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伊田沖遺跡の甕と杯

[2010年2月3日]

ID:5213

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収蔵品紹介 第64回

伊田沖遺跡の甕と杯
  • 名称
    土師質土器甕と杯
  • 出土遺跡
    伊田沖遺跡
    岡山市北区御津伊田
  • 時期
    平安時代

新しく家を建てる時に、しめ縄を張って、神主さんがお祈りをする「地鎮祭」をしているのを見かけることがあります。「地鎮祭」とは、土地の神様に工事中の安全をお願いするものですが、建設機械などの無かった昔の人々にとって、家を建てる時に事故無く無事に完成するよう神様にお願いすることは、現代の私たち以上に切実なことだったのでしょう。今回は、昔の人の心に迫る、地鎮・宅鎮のマツリ跡と考えられるものを紹介します。1986(昭和61)年に、圃場整備に先立ち、伊田沖遺跡の発掘調査を行いました。その時、この地鎮・宅鎮のマツリの跡と考えられるものが見つかりました。
マツリの跡は直径35cmの穴の中に甕を逆さに伏せた状態で入れてありました。甕は薄い茶色をした素焼きで、口の大きさ32cm、高さ26cmの深い土鍋のような形をしています。表面に、作る時に粘土を掻き取った跡の細かい筋がたくさん見られます。
甕の中には直径11センチメートル程の17枚の皿が入っており、外にも1枚埋まっていました。粘土のかたまりを回転させながらつまみ出して形作っており、指を当てた跡がらせん状に残っています。
土器の形から、このマツリが行われたのは、平安時代に位置付けられます。地鎮・宅鎮のマツリの様子を復元してみると、並べた皿にお供えを載せてお祈りをした後に、甕の中にそのお皿を入れて、穴の中に一気に逆さに入れたようです。甕の外の1枚のお皿は、その時外に飛び出したものと思われます。
このような地鎮・宅鎮のマツリの跡は、県下では旧山陽町の斎富遺跡、笠岡市の木谷遺跡で見つかっています。離れているにもかかわらず、同じようなものが見つかることから、マツリの道具ややり方についての決まりがあったと考えられます。

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