カタクリ
カタクリの花から密を吸うギフ蝶  


  春の花はあわただしい。三月下旬に鹿児島あたりへ上陸したサクラ前線は、四月五日ごろ、早くも岡山南部に到着する。県南でのこのサクラの開花とほとんど同時に、新見市近郊の石灰岩台地にカタクリが咲き始める。カタクリの花は、紅紫色の花びらをピンと後ろへそらして、小さなカガリ火を焚いているような特徴ある風情をもつ花で、清冽な印象を与えてくれる。まして、群落をつくって一斉に咲き競っているさまは見事である。
  この季節、摘み草に、また花を訪ねて、山歩きする人影を多く見かけるようになるが、なかでもカタクリは最も人気の高い、いわば春の山草のシンボルとも言えるものだ。ただ、近ごろめっきり数の減ってしまったのが惜しまれる。
  カタクリは、花が終わると間もなく地上部が消え、翌年春までの長い休眠に入る。

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