ばらの特性 その1

皆さんが平素の生活において見かける「ばら」は花屋さんの店先や、招待された結婚式場等のテーブルフラワー、又車で通りすがりの垣根越しの蔓ばらが一般的です。これらはそれぞれ形態は違っても総て園芸品種です。すなわち人為的交配品種で、我々がしばしば目にする「ばら」はその極一部を除けばほとんどが園芸品種です。すなわち「モダンローズ(現代ばら)」です。現代ばらと言われるその一番の特性は総じて「四季咲き」であると言って差し支えないと思います。これは木立性であろうと、蔓性であろうと関係ありません。一方皆さんが比較的良く目にする「オールドローズ(原種ばら)」と言えばハマナシ(訛ってハマナスとも言う)、モッコウバラ、河原で繁茂しているノイバラ等が身近なオールドローズです。しかしここで言う「ばら」は主に園芸品種を総称して「ばら」と言います、「園芸品種」このことは取りも直さず「人為的交配品種」、それも究極の人為的改良が繰り返し繰り返し成されて今日まで引き継がれていることです。

最も盛んにそのことが成され出した歴史は今をさかのぼること約200年間程度、植物の進化に要する時間的単位とはほど遠い数字ですが、その意味するものは至って厳しいものがあります。それは自然の環境の中でゆっくりゆっくり時間をかけて進化した訳ではありません。あまりにも強引にそして性急に人間の欲望が赴くままに今日のモダンローズが生まれた経緯があります。その結果としてちょっと大げさに言うと、我々の住む地球上に自然の状態では生存しにくい植物と化しているとも言えます。自然環境の中で野放しの状態では至って不安定な個体だと言うことです。人の美に対する飽くなき「エゴ」の成せる技です。世間には人間の欲望の結晶が沢山見受けられます。「ばら」も又その一つです。ここに誰に聞くとも無く、皆さんが何気なく闇雲に口にされる「言葉」、即ち「ばら作りは難しい」の由縁があるのではないかと思います。

原因が分かれば多少なりとも対処のしようが有ります。「人」が作った物は「人」が育む、常に人が手を添えてやるしかありません、少々手が掛かるのは当然です。

このことはそれらばらの持つ[美の魅力]に対し、貴方だけのばらに向けられた価値観、つまり貴方の「欲望」を満足さすに必要な代償だと理解して下さい。

これらのことをばら栽培をする上で常に認識しておく必要があります、とは言うものの自らがばらを栽培しなくともばらを楽しむ方法は沢山あります、皆さん自身で色々な楽しみ方を見つけて下さい。

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