名花豆事典

19,000種有ると言われる「ばら」の中から、僅かの品種をもって「名花」呼ばわりする事はいささか乱暴ですが、ここでは「ハイブリッドティーR」の中から人気、評価共に高い品種を選んでみました、ただ花色によっては少し見落ちがする品種も有ります、特に「黄」系、複色系には難点が多すぎます。
以上の事をご理解願った上で以下の品種にご注目下さい。

尚その前に「名花」は「名花」だがその中に在っていささか難点が大きいが故、もてあます物を幾つか紹介しておきましょう。

赤花系
レッド・ライオン 雄大な剣弁、高芯咲きの巨大花、著しく目に余る褪色
ビッグ・チーフ 赤花名花C・ディオールもR・・デビルも寄せ付けない堂々とした花、しかしブラインドが多く、又花着きが非常に悪く開花期に雨に合うと必ずポトリチス病に成る、開花期にはタップリ潅水が必要
ブルグント・81 ビロード地の眼を見張るような花、ステムが今ひとつ

他にレディー・マリー等「ばら」=赤、素場らしい品種が目白押し

ピンク系

ザ・マッカートニー・ローズ ポール・マッカートニーに因んだ花名、ショッキング・ピンクに加えて素晴らしい香りあり、余りにもボリュームに欠ける
ピンク・ラスター 強健な元気いっぱいの花、その割にボリュームに欠ける
レディー・ラック 樹勢旺盛な異常にトゲの少ない木、花形良し、香りありしかし花弁薄く花持ちも悪い
覆輪系
ガーデン・パーティー R・ハイネスと共にアメリカが誇る名花では有るが、花弁が薄く優しさ上品さと、だらしなさを共有している、切花にすると特徴である弁端の薄ピンクが何時の間にか消失する
ダッチ・オブ・ヴィーナス ガーデン・パーティーとどこか似ているが、こちらの方がより高芯咲き、暑さにめっきり弱い上花着きも今ひとつ
アルテス・75 コルデス・パーフェクタと比べるとやや見落ち

マダム・ヒデ

花だけ見ると誠に素晴らしいが、樹形が横張り、ステム短小の結果良い切り花が取り辛い、同じ覆輪系で樹形もやや似ているが(色の傾向は違う)「香久山」に軍配か

清涼殿

秋は肥料の加減で本芸がどんな花か判らないほど変幻自在の花を咲かせる、ちなみに本芸と言われる作りをしなくてもなかなかの秀花、ただ春の花はその場で引き抜きたくなるほどの、めったに見ない劣花
他にシー・ジャック(コンフィダンスの枝変わり)、魅惑等日本生まれの素晴らしい花々が有ります

朱色系
ドルチェ・ビーター 花着きもよく、樹形は至ってお行儀良く、強健、作り易い、しかし武州、八坂、大文字から見ると今日となっては出る幕が無い

白色系

後に出てくる、そどおり姫、マダム・サチで決まり

ラベンダー系

後出のマダム・ヴィオレ、レディー・X以外ではブルー・ムーン、ブルー・ライトがお奨め

複色系(表裏色違い)
ローラ 丸弁、高芯咲きの花は、表は鮮烈なオレンジ、裏は白ボカシ、後出のコロラマより存在感がある、しかし横張りの上やや矮性の為良い切花が取り難い、女性に人気抜群

黄色系

ゴールデン・ゾンネ 雄大な花、樹形低い、ステム短い、写真写りは非常に良いが、今ひとつパッとしない
ゴールデン・ハート 雄大な花、花色は純黄色、秋はそこそこ、春の花は世話をするのも難儀
金閣 上の2品種同様巨大花、花色は黄と言うより黄金色、樹勢は至って強健

黄ばら栽培の際には肥料多過は絶対禁物、他に一時代前はランドラ、日本作出花では天津乙女、秋月等、公園などではサマー・サンシャイン、切花でゴールデン・エンブレム、ヘルムート・シュミット等沢山有るが未だ真の名花は見当たらない。
その主な原因は、黄花総てに言えることだが、切花にすると黄花特有の褪色が始まる、比較的花持ちが悪い、とは言うもののばらを沢山生け込む際には、黄ばらは絶対欠かせない

 

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