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抱っことおんぶ

[2023年1月27日]

ID:46841

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イラスト1

抱っこやおんぶは、ママやパパと赤ちゃんとの大切なふれあい。でも「抱っこがうまくできない」「抱っこをし続けると肩や腰がつらい」「長時間の抱っこで腱鞘炎になってしまった」などという声も少なくありません。

そこで今回は「赤ちゃんとの生活をもっと楽しくラクに」をモットーに、ママと赤ちゃんの体や抱っこ&おんぶについてのアドバイスやサポートをしている、理学療法士の濱田由紀さんにお話を聞きました。

する方もされる方も心地いい、抱っこの仕方って?

2017年から、理学療法士としてお母さんの体にかんする相談を受け、ストレッチやエクササイズを紹介してきました。その中で、腰痛や肩こり、腱鞘炎などの原因のひとつが抱っこの姿勢にあると気づいたのです。
ポイントを押さえて抱っこをすると、お母さん・お父さんの体への負担が少なくなり、赤ちゃんはリラックスしてくれますよ。

抱っこには「横抱っこ」と「縦抱っこ」の2種類があり、首が座るまでは「横抱っこ」、以降は「縦抱っこ」が基本といわれています。

「横抱っこ」のポイント

  • しっかりと後頭部から支えること。
  • 赤ちゃんの背中が丸くなるようにすること。この時、肘に近い部分に赤ちゃんの体があると、お母さん・お父さんの手首を自由に動かせるので腱鞘炎を防ぐことができます。

  • 正面から見て、赤ちゃんの両手が体の前に出ていることと、お鼻からおへそのラインがまっすぐで、体がねじれていないこと。
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「縦抱っこ」のポイント

  • お母さん・お父さんの脇をしっかり締めて、手首を使わず、肘に近い部分に赤ちゃんのお尻を乗せること。

  • M字開脚になるように赤ちゃんの足を開いてあげること。股関節脱臼をはじめとする発育性股関節形成不全の予防になります。

  • 赤ちゃんを支えるために、お腹を前に突き出したり、骨盤を横に突き出したりしないこと。無理な姿勢を続けることはお母さん・お父さんの体への負担になるので、注意しましょう。
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これらは、お母さん・お父さんの負担を減らし、抱っこを少しでも楽にするため、そして赤ちゃんの反り返りや向きぐせを防ぎ、心地よくリラックスしてもらうためのポイントです。どれが正しくどれが間違っていると難しく考えるのではなく、「今の抱っこの仕方はしんどいな」と思った時に、できることから試してみてくださいね。

赤ちゃんのおろし方のポイントは?

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大切なのは赤ちゃんの体をすぐに離さないことです。体を密着させた状態から、コマ送りで少しずつおろしてみましょう。

ベッドや布団に赤ちゃんのお尻をつけたらちょっと待つ。背中までおろしたらちょっと待つ。頭を支えている手を離したらちょっと待つ。そうして最後に体をそっと離す。そこまでの動作をコマ送りにして、ひとコマごとに15秒から20秒くらい動きを止めながら進めるのがポイントです。

赤ちゃんが眠っている時の危険を避けるために、硬いベッドを選ばれている方も多いようです。ところが、硬すぎるとCカーブを描いている赤ちゃんの背骨が引き伸ばされるため、抱っこからおろした時に居心地の悪さから赤ちゃんが目を覚ますことがあります。軽くCカーブを保てるようにクッションなどを置いてあげるとよいと思います。

抱っこやおんぶのしすぎはよくないの?

おんぶ

「抱き癖がつくから抱っこのしすぎはよくない」といわれた時代もありましたが、今は「抱っこは自己肯定感にもつながる愛着形成によい」といわれ、たくさん抱っこしてあげることが勧められています。

ただし、泣いたらすぐに抱っこしたり、おろすと泣くから抱っこし続けたりするのでは、お母さん・お父さんの体がもちません。「泣く」という現象に惑わされず、赤ちゃんをよく見てあげてください。なんで泣いているのだろうか、泣き方はいつもと同じだろうかなど、まずは考えてあげられるといいですね。

おんぶ抱っこで肩や首がつらいというお母さん・お父さんは、赤ちゃんの首がしっかりと座ったら、おんぶ紐を試してみてはいかがでしょう。
体のつらさが軽減されるだけでなく、両手を自由に使えるようになるので、赤ちゃんを肌で感じながら家事をできるようになります。おんぶされた赤ちゃんは、お母さん・お父さんとしっかり密着できるので安心感を得られます。そして、肩越しにお母さん・お父さんと同じものが見える共同注視で経験値が蓄積されることは、脳や情緒の発達によいとも言われています。

いっぽうで、抱っこやおんぶと同じくらい、赤ちゃんには「床遊び」が必要です。ただ天井を見ていたり、手足をバタバタさせたり、おもちゃを取ろうと手を伸ばしたり、はいはいしたり…。なにげない動きに見えても、赤ちゃんは重力を感じながら遊んでいるのです。

そうした自発的な動きが制限される抱っこやおんぶの時間があまりに長くなると、「床遊び」の時間が足りなくなってしまいます。時には、「この子は床でしっかり遊べているかな」と考えてみてくださいね。

抱っこ紐にはどんな種類があるの?

抱っこ紐やおんぶ紐は、「誰が」「どのくらいの時間」「どんなシーンで使うのか」を考えて選びましょう。
体の大きさが異なるお母さんとお父さんが共用する場合は、調節が可能なものを。家のなかで寝かしつけの時だけ使うのであれば、着脱が簡単なものを。よだれが多い赤ちゃんなら、自宅で手軽に洗えるものを。
また、おんぶ紐兼用の抱っこ紐の場合、おんぶした時に赤ちゃんの位置が低すぎて視界が遮られたり、反り返ったりすることもあるので、購入する前に試着して確認しましょう。

代表的な抱っこ紐・おんぶ紐の種類

抱っこ紐いろいろ

各種抱っこ紐

  • キャリータイプ
    一般的なベルト式の抱っこ紐で、対面抱っこ用や横だき抱っこ用、いろいろなスタイルの抱っこができるもの、おんぶ紐としても使えるものもあります。肩と腰で支える構造なので、抱っこする人の体への負担が軽減されますが、しっかりとした作りで大きめなので、持ち運びには不向きです。
  • スリング
    一枚の布で赤ちゃんを包み込んで、片側の肩にたすき掛けして使います。使用にはちょっと練習が必要ですが、慣れると簡単です。コンパクトに折り畳めるので、持ち運びに便利です。
  • ベビーラップ、へこおび、さらし
    大きな一枚布を体に巻きつけて、布と体のあいだに赤ちゃんを入れて抱っこします。形が自由自在に変えられるので、体に合わせることができるのも利点です。このやり方を知っていると、災害時にはカーテンなどで代用できます。
  • ヒップシート
    キャリータイプの腰の部分に台座がついていて、そこに赤ちゃんを座らせるようにして抱っこします。キャリータイプよりも簡易的ですが、長時間の使用には不向きです。
  • おんぶ紐
    キャリータイプやベビーラップタイプのほか、昔ながらの一本帯タイプなどがあり、おんぶ紐としても使える抱っこ紐も少なくありません。いずれを選ぶにしても、肩越しにお母さんと同じ景色を見られる高さでおんぶできることが重要です。

使用に適した月齢は、同じ種類でも商品ごとに異なりますし、お母さんの体つきや赤ちゃんの発達もさまざまですから、試着して確認したうえで購入することをお勧めします。

お話を聞いたのは…「ままからだっこ」濱田由紀さん 

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理学療法士として一般病院のリハビリテーション科やデイサービスでの臨床経験を経て、母となりました。自ら体験した育児の大変さをきっかけに、2017年から吉備中央町の地域子育て支援拠点での活動を開始。

2021年に岡山市に転居した後は、岡山県内のさまざまな地域子育て支援拠点や赤ちゃんサロンなどでの出張講座、乳児健診でのママの身体相談、自宅訪問、親子教室などを行っています。