冬季元肥は鋤込みが原則です、ばらの根の傷みを最小限にするため休眠時期を選んでやるとなると期間に限りがあります、休眠期とは言え肥料を土中発酵させますと少なからず根は痛みます、従って施肥材料を全て事前に手元発酵をさせます、勿論完全発酵と言うわけには行きませんが20日間ぐらい切り返しをしながら根気よくやりますとかなり良い肥料になります、当然筵等をかけて保温をするのですが水加減と発酵のしすぎに注意しながらやらないと時間も手間も材料も途中で台無しにしてしまいます、水加減は材料の総重量と同等ぐらいを加えます(初期発酵を促すために最初はやや少な目が早く発酵するようです)、発酵温度ですが、作業を開始して60時間ぐらいでかなり熱っぽくなります(正月をはさんでの作業ですから気温が低いため)、それから10日間ぐらいは蒸発したであろう水を加えながら毎日切り返します、切り返しの際広く平らに広げ30分ぐらい間をおき少し温度を下げてから山積みにしていくのです、その繰り返しを10日ぐらいしますとあまり熱も出なくなります。ある程度発酵が収まってきたら水を控えないと今度は青カビが出て腐ってしまいます、2日に1度ぐらい切り返し10日もしますとほとんど熱っぽくなくなります、こうなると何時肥料として施しても大丈夫です、私のローテーションではその時期がちょうど1月15日頃になります、12月に施肥をする方もおられますが12月と言えばばらはまだまだ元気、従ってその「根っこ」も又休眠どころではありません、そう言う時期に未発酵の肥料をしかも根際を深堀して施すという事はたぶんばらにとって良くない事ではないかと勝手に推測し・・・(いや休眠に入る前にたっぷり栄養を吸収さした方がよいのかなどと考えることもありますが)施肥は1月20日頃にしています。
私の春剪定が、ほとんど葉が落ちきった2月5日頃ですから思惑道理に行くと肥料はばらが目に見えて動き出す2月20日頃からドンドン吸収されるのではないか、施肥のために痛めた根が一気に回復するのではないかと思っています。
肥料素材については有機質肥料であることに越した事は有りません、有機質肥料は肥料効果消滅後、繊維質が残留し土中の通気性と保水性若干の保肥性の効果を残すことは基より、土中バクテリア、土中細菌、ミミズ等の繁殖を促します、その事を考慮して副素材として「牛糞堆肥」「腐葉堆肥」「粉砕藁堆肥」等をベースにして主たる有機肥料を用います、「バーク(木の表皮)」も又その役割をしますが別表に有るように殆ど無肥に近い素材です、只最近ホ−ムセンターで売られているバークと称する製品のほとんどは厳密に言うとバークではありません、時には木質産業廃棄物で有る場合も希ではありません、所詮土中に埋め込むモノですから、産業廃棄物でもその事が周り回って環境浄化に寄与するなら別段問題はないのですが、ほとんどのモノが未発酵なのには閉口します、発酵済みの様相を繕ってるだけです。
複合化成肥料
複合化成肥料には「8:8:8」とか「15:15:15」の様な高度化成肥料もあります、又「10:15:10」の様に燐酸分を強化した物も有ります、
何れにせよ我々が身近に見かける一般向け化成肥料は、ばら作りに必要な栄養バランスには少し物足りないモノばかりです、但しばら栽培農家が用いる肥料には様々成分バリエ−ションを持った肥料があります(大塚などで発売)、此は大変便利ですし、その効果も見事に現れます、只少々入手困難なのが残念です(井上商事等は取り寄せてくれる、キロ単価にして通常化成肥料の倍額程度)、例えば「N10:P20:K10」の様なモノは基より、あらゆる事を想定した20近い肥料成分比率のモノが用意されています。
一般的複合化成肥料を利用する場合、足りない栄養素は別途の「単肥」で補います、例えば燐酸分が足りないなと思ったら複合化成肥料に熔成燐肥又は過燐酸石灰を加え使用します、その時注意する事が3点有ります、一つ目は複合化成肥料との相性の問題、二つ目は肥料成分に占める「水溶性肥料」の割合と「枸溶性肥料」の割合を把握しておくこと、三つ目は腐葉堆肥、粉砕藁堆肥、発酵済みバ−ク等とブレンド又はサンドイッチにして鋤込みます、化成肥料だからと言って安易に地表にパラパラ撒くことは避けてください。
地表への置き肥の悪影響の一つは肥料欲しさに根が地表付近に上がってきます、丁度悪い水やりの事例と同じ結果になります、その事により暑さ寒さ、それと乾燥に影響されやすい「木」と成ります、二つ目は水溶性の肥料分のみが施肥効果を出し、枸溶性肥料分の効果が出ない事になります、例えば「10:15:10」の効果が出ないわけです、この場合おうおうにして窒素肥料分のみの効き目が目立ち葉っぱばかり大きな木に成ります、一見肥料の良く効いた木に見えますが我々は「花」が狙いですからそれでは目的を果たせません、どうか少々手間が掛かっても土中に腐葉堆肥、粉砕藁堆肥、発酵済みバ−ク等と共に鋤き込んでください。
液肥
液肥を作ることはあまりお勧め出来ません、かなり広いスペ−スがないと不快な《臭い》で自身の家庭は勿論、ご近所に迷惑をお掛けするかもしれません、もっとも注意深く几帳面に取り扱えば何とか成りますが一度ミスしても「ひんしゅく」を買いますので、お止めになった方がいいと思いますが一応私のやり方を紹介します。
骨粉の相手は「米糠」です、ただ油粕に比べ「燐酸分」が多いのとタダで手に入るからです、施肥の際には「500〜750ppm」程度に薄めてから施します(鉢植えの方は300ppm以上濃くしない事)。
※冬場に複合化成肥料を施す方法としてこんな方法はいかがでしょうか、鉄棒を斜めに根の下に向けて打ち込みます、続いて水道パイプを穴に沿って差し込み「じょうご」で注ぎ込みます、この作業を一株に三、四カ所程度行います、いかがですか!