タクシー等による交通不便地域の解消,生活道路の整備,用水路等の転落防止対策,町内会による防犯カメラ・防犯灯の設置に対する補助等,地域の利便性と安全性を高める取組を進めてまいりました。

 子育て支援については,関連予算を市長就任後10年間で約1.9倍に増額し,子ども医療費助成の大幅な拡充等を行ってまいりました。保育園等の待機児童については,待機児童の定義を市民生活の実態に即したより厳しい基準に見直した結果,ゼロから最大849人に増加し,日本全体のワースト2になりましたが,その後,受け皿整備,保育士確保に全力で取り組み,令和6年度からはゼロを継続しています。放課後児童クラブの待機児童についても,小学校入学後も保護者が安心して働くことができるよう,令和9年度のゼロを目指し施設整備や民間事業者の活用により,受け皿確保を強力に進めているところです。

 教育については,子どもたちが考える力を身につけ,分かる喜びを感じることが必要との考えのもと,全国平均に比べ大きく低迷していた学力の向上に取り組みました。その結果令和3年度からは全国平均レベルを維持しています。また,小学校・中学校の耐震化,空調設備整備,防犯カメラ設置等の環境整備を行い,教育関連予算は市長就任後10年間で約2.3倍となっております。

 安全・安心については,平成30年7月豪雨における床上浸水被害約2,230戸の解消のため,浸水対策を行い,これまでに砂川の堤防整備や今保・白石ポンプ場が完成し,約7割の床上浸水解消にいたりました。残る約600戸の解消に向けて,旭川ダムの再生のほか,その他ポンプ場の建設を進めていくことで解消の目途が立ってまいりました。

 この他,健康・福祉や,脱炭素社会の推進,ESD・SDGsの推進などにも積極的に取り組んでまいりました。

 一方で,選挙期間中,市内をくまなく回る中で,多くの市民の方とお会いし,物価高騰への対応や周辺地域への対応等,様々なご意見もいただきました。現状に満足することなく,より高みを目指していかなければならないと強く感じたところです。皆様の声を真摯に受け止め,今後の市政運営を行ってまいります。

 4期目の任期のスタートにあたっては,喫緊の課題である物価高騰への対応が引き続き必要と考えております。これまでも約472億円の予算を投入し,物価高騰等に苦しむ市民や事業者の方々の支援をさせていただきました。省エネ機器更新緊急補助金を活用された事業者の方から「大変ありがたかった」との声もいただきましたが,物価高騰に苦しむ市民の方々,事業者の方々からの声も直接おうかがいしました。先日,国の経済対策が閣議決定されたところであり,国の補正予算の具体内容が分かり次第,岡山市としても本議会での補正予算案の追加提案を視野に早急に対応してまいります。

 中山間や周辺地域を訪れた際には,中心部との乖離があるというご意見をいただきました。岡山市としては,買い物や医療・福祉などの毎日利用するような生活サービスは地域でしっかりと守りながら,高度な医療といったサービスは都心等で確保するという考えのもと持続可能なまちづくりを進めてまいりました。さらに,各地域の拠点と都心をつなぐ公共交通等の利便性を向上させ,各地域と都心との交流・連携を促進させてまいります。

 また地域の特性を活かした地域づくりについても,地域振興基金等を活用しながら積極的に進めてまいりました。今後も,地域の方々の声に耳を傾け,周辺地域への対応というものを加速させてまいります。

 この他にも,子育て,教育,まちなかの賑わいづくり,農業振興,健康・福祉の充実,防災・減災対策など,各分野の施策を積極的に推進してまいります。

 さらに,今回の選挙戦において,「わくわく感」を高めていくことが必要と訴えてまいりました。民間調査では,岡山市は「暮らしやすさ」が強みとなっている一方で,「わくわく感」が足らないと指摘されています。民間の再開発事業等により発展するまちや,スタートアップ等によるイノベーション創出,地域固有の歴史や文化遺産をいかした魅力づくり,芸術,スポーツ等を通じた交流等も,市民の皆様の心を豊かにし,「わくわく感」に繋がるものと考え,様々な取組を進めてまいりました。今後は,「わくわく感」をさらに高める要素を取り入れることにより,都市の総合力を一層高め,10年,20年先へとつながる岡山市の未来を切り拓いてまいります。

アリーナ

 アリーナ整備については,SVリーグやBリーグの施設基準見直しにより,現在のホームアリーナ「シゲトーアリーナ岡山」では,地元トップチームが国内最高峰のリーグで活動できなくなる状況に直面しており,このままでは,県外への拠点移転を余儀なくされる懸念があること,また,アマチュアスポーツ団体が交通の利便性と大規模大会を開催できるキャパシティーを両立できる会場の確保に苦慮している現状を踏まえ,経済界からの要請を受けて検討を進めてまいりました。

 11月12日に開催した第6回アリーナ整備検討会議では,「なるべく早く整備するべき」との意見が出されました。市民負担を少しでも軽減するため,経済界,トップチームとともに一丸となって企業に協力をお願いした結果,多くの企業から賛同いただき,約27億円もの寄附の申し出をいただいているところであり,この場をお借りして感謝申し上げます。

 アリーナが,トップチームの活動継続やアマチュアスポーツの会場不足解消に繋がることに加え,ライブ・コンサートやコンベンションなどの開催を通じて市内外に大きな経済効果をもたらすだけでなく,金額には表すことのできない心の豊かさや,わくわく感を生み出すものとなるという点,また,多くの企業からの賛同をいただき,財源確保の道筋が見えたことなどを総合的に熟慮した結果,岡山の交通の利便性を活かした今後のまちづくりには不可欠であり,アリーナ整備事業に着手するという判断に至りました。

 また,県内の全市町村や岡山県市議会議長会の皆様からも応援をいただいていることも事業着手を判断する後押しとなりました。                                     

 今回の補正予算では,建設計画地の測量・地質調査や,アリーナ整備・運営事業者の選定に係る経費,並びに計画地周辺の環境整備のために必要な道路・公園の測量・設計等に係る経費を計上しております。

 それでは,最近の市政の動向についてご報告いたします。

公共交通ネットワークの充実

 持続可能な公共交通ネットワークを構築するために,バス事業者と協力して取り組んでいる「岡山モデル」のバス路線再編については,これまでに,「妹尾・北長瀬線」,「妹尾・岡南線」,「高島・旭川荘線」,「高島・備前原線」,「東山・操南台団地線」の5路線で支線バスの運行を開始し,WEB投票で決定した「FLAt」デザインの車両も10月1日より登場しました。

 これら5路線の利用者数は1便当たり約2~4人で推移しています。市民の皆様の日常的な移動手段として,公共交通の利用が習慣化されるよう,路線バス・路面電車の「運賃無料DAY」や小学生にバスの利用方法を体験してもらう「バス教室」を開催するなど,利用促進に努めているところです。

 今回の「運賃無料DAY」では,支線バス5路線に合計で,祝日の11月3日は前週日曜日の6.2倍となる延べ1,228人,平日の11月4日は前週火曜日の3.2倍となる867人の方に乗車いただきました。実施後のアンケート調査では,無料DAYをきっかけに支線バス「FLAt」の認知度が約2割増加,また普段「FLAt」を利用していない方の約半数から,「無料DAYをきっかけに利用してみたいと思う」との回答をいただいております。

 この「岡山モデル」のバス路線再編の取組が,持続可能な公共交通ネットワーク構築の切り札となるよう,引き続き,事業者とともに様々な利用促進施策に取り組むとともに,計画している残る12路線についても,運行開始に向けて着実に準備を進めてまいります。

道路ネットワーク

 高速道路網と岡山市の道路網の骨格をなす岡山環状道路との接続を強化するために,国,NEXCO西日本と連携して進めてきた吉備スマートICの24時間化・大型車対応並びに総社・一宮バイパス北区一宮山崎・今岡間が,来年2月1日に開通する見込みとなりました。さらに,来年度には,岡山環状南道路の開通も予定されており,岡山の道路網が大きく変わっていこうとしております。

 市民生活や産業活動,災害救助活動に欠かせない道路が,より便利で強靭なものとなるよう,引き続き道路ネットワークの充実・強化に取り組んでまいります。

子育て

 これまで,保育園や放課後児童クラブの受け皿確保等,保護者が安心してこどもを預けて働くことができる環境づくりを進めてまいりました。今年度は,新たに民間放課後児童クラブの夏休み利用促進を行い,60名の児童の利用につなぐことができました。働き続ける保護者の皆さんにとって,仕事と子育ての両立についての大きな枠組みは整ってきたと考えております。しかし,子育てに関するニーズは変化しているため,十分ということではありません。今後も,希望する誰もが安心してこどもを生み育てることができるまちを目指して,市民の皆さんの声をうかがいながら,必要な支援を行ってまいります。

産業

 企業用地の確保が課題となる中,昨年11月に岡山市が独自に要件を緩和した産業拠点周辺の市街化調整区域における開発許可制度等を活用し,南区藤田の産業団地周辺において,市内企業の製造工場の新設が決定いたしました。今後も農業とのバランスに配慮しながら引き続き企業の立地を進めてまいります。

 通行量が減少傾向で空き店舗が増えていた表町商店街に,エリア活性化の起爆剤として令和5年9月,表町千日前にオープンしたハレノワは,現在開館の効果が相当に出てきています。岡山市が行っている店舗化に向けた支援や,表町商店街の皆様の様々な活動もあり,開館から2年間で48の新しい店舗が出店しています。また店舗の入れ替わりも活性化しており,これまで小売店舗が中心だった商店街で,飲食店が17増えています。今後も,さらなる商店街の活性化に努めてまいります。

観光

 「令和6年岡山市観光統計」によると,令和6年の宿泊客は,前年比118.6%と増加傾向にあります。また,今年10月に発表された日本政策投資銀行岡山事務所の調査では,大阪・関西万博を訪れた外国人観光客のうち,2.9%,約10万人が岡山市を訪れており,岡山市を訪れる観光客の数は順調に増えております。

 こういった状況の中で,岡山市では歴史文化の保存や環境保護等,持続可能な観光を進めることは重要であると考えており,宿泊税を含む新たな観光財源等について有識者の意見をお聴きする場を設けて検討を進めてまいります。そのため,本議会において宿泊税等検討委員会設置条例案と関連予算案を提案しております。

芸術・スポーツ

 この秋も,今回で4回目となる「岡山芸術交流2025」や,今回で9回目となる「おかやまマラソン2025」などのイベントを開催いたしました。「岡山芸術交流2025」では,誰でも街歩きを楽しみながら,今まで以上に多くの方が鑑賞できるよう,今回初めて,すべての会場で鑑賞料を無料にし,来場者は過去最高の約42万5千人となりました。市内外の多くの方々が岡山を訪れ,岡山の魅力に触れ,楽しんでいただくことで,「わくわく感」を感じていただけたのではないかと思います。

国際会議

 10月21日から23日までの日程で,岡山市で「第14回グローバルRCE会議」を開催いたしました。会議には,オンラインでの参加者も含め,世界46カ国から266人の方が参加し,これまでのESD活動の成果や今後の方向性について熱心な議論が交わされました。

 会議2日目には,この会議の成果として,ESDを通じた社会変革を目指す「岡山宣言」が採択されました。宣言には,岡山市がこれまで取り組んできた,地域を主体とした活動の重要性などが盛り込まれており,この会議を新たな契機として,持続可能な社会の実現のため,ESDをより一層推進し,SDGs達成に向けて貢献してまいります。

 また,今年9月にスロベニアで開催された国際会議「ユネスコ創造都市ネットワーク・文学分野サブネットワーク会議」において,令和9年の同会議開催地に,岡山市を含む3都市が立候補し,加盟都市による投票の結果,アジアの都市としては初めて岡山市が開催地に選出されました。

 こうした国際会議を通じて岡山市の国際的なプレゼンスを高めてまいります。

おわりに

 私は常日頃から,能楽の大家である世阿弥の「初心忘るべからず」という言葉を大切にしてまいりました。これは「初めの頃の新鮮な気持ちを忘れない」という意味と「まだ未熟であるという気持ちを持ち続けなければならない」という二つの意味があり,私はそのどちらも重要であると考えております。

 4期目に入った今,改めて岡山市の発展と市民の皆様の心の豊かさや幸福度を高めていくために何を為すべきかを考え,様々な課題やご意見に真摯に,そして謙虚に向き合いながら市政運営に臨んでまいります。

 市民並びに市議会の皆様方の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

令和7年度11月補正予算案の概要

 それでは,甲第177号議案から甲第179号議案の補正予算の概要について申し上げます。

 補正額は,一般会計で11億6千3百万円の増額で,アリーナ整備のための測量・地質調査及び整備運営事業者選定に要する経費や建築資材の高騰等に伴う新庁舎整備事業の追加経費等となっております。

 また,工事の施工時期の平準化を図るための債務負担行為の設定等を編成したものです。

その他の議案の説明

 続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。

 甲第187号議案は,粗大ごみの処理手数料の徴収方法に,指定納付受託者による納付を加えるものです。

 甲第189号議案は,岡山市公募対象公園施設の設置等予定者選定委員会を設置するものです。

 甲第194号議案から甲第203号議案までは,奥市公園野球場等の施設について,いずれも指定管理者の指定を行うものです。

 以上で提案理由の説明を終わります。

 よろしくご審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。

報告に対する市長説明要旨

 ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。

 報第54号はリース公用車の返還不能による債務不履行について,報第55号は市有自動車の事故について,それぞれ賠償額を決定したものです。

 報第56号及び報第57号は,市有施設の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。

 報第58号から報第60号までは,市営住宅退去明渡し等の債務について,それぞれ訴訟手続により債務の履行を請求することを決定したものです。

 報第61号は,市営住宅の家賃滞納等について,相手方と民事訴訟法第275条の規定による和解をすることを決定したものです。

 なにとぞよろしくお願いいたします。

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